

オーロラはきれいだけど……フレア、コロナなど太陽活動が激しくなったら
2013.06.04 22:00
提供:マイナビウーマン
5月半ばから太陽活動が活発化し、宇宙天気情報センターは臨時情報を多発している。
さらに太陽活動が激しくなったらどうなるのか?広島型原爆1,000億個に匹敵する太陽フレアは宇宙飛行士や人工衛星にダメージを与え、秒速2,000kmを超えるコロナ質量放出は地磁気嵐やオーロラを引き起こす。地球にいても宇宙にいても確実にダメージを受けることになるだろう。
■太陽のおなら
天然の核融合エンジンとも呼べる太陽は、水素を燃料に熱と光を発する。人間の目には明るさが変わることもなく極めて安定した運転だが、機械で測定すると極めて活発に活動し、莫大(ばくだい)なエネルギーを放出するときがある。フレアとコロナ質量放出(CME)だ。
フレアは太陽面の爆発で、地球を丸ごと飲み込むような火柱が荒波のように立つ。
独立行政法人・情報通信研究機構(NICT)が運営する宇宙天気情報センターによると、1回のフレアが放出するエネルギーは10の22乗~25乗J(ジュール)、広島型原爆に置き換えると1億~1,000億個分というから、文字通り莫大(ばくだい)なエネルギーだ。
この際、人間が見える可視光線をはじめ、紫外線、エックス線、ガンマ線など、電波/電磁波が軒並み急増し、さまざまな障害を引き起こすのだ。
フレアは規模順にA、B、C、M、Xに分類され、さらに数字と組み合わせてC3.2やM5.8のように表される。
数値はそのまま強度を表し、10になると次の英字に格上げされる。A1とX1なら1万倍、B2とC5を比べると(CはBの10倍)×(5÷2)の25倍の違いになる。
平均すれば年10回程度といわれるXクラスのフレアが5月13日から15日の間に4回も発生し、それ以降もMクラスが2回続き、油断できない状態が続いているのだ。
コロナ質量放出は秒速2,000kmもの速さで噴き出されるプラズマで、地球に衝突すると地磁気嵐やオーロラを引き起こし、送電線と出会えば電流に変わり電力施設を破壊する。
地球を直撃するCMEは、太陽を包む後光のように見えることからFull HALO CMEとも呼ばれ、検知すると臨時情報が発令されるほどの警戒対象だ。
さながら太陽のおならといったところだろうか。直撃はマナー違反にもほどがある。
フレアやCMEで放出されたエネルギーは、人工衛星や宇宙飛行士はもちろんのこと、地球にも障害をもたらす。もっとも身近なのはデリンジャー現象だ。
デリンジャー現象は、増加したエックス線や紫外線が電離圏の電子密度を変え、普段は反射する電波が吸収されてしまう現象だ。
平常時は地表と電離圏をバウンドするように進む電波を電離圏が吸収してしまうため、無線が届かない状態となる。
数分程度で済むものが多いが数時間に渡ることもあり、しかも航空機に使われる短波が対象だから危険極まりない。
一連の活発化で日本では5月13日から15日の間で観測されたが、幸いにも事故につながらなかったのが救いだ。
■RHICを超えろ
さらにやっかいなのはプロトン現象で、フレアやCMEで放出された高エネルギー陽子が数日間続く現象だ。
人工衛星の電子機器や太陽電池パネルにダメージを与えるほか、宇宙飛行士や航空機乗員を被ばくさせるので、デリンジャー現象よりもさらに危険だ。
プロトン現象はアメリカのGOES衛星が観測し、その量と強度によって4段階に分かれる。
静止軌道上で、10MeV(1千万電子ボルト)以上のプロトン粒子フラックスが1平方cm/1秒間に通過する量(PFU)を測定し、10以上になると臨時情報が発令される仕組みだ。
5月22日に発生したM5.0のフレアが引き起こしたプロトン現象は25日まで続き、最大で1,660PFUに達した。
これを1平方cm・1秒間で表すと10MeV×1,660=で166億電子ボルトとなり、6秒で世界最大の相対論的重イオン衝突型加速器(RHIC)のエネルギーに匹敵する。
産業技術総合研究所の資料によると日本人男性の体表面積の代表値は16,900平方cmだから、これに当てはめて全身で浴びたとすると280,540,000MeV=280兆電子ボルトとなり、RHICなど歯牙にもかからない。
全面から浴びるのは非現実的なので10分の1で計算しても、これを数日間浴び続ければ、誰もが想像できる最悪の結果が待ち受ける。
モジャモジャと金髪の兄弟が、無事帰還できるよう祈ろう。
■まとめ
1989年にニュージャージーで起きた大規模停電も、太陽活動が磁気嵐を引き起こし、発電所を破壊したのが原因だ。
恵みと同時に脅威でもある太陽は、古来から神話が多い。逆鱗(げきりん)に触れないよう、お供えでもしておこうか。
(関口 寿/ガリレオワークス)
さらに太陽活動が激しくなったらどうなるのか?広島型原爆1,000億個に匹敵する太陽フレアは宇宙飛行士や人工衛星にダメージを与え、秒速2,000kmを超えるコロナ質量放出は地磁気嵐やオーロラを引き起こす。地球にいても宇宙にいても確実にダメージを受けることになるだろう。
■太陽のおなら
天然の核融合エンジンとも呼べる太陽は、水素を燃料に熱と光を発する。人間の目には明るさが変わることもなく極めて安定した運転だが、機械で測定すると極めて活発に活動し、莫大(ばくだい)なエネルギーを放出するときがある。フレアとコロナ質量放出(CME)だ。
フレアは太陽面の爆発で、地球を丸ごと飲み込むような火柱が荒波のように立つ。
独立行政法人・情報通信研究機構(NICT)が運営する宇宙天気情報センターによると、1回のフレアが放出するエネルギーは10の22乗~25乗J(ジュール)、広島型原爆に置き換えると1億~1,000億個分というから、文字通り莫大(ばくだい)なエネルギーだ。
この際、人間が見える可視光線をはじめ、紫外線、エックス線、ガンマ線など、電波/電磁波が軒並み急増し、さまざまな障害を引き起こすのだ。
フレアは規模順にA、B、C、M、Xに分類され、さらに数字と組み合わせてC3.2やM5.8のように表される。
数値はそのまま強度を表し、10になると次の英字に格上げされる。A1とX1なら1万倍、B2とC5を比べると(CはBの10倍)×(5÷2)の25倍の違いになる。
平均すれば年10回程度といわれるXクラスのフレアが5月13日から15日の間に4回も発生し、それ以降もMクラスが2回続き、油断できない状態が続いているのだ。
コロナ質量放出は秒速2,000kmもの速さで噴き出されるプラズマで、地球に衝突すると地磁気嵐やオーロラを引き起こし、送電線と出会えば電流に変わり電力施設を破壊する。
地球を直撃するCMEは、太陽を包む後光のように見えることからFull HALO CMEとも呼ばれ、検知すると臨時情報が発令されるほどの警戒対象だ。
さながら太陽のおならといったところだろうか。直撃はマナー違反にもほどがある。
フレアやCMEで放出されたエネルギーは、人工衛星や宇宙飛行士はもちろんのこと、地球にも障害をもたらす。もっとも身近なのはデリンジャー現象だ。
デリンジャー現象は、増加したエックス線や紫外線が電離圏の電子密度を変え、普段は反射する電波が吸収されてしまう現象だ。
平常時は地表と電離圏をバウンドするように進む電波を電離圏が吸収してしまうため、無線が届かない状態となる。
数分程度で済むものが多いが数時間に渡ることもあり、しかも航空機に使われる短波が対象だから危険極まりない。
一連の活発化で日本では5月13日から15日の間で観測されたが、幸いにも事故につながらなかったのが救いだ。
■RHICを超えろ
さらにやっかいなのはプロトン現象で、フレアやCMEで放出された高エネルギー陽子が数日間続く現象だ。
人工衛星の電子機器や太陽電池パネルにダメージを与えるほか、宇宙飛行士や航空機乗員を被ばくさせるので、デリンジャー現象よりもさらに危険だ。
プロトン現象はアメリカのGOES衛星が観測し、その量と強度によって4段階に分かれる。
静止軌道上で、10MeV(1千万電子ボルト)以上のプロトン粒子フラックスが1平方cm/1秒間に通過する量(PFU)を測定し、10以上になると臨時情報が発令される仕組みだ。
5月22日に発生したM5.0のフレアが引き起こしたプロトン現象は25日まで続き、最大で1,660PFUに達した。
これを1平方cm・1秒間で表すと10MeV×1,660=で166億電子ボルトとなり、6秒で世界最大の相対論的重イオン衝突型加速器(RHIC)のエネルギーに匹敵する。
産業技術総合研究所の資料によると日本人男性の体表面積の代表値は16,900平方cmだから、これに当てはめて全身で浴びたとすると280,540,000MeV=280兆電子ボルトとなり、RHICなど歯牙にもかからない。
全面から浴びるのは非現実的なので10分の1で計算しても、これを数日間浴び続ければ、誰もが想像できる最悪の結果が待ち受ける。
モジャモジャと金髪の兄弟が、無事帰還できるよう祈ろう。
■まとめ
1989年にニュージャージーで起きた大規模停電も、太陽活動が磁気嵐を引き起こし、発電所を破壊したのが原因だ。
恵みと同時に脅威でもある太陽は、古来から神話が多い。逆鱗(げきりん)に触れないよう、お供えでもしておこうか。
(関口 寿/ガリレオワークス)
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