撮影/大野代樹

年商2.5億円の頂点から引退へ――まりてんが客との関係を続ける理由「死ぬときに、私がそこにいればいい」

2026.02.08 10:03
提供:ENTAME next

宗教2世として厳格な環境下で幼少期を過ごしたまりてんは、抑圧からの解放を求め風俗の世界へ飛び込んだ。プレイヤーとして、そして年商2.5億円を売り上げる経営者として頂点を極めるも、その背景には想像を絶する苦労が隠されていた。限界を迎えてからの再起、そして引退した今、人気インフルエンサーの彼女が抱える“夢”とは(前後編の後編)。

――上京後は数年間、会社員をされています。その後、再び夜の世界に戻られていますが、この決断の背景にはどういった思いがあったのでしょうか。

まりてん もともと3年経ったら自分のキャリアを考えようと思っていたんです。転職か、フリーランスのデザイナーになるかなどいろいろと考えたとき「自分の人生で一番楽しかったときっていつだっけ?」と振り返ったんです。そうしたら、大学時代に風俗で働いていた3カ月間が一番楽しかった、と思ってしまって。

――それでプレイヤーに戻られたと。

まりてん いえ、ただのプレイヤーに戻るだけだと人生的にどうかなと思い「お店を立ち上げてみよう」っていう発想になりました。でも、東京の業界のことは何もわからなかったので、まずは会社員をしながら副業で風俗嬢として働いてお客さんを掴みました。そして、同時進行で別のお店の内勤バイトも経験して、経営の裏側を学んだ後、会社を辞めて池袋で自分のお店を立ち上げた、という流れです。

――経営者として、何が一番大変でしたか?

まりてん 「自分みたいにこの仕事を楽しいと思える女の子がいっぱいいるはずだ」と思ってお店を始めてしまったことです。私はお客さんとのコミュニケーションが純粋に楽しい。でも、他の女の子たちからすると「あのキモいおやじをいかにしてキモくなくすか」がテーマだったりする。私からすれば「そのキモいのがいいんじゃん!」って感じなんですけど(笑)、その感性のチューニングが本当に難しかったです。

――確かにその不一致は苦労しそうです。

まりてん 本当に振り回されました。「死にたい」ってなった子の家に突撃することもざらにありましたし、睡眠薬を飲んで出勤してきたり、お客さんから借金しちゃったり…。そういったトラブルの対応に追われて、最後の1年間はほとんど記憶がないくらい精神的に追い詰められていました。

――そういった問題と戦いながら、お店を成長させていったんですね。

まりてん そうですね。約3年ほどやっていましたが、池袋の中ではかなりうまくいっていたと思います。売上で言うとだいたい2.5億円くらいでした。

――しかし、限界が来てしまったと。

まりてん はい。最終的に、事務所があったビルの5階から、みんなが帰った深夜に飛び降りようとして…。そこをお巡りさんに見つかって、そのまま警察署に連れて行かれました。その後、警察から実家に連絡が入り、愛知から両親が5時間かけて車で迎えに来て強制送還。そのまま入院しました。

――かなり深刻な状態だったと思いますが、どのように立ち直っていったんでしょうか。

まりてん 入院中に、初めて両親に「宗教が嫌だった」と本音を言えたんです。それが大きかったですね。両親もそれを受け止めてくれたのか「風俗には戻らないでほしい。ちゃんと安定するなら、一人暮らしに戻ってもいい」と言ってくれました。それで「内定が取れたら東京に戻っていい」という条件で、転職活動を始めました。

――そして、再び会社員に。

まりてん はい。割と大きな会社に再就職できて、普通の会社員として健康的な生活を送っていました。同僚もいい人ばかりで楽しかったんですけど、半年くらい経って健康になってくると、また「このままでいいんだっけ?」と思えてきちゃって。

――再びあの世界が恋しくなったと?

まりてん そうなんです。私は、接客で「ゾーン」に入れるタイプなんです。本当に集中して、没入できる。あの感覚が忘れられないし、お客さんとの関係もずっと続いていたから「私のホームは、やっぱり風俗業界なんじゃないか」と思ったんです。それで上司に相談して、また会社を辞めました。

――しかし、2025年7月でプレイヤーを引退されています。なぜこの決断をされたんでしょうか。

まりてん 35歳を前にして、妊活したいと思ったんです。

――ご結婚されているんですか?

まりてん してないです。相手もいないんですけど(笑)。

――というと…?

まりてん 今はいろいろな方法があります。精子提供を受けて、一人で産んで育てる道もありなのかなと。卵子凍結はもう済ませていて、あとは受精卵を作って着床させるだけなんですけど、その最後の一歩がなかなか踏み出せずにいます。

――なぜパートナーと、という形を選ばないのですか?

まりてん もちろん、いい人が現れたらそれでもいいんですけど、いなくてもいいかなとも思っています。というのも、プレイヤーを辞めても、お客さんとの関係を続けていきたいと思っているんです。今でもデートコースのような形で会ったり、毎日のように連絡を取り合ったりしています。これを辞めるのは仲間との繋がりを切るようなものだから続けたい。でも、それを許してくれる旦那さんっているのかなって…。

――それほどお客さんとのつながりを大切にされているんですね。

まりてん はい。私の最低限の目標は「お客さんたちが死ぬまで、まりてんという名前をちゃんと見えるところに置いておいて、死ぬときにアクセスできる場所に私がいること」なんです。

――それはつまり、お客さんを看取るということですか?

まりてん そうですね。みんなに「もう無理かもってなったら連絡してね」と約束しているんです。だから、入院したら連絡が来るし、お見舞いにも行きます。家族がいても、こっそり会いに行きたい。お墓の場所だけでも教えてほしい。それが私の夢なんです。

――なぜそこまで…?

まりてん 現役時代は9日の旅行で900万円ほどお店にお支払いいただいたこともありますから、それもあってこういった気持ちが強いのかもしれません。他の女の子よりは明らかに、お客さんとの関係に入り込みすぎていますね。

――もはやビジネスの関係を超えていますね。

まりてん 関係を持ってしまったからには最後まで責任を取る。それが私のけじめの付け方なんだと思います。5000人くらい連絡先を知っているので、全員を見送るのは大変ですけどね(笑)。

▽まりてん1990年10月30日生まれ。愛知県出身。宗教2世として幼少期を過ごす。大学に入学し一人暮らししたことを機に異性交友が増え、2013年に風俗デビュー。上京後は約3年半会社員として過ごし、2016年に風俗店を立ち上げた。同店は情報サイトでランキング1位になるまで成長。2019年に体調を崩し一時入院するも2020年に復帰。ナイトワーカーをする傍ら、YouTubeチャンネル『ホンクレチャンネル(ホンクレch~本指になってくれますか?~)』を開設。2025年7月いっぱいで風俗業を引退した。

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