埼玉県大宮、東口・西口の領土問題を「力で解決している」判明し話題 運営は「バチバチのライバル関係」と説明
埼玉県・大宮では年に一度、力づくによる「領土争い」が行われていると判明し、話題に。イベント運営は「駅を挟んで東口と西口は、バチバチのライバル関係」と、説明する。

イギリスとフランスに代表されるように、古来より隣国同士は「仲の悪い存在」と、相場が決まっている。
現在X上では、現代日本の埼玉県某所にて「力づくの領土争い」が行われていると判明し、大きな話題となっているのをご存知だろうか。
浦和と大宮、古来からのライバル
古来より埼玉県と千葉県は、東京・神奈川に次ぐ「関東3番手」の称号をかけ、強いライバル意識が根付いていた。
しかし、埼玉県さいたま市の浦和を地元に持つ記者は知っている。じつは埼玉県内にも、我らが「浦和」と「大宮」のライバル関係が存在するのだ。

浦和には県立浦和高校、県立浦和第一女子高校が存在し、これらは男子校、女子校で県内トップの偏差値を誇るなど、浦和の教育水準は非常に高い。加えて、県庁や地方裁判所、県立図書館も浦和にある。

また、サポーターの熱が非常に高いことでも有名なサッカーチーム「浦和レッドダイヤモンズ」のホームも当然、浦和。これらの要素から、浦和は「文武両道の文化都市」としての側面を持つ。
一方で大宮は県内の交通・商業の要。

東北新幹線、北海道新幹線、山形新幹線、秋田新幹線、上越新幹線、北陸新幹線の全6路線が利用可能で、首都圏の「北の玄関口」としての顔を持つ。日本最大級の鉄道ミュージアム「鉄道博物館」がさいたま市大宮区にあるのも納得である。

今でこそ浦和には西の伊勢丹、東のPARCOという二大巨塔が存在する。しかし、大宮には昔からルミネ、エキュート、そごう、アルシェ、高島屋という錚々たる商業施設が構えており、浦和とは比較にならないほどの商業的発展を遂げてきた。
大宮「内部」にも存在するライバル関係
このように、浦和と大宮では長所が見事に分かれており、街としての魅力に甲乙をつけるのは非常に難しい。
そんな浦和と大宮も現在は「さいたま市」として統合されたが、浦和の住民が「アルディージャよりレッズの方が強いぜ」などと口にすれば、大宮勢からは「で? 浦和は新幹線停まるの?」というカウンターパンチが飛んでくるような緊張感は健在である。
しかしこの度、なんと大宮内部にもバチバチのライバル関係が存在すると判明。インターネット上で大きな話題を呼んでいるのだ。
ことの発端は12日、さいたま市の地域情報サイト「日進大宮なび」Xアカウントが投稿した1本の動画。
https://twitter.com/newnissin/status/2109456936483856632
動画内では、屈強な肉体の男性たちが雄叫びのような掛け声と共に、大宮駅構内で綱引きの真剣勝負を行う様子が収められている。

そしてポスト本文には「大宮駅東口・西口対抗連結 大綱引き大会。なんと、3年ぶりに東口の勝利です!! 東口の領土が広がりました!」という、目を疑うような文章が並んでいたのだ。
「健全な戦い」と日本中で大ウケ
「大宮では東口と西口の陣営に分かれ、綱引きで領土争いを行なっている」という事実。令和の人類からしたら「戦国時代かよ...」と、思わずツッコミたくなってしまう光景である。

こちらの様子は瞬く間に話題となり、Xユーザーからは「こういうの、平和で好き」「浦和と大宮も、これで決着つけよう」「こういう健全な戦いは、見ていて楽しい」「駅構内でやってるの、面白すぎるだろ」「めちゃくちゃ楽しそう」など、称賛の声が多数寄せられていた。
そこで今回は、綱引き合戦の詳細をめぐり、大宮駅RENKETSU祭実行委員会 事務局(アルシェ大宮)に話を聞いてみることに。

今回行われた「大宮駅東口・西口対抗連結大綱引き大会」開催の経緯について、事務局の担当者は「2017年に第1回を開催し、今年で記念すべき第10回を迎えました。もともと大宮駅周辺では、駅を挟んで東口と西口がそれぞれ独自の発展を遂げてきた歴史があり、長年に渡って、ある種バチバチのライバル意識が醸成されていました。そこで『せっかくなら大宮最大のライバル関係である東口と西口が、堂々と決着をつけてみてはどうか』という、ある意味の悪ノリから生まれたのが、この大綱引き大会です」と、説明する。

当初は一回限りの開催を予定していたのだが、実際に開催してみると、想像以上の大盛り上がりとなり、各方面から大好評。その反響に応えるべく、翌年からは年に一度「大宮の恒例行事」として開催することになったという。

担当者は「最初は少々悪ふざけに近い発想から始まったこの企画ですが、『やるからには本気で取り組もう』ということで、回を重ねるごとに参加者の熱量も増していきました」と、振り返っている。
3年前から「領土拡大」のルールを追加
そんな大綱引き大会のルールは至ってシンプル。

大宮駅構内の東西連絡通路を会場とし、東口・西口それぞれの商業施設や商店街、地元企業などから集まった30人対30人の選抜メンバーが対戦を行い、先に3本を取ったチームが勝利となる。
そして2023年からは、勝ったチームが大宮駅構内の「領土」を拡大できる、という新たな勝利者賞が追加されることに。これは駅の東西連絡通路に設けた東口と西口の境界線を、勝利した側の領土が拡がるよう移動させるというもの。

事務局の担当者は「この『まったく実益のない名誉』を懸け、大人たちが真剣勝負を繰り広げるところが、大会の醍醐味でもあります」と、深く頷いている。
今年は大会前の通算成績が西口6勝、東口3勝と西口優勢だったが、10月12日に行われた第10回大会では東口が3年ぶりに雪辱を果たし、3対1で見事勝利。この結果、通算成績は西口6勝、東口4勝となった。

なお、東口・西口のチーム構成については、2023年大会からは大宮商店街連合会といった組織の協力のもと、商連の店舗関係者、商業施設関係者、地元スポーツチーム関係者などを中心に、独自にメンバーセレクトを行う形態を採用。
参加条件に関しては「東口・西口それぞれになんらかの縁があり、勝ちたい気持ちがあればOK」としている。
第10回の記念大会では、これまで優勝チームに受け継がれてきた初代トロフィーを「取り切り」として渡しており、来年の大会に向けて新トロフィーを新調予定とのこと。
それにしても大宮、ノリノリである

そんな「身内ノリの極み」のようなイベントが今回、日本中の注目を集めた件について、事務局も喜びを感じているそう。
担当者は「正直なところ、始めた当初は、このような大会が10年も続くとは思っていませんでした。そもそも、駅の東口と西口が綱引きで領土を取り合うという企画自体、冷静に考えれば、当人たち以外にはどうでも良い本当にばかばかしい話です」と、やや自虐的に語る。
続けて、「しかし、そのばかばかしいことに、街の商業施設や商店街、企業、駅の関係者までが一緒になって本気で取り組んでいる。それこそが、この大会の一番の面白さだと思っています。大宮は鉄道のまちとして発展してきた一方、東口と西口では街の成り立ちも文化も少し異なります。この違いやライバル意識を街の盛り上げエネルギーに変えていく。これが、この大会の本質だと考えています」と、その魅力を語ってくれた。
綱引きでは毎年、東口と西口が本気で勝敗を争う。しかし試合が終われば、みんな同じ大宮の仲間。むしろ、年に一度思い切り戦うことで、お互いの距離が縮まり、街としての一体感が生まれてきているように感じるという。

担当者は「今年は第10回という節目でもあり、例年以上の熱気に包まれました。大会がこうして話題になり、地元以外の方にも面白がっていただけることは、大変ありがたく思っています。今後も、大宮の人たち自身が楽しみながら、街の外からも『大宮って何だか面白そうだな』と思っていただけるような取り組みを続けていきたいと考えています」と、今後の展望を語ってくれた。
さて、もはや綱引きだけで「お腹いっぱい」な魅力に溢れているが、同大会は「大宮えきフェス by 大宮駅RENKETSU祭」のオープニングイベントとして開催されているもの。
同フェスは、2014年から始まった、JR大宮駅、駅周辺の大型商業施設、鉄道博物館、RB大宮アルディージャなどが連携して実施するもので、通常はある意味ライバル関係にもある商業施設同士をはじめ、年に一度「鉄道記念日」(10月14日)付近の期間に企業の垣根を越えて協力しあい、「鉄道のまち大宮を皆で盛り上げよう」という企画である。
第13回となる今年の大宮えきフェスは2026年10月12日から11月3日まで開催中。ぜひ電車を利用して、埼玉が世界に誇る鉄道のまち・大宮を訪れてみてほしい。
執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
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