路上で出会った泣き虫シンガーは、どんな歌い手になったのかーー加藤結「ファンと一緒に生きてもがいてる」ライブの景色
SNSで見かけて目が離せなくなった“あの子”に直接アポを取り、実際に会いに行く企画「#SNS越しに見ていた“推しのあの子”に、実際に会いに行ったらときめいた」。いいねやリポストの奥に隠れた“画面越しのときめき”の正体を確かめ、そのリアルな姿や想いを写真とともにお届けします。
あれはコロナ禍が明けたばかりのころ。ある日、路上で歌っていた「泣き虫見習いシンガー」――「かとゆい」こと加藤結。その小柄な身体から伸びる透き通った声と、どこか悩みながら歌っているような佇まいに思わず足を止めたのが最初だった。それから数年。路上だけでなく、ステージのある会場で歌う姿をSNSで目にするようになり、「今、どんなシンガーになっているのだろう」と気になる存在に。今回は実際に彼女のライブへ足を運び、後日行われたTikTok撮影へも同行させてもらうとステージ上では見えない加藤結の素顔があった。しょうもない日常をオリジナルソングに変えるユニークな才能と、不器用ながらも伝えたい想いを抱えた彼女の等身大の魅力に迫る。
――数年前に路上ライブでお見かけして今回、取材させていただくにことなりました。ライブではキラキラしていますが結構考え込んでしまうタイプだそうですね。
加藤 うーん、結構考えすぎちゃいますね。真面目と言えば聞こえはいいんですけど、ちょっと頭が固いというか(笑)。ずっとぐるぐる何かを考えている感じで、割と根暗な気がします。
――ステージ上とのギャップがかなりあるように感じますが…。例えば休日はどうやって過ごしますか?
加藤 確かに自分でもギャップを感じますね(笑)。私生活は曲を作ったり、歌の練習をしたり、お絵描きをしたり、ひとりで過ごすことが多いです。地味で孤独というか……。だからライブは、唯一弾けられる瞬間。ライブだから自分を解放できるのかもしれないです。だから「早くライブの日が来ないかな」「ライブの日までスキップしたいな」と毎日思いますね。
そんな彼女が孤独な創作活動に没頭する日々は、自身がステージで輝くための助走期間なのかもしれない。
――かとゆいさんは曲作りが得意なんですよね。
加藤 変な自作ソングを作るのが好きです(笑)。例えば「ゴミ出しめんどくさいな」とか「お腹空いたけど何も作りたくないな」といった、日常のしょうもないことを曲にするのが得意かも。壮大なことは歌えないんですけど、ちょっとしたことを歌にする感じかな。
――そういう曲のアイデアは、たくさんストックされているんですか?
加藤 ちゃんと形になっていない未完成のものを含めたら、メモ帳に50個くらいはあるかもしれない。これ、「曲を作るぞ!」って意気込むと、意外と浮かばなかったりするんですよね。なんか、エモい言葉遣いをしなきゃとか、格好つけちゃう自分がいて……。
だから最近、日記をつけたり、感情が揺れた時にすぐメモするようにしています。その時は「曲作りのため」と意識せず、ただただ記録として。本音をわーって書き殴るんです。それを後から見返すと、「これはネタになりそうだな」ってものがあったりするので、ふと思った本心を吐き出すことが大事なんだなって。――では、最近一番嬉しかった出来事を教えてください。
加藤 ワンマンライブでオリジナルの新曲を披露できたことです。この新曲のうちの1曲はお願いして作っていただいた『パティオ』。これがすごくお気に入り。自分と重なるところもあって、「早くみんなに聴いてほしい」ってずっと思っていたんです。
――実際披露してみていかがでしたか?
加藤 いざお客さんを前にして歌えた時に、感情が溢れてきちゃって。全然そんなつもりなかったんですけど、泣いちゃいました……。なので後半は声がガタガタになっちゃいましたね(笑)。
――そして、もう次のワンマンが決まっていると。
加藤 そうなんです。2月23日に「池袋W:IKE329」さんで「ホントは毎日ライブがしたい」というタイトルのワンマンライブを開催することが決まりました!昨年の12月にやらせていただいたばかりなのに、本当にありがたいことですよね。お客さんが来てくれるからこそ成り立っていることなので、しっかりありがたみを噛み締めて臨まないと、と思っています。
――今回は目標もあると伺いました。
加藤 「150人の方に来てもらう」というのを目標にしています。この数字を口にしてから正直怖いんです。だって150人って、すごい数じゃないですか?でも、自分にできることに取り組んで、ライブ自体もいいものにできるように頑張るしかないですね。
――さて、日本だけでも数多くのアーティストがいる中で、かとゆいさんのライブだからこそ得られるものは何だと思いますか?
加藤 これ、最近よく考えるんです。対バンライブに呼んでもらうことも増えて、歌が上手な人も、ギターが上手な人もたくさんいる。「私だけにできることってあるのかな」って落ち込んじゃう時も多々あります。だからこそ「一緒に成長してる」というか、「一緒に生きて、もがいているんだよ」という部分は、届けられるんじゃないかなって。
――ステージを通して伝えたいテーマがあるんですね。
加藤 なよなよした部分とか、暗い部分とかも、カッコ悪いかも知れないけど、「ココにいてもいいんだよ」「ダメでもいいんだよ」っていう肯定というかメッセージを伝えられる人になりたいな。私のステージを観て、お客さんにも「自分も頑張ろう」とか「そのままでいいんだ」って思ってもらえたら嬉しいです。
――では、これから一人のシンガーとして叶えたい夢を教えてください。
加藤 やりたいことや実現したいことはたくさんあるんですけど、どっちかというと、目の前のライブを良くするとか、目の前のお客さんに良いものを届けるとか、そういう一つひとつを丁寧にやって、行けるところまで行きたいぜ、みたいな精神でやっています。夢を公言するのが、すごく苦手なんですよね。
これ、格好つけなんですけど、「叶った後に『実は夢だったんです』って言いたい」という気持ちがあってですね(笑)。だから、どこかを目指すというよりは、一歩ずつ進んで行った先に、何かが見えたらいいなと思っています。その過程もファンの皆さんには楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
最後に、この記事を読んでいる人へメッセージをもらった。
加藤 ここまで読んでくれてありがとうございます。もし少しでも興味を持ってくれたら、加藤結の曲を聴いてもらえると、とっても嬉しいです。これからも、ちょっとずつ地道に頑張っていきたいと思っているので、見守ってくださると嬉しいです。よろしくお願いします。
▽加藤結(かとう・ゆい)2001年7月17日生まれ、A型。シンガーソングライター。日常の些細な感情や出来事を切り取った等身大の歌詞と、透き通る歌声が魅力。「泣き虫見習いシンガー」を名乗り路上ライブから活動をスタートし、現在はライブハウスを中心に精力的に出演。孤独や弱さも肯定するステージで、共感を集めている。
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