竹内涼真×井上真央『再会』にプロデューサーが込めた思い「幼なじみ特有の友情を思い出せれば」
2010年に刊行された横関大の小説『再会』(講談社)を原作にしたドラマ『再会〜Silent Truth〜』(テレビ朝日系)が注目を集めている。本作は、刑事・飛奈淳一(竹内涼真)が、殺人事件の容疑者となった初恋の女性・岩本万季子(井上真央)と再び向き合うことから始まる物語だ。さらに、清原圭介(瀬戸康史)、佐久間直人(渡辺大知)というかつての同級生たちも絡み合い、封じ込めていた過去と現在の事件が交錯していく。最後まで見逃せない内容となっている本作のプロデューサーを務める峰島あゆみ氏に、撮影の裏側など話を聞いた。(前後編の後編)
◆前を向く4人を描きたい
ヒューマンラブミステリーではあるが、メインの4人が秘密を抱えているなど、人間らしい部分がありありと映し出され、ヒューマンドラマとしての側面が色濃い。4人のキャラクター造形で意識したことについて、峰島氏は「誰しも秘密は抱えていると思うんです」と説明する。
「ただ、『自分は絶対に人に言えない苦悩や秘密を抱えている』といった顔をしながら、日々を生きている人はいないと思います。そのことは頭からは消えないけれども、それでも前を向いて、笑って生活を送っている4人を描きたいと思いました。なので、重いテーマを扱っていますが、暗くなりすぎないキャラクターを作りました」
続けて、「キャラの造形は基本的には原作通りですが、淳一は原作だとハードボイルドな雰囲気だったので、“35歳の等身大の今働いている男性”に調整しています」と語った。
◆井上真央と重ねた深い対話
井上演じる万季子は、淳一をはじめとした登場人物を次々と翻弄するなど、本作の中心にいる人物と言える。井上の万季子との向き合い方について峰島氏は、「最初の段階で井上さん、深川栄洋監督、プロデューサーでしっかり話し合いました」と、こう振り返る。
「なぜ彼女はああいう行動を取るのか。何を考え、どこに向かおうとしているのか。どんな人生を背負ってきた人なのか。脚本と原作を読み込みながら、かなり深いディスカッションを重ねました」
また、万季子は8話で、過去に佐久間の兄・秀之(小柳友)から性的加害を受けていたことが発覚する。この“性被害”は万季子というキャラクターを作り上げるポイントと捉えており、「万季子は性被害によって人生が大きく変わってしまった人物です。『あのことがなければ』と思い続けながら、まるで“なかったこと”にするように生きてきた。でも実際には、“なかったことにしよう”とし続ける限り、その出来事にとらわれ続けているんですよね」
「『あのことがなかった自分ならどんな選択をしただろう』『あれがなかった自分より、もっと幸せになってやる』。そんな思いで、すべての選択をしてきた女性。加えて、『本来の自分がするべき選択ではなかったことを、あのことがあったことで選択してしまっている女性なのでは』と井上さんが考えてきてくれました。
全9話を通して、万季子が“まとってきたもの”が少しずつ剥がれていく。そして、ようやく自分自身の人生を選び取っていこうとする。『そういう軸を持って演じていきたい』ということを初期段階で話してくれて、それを脚本にも反映させました」
◆愛されキャラ“圭介”
直人と圭介は具体的にどのように作り上げたのか。峰島氏は「直人は原作でも比較的しっかり描き込まれていたので、大きく補強する部分は少なく、何度かご一緒していて信頼している渡辺大知さんが演じていただけるということで安心していました」と言う。
「一方、圭介は原作ではそこまで詳細に書き込まれていませんでした。しかも圭介は再婚していて、再婚相手が妊娠しているということを万季子に隠しているものの、他の登場人物ほど“過去に大きな秘密を抱えている人物”とは言えません。それなので、どう立体化するかが課題でした」
脚本上、圭介は淳一に対してコンプレックス・ライバル意識を抱えてはいるものの、クールでスマート、インテリジェンスあふれる男性として描かれていたらしいが、監督と相談して“少しやらかしている男”という方向に演出していったようだ。
「仕事も頑張っていて、いい車にも乗っている。表向きはスマートだけど、実は水面下で必死にもがいている、白鳥のような男にしました。取り繕ってはいるけれど、嘘が下手で、どこかほころびが見えてしまう。その設定が加わったことで、『なんだか憎めない、ちょっと愛せる人物になったのかな』と思っています。
また、序盤では無駄に焦っていたり、イラついていたり、周囲に当たっていたりして、視聴者からも『この人ちょっと嫌だな』と思われていたと思います。ただ、第3話で淳一から事前に聞かされていた捜査情報を初耳のように装う圭介が大根芝居を見せるシーンが話題になって以降、空気が変わり、そこから一気に“愛されキャラ”になっていった実感があります」
◆“ヒルの森”で撮影
各キャラクターの描かれ方だけではなく、本作は印象的なポイントが多い。まず昭和のメロドラマのようなオープニング曲は、ノスタルジックな気持ちにさせられる。これには本作の音楽を担当する得田真裕氏の狙いがあったという。
「切ないラブミステリーですし、心がぎゅっとなる音楽の制作が得意な得田さんにオファーしました。ずっと一緒にお仕事をしたいとも思っていたので。その中で、本作は『スタンドバイミー』みたいな要素もあるよね、ということで、『事件が起きる前、関係性が変わってしまう前のまだ平和だった4人に寄り添うような“冒険の曲”みたいだと面白いですよね』『どこか郷愁みたいなものを呼び起こす音楽になれば』とお願いしたところ、あの曲ができ上がりました」
たしかに「4人の子供が森の中でとある事件を目撃する」というのは、まさに『スタンド・バイ・ミー』だ。また、森の雰囲気も“『スタンド・バイ・ミー』感”があるが、この森との“出会い”についても口にする。
「神奈川県の相模原市が全面的にロケに協力していただいているのですが、市の担当者さんに『子供の時に遊んだ秘密の場所みたいな、郷愁を感じる場所はありますか?』と監督が聞いたところ、撮影で出てきた場所を紹介してもらいました。『スタンド・バイ・ミー』ではありませんが、そこは“ヒルの森”と呼ばれている怖いところだったんです。一応、撮影は11~12月でもう冬だったので、ヒルに襲われることはなかったです。一応、万全なヒル対策はしましたが」
◆“普通のカップル”を描きたかった
また、淳一と恋人の今井博美(北香那)の2人きりのシーンはかなりラブラブに描かれており、異質ささえ感じる。なぜ甘々なやり取りにしたのか聞くと、峰島は「それは本当によく言われます」と笑った。
「単純に“普通のカップル”を描きたかったんです。過去に罪を犯した人間は恋人を作ってはいけないのかと言われれば、そうではない。25歳と35歳が家で過ごす時の、ラブラブな時間をそのまま描きたかった。それだけなんです」
最後に、改めて本作をどのように楽しんでほしいのか――。この質問に峰島氏は「幼なじみ特有の友情ってあると思っています」と、こう続けた。
「何があっても、善悪を超えて味方でいようとしてしまう。そんな幼なじみって誰にでもいると思うんです。そういう友情を思い出してもらえたらいいなと思っています。あとは、『4人がこの事件を通して再会して、過去の秘密や嘘から解放されたことで、もう一度前を向いてそれぞれが自分の人生を歩き直していく。そんな終着点にたどり着けたらいいな』と思っていて、そんな姿を見守っていただけたらと思っています」
誰もが心にしまい込んでいる“言えない過去”。本作は、それでも人は前を向けるのだと静かに語りかけてくる。
▼『再会〜Silent Truth〜』(テレビ朝日系) 3月17日(火)よる9時〜最終話放送
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