岩手県遠野市の釣り、キュウリを餌にして他県民が驚愕 観光協会は「20年前から始まった文化」と語る

2025.12.16 11:00
提供:Sirabee

魚ではなく、河童の釣りが盛ん(?)な岩手県遠野市。かなり昔からの伝統文化と思いきや、遠野市観光協会は「約20年前から始まった文化」と説明する。

各都道府県、市区町村にはその土地に根付いた文化や、代表的な名産品が数多く存在する。


さて今回は、岩手県遠野市を代表する「河童」の文化に注目したい。



遠野での釣り、お目当ての獲物は...


河童釣り
画像提供:いつき@神社テクテクさん

日本が世界に誇る「河童大国」の遠野。先日X上にて、遠野の河童文化を知らしめるポストが話題になっていたのをご存知だろうか。


日本全国の観光巡りをしているXユーザー・いつき@神社テクテクさんが、「わたしは今日もまた 遠野でかっぱを釣っています」と綴ったポストを投稿。


https://twitter.com/eki_itsuki/status/1966706051543142462


当該のポストには、竹竿から吊るしたキュウリを川に向けて垂らす、というクラシックスタイルな河童釣りの写真が添えられていた。やはり河童と言えば、キュウリである。



「本当にキュウリを吊るすのか...」


こちらのポストは瞬く間に話題となり、Xユーザーからは「つ、釣れますか!?」「本当にキュウリを吊るすのか...」「構図が最高すぎる」といった具合に、驚きと称賛の声が相次いでいる。


河童釣り
画像提供:いつき@神社テクテクさん

なお、「こんな感じで釣竿にキュウリつけてる釣り人、何人もいるんだぜ...」という指摘も確認できた。それにしても遠野の釣り人、ノリノリである。


遠野と言えば「河童」というのは誰もが知るところだが、果たして「河童釣り」という文化はいつ頃から始まったのだろうか。遠野市観光協会に、詳しい話を聞いてみた。


遠野には「カッパおじさん」という名物おじさんが存在し、現在見られるのは2代目・カッパおじさん。そしてどうやら、このカッパおじさんが河童釣りに大きな影響を与えているようなのだ。



初代カッパおじさんの「一言」がきっかけ


河童釣りの歴史について、遠野市観光協会は「初代カッパおじさんから2代目を引き継いだカッパおじさんが、『河童はキュウリが大好きだ。捕まえたら腹いっぱいキュウリを食べさせてやれ』と初代から申し送りを受け、『初代が見た河童をどうやって捕まえよう...』と考えたところ、『河童が大好きなキュウリをエサにしたら捕まえられるのでは』と思い、釣り竿にキュウリを付けて垂らしたことが始まりです」と、説明する。


カッパ捕獲許可証
画像提供:いつき@神社テクテクさん

ちなみに河童釣りには「カッパ捕獲許可証」が必要である。


カッパ捕獲許可証
画像提供:遠野市観光協会

こちらは2004年から発行されたもので、イラストが描かれたカードタイプは、遠野市観光協会のECサイトや、道の駅 遠野風の丘、カッパ淵側にある観光施設・伝承園等で購入可能。


カッパ捕獲許可証
画像提供:遠野市観光協会

また、顔写真が入った写真入りのカッパ捕獲許可証は、遠野市観光協会へ足を運んだ人にだけ限定で発行されているという。


ちなみに、同許可証には「カッパは生捕りにし、傷をつけないで捕まえること」「捕まえたときには、観光協会の承認を得ること」など、「カッパ捕獲七ヶ条」が記載されているのがポイント。


遠野市観光協会も「河童釣りをする際は、七ヶ条を守りましょう」と、呼びかけている。密猟者にならぬよう、河童釣りの際は捕獲許可証をゲットし、ルールを守って釣りに励みたい。



2代目カッパおじさん「25年間一度も釣れてない」


遠野の「河童釣り」がX上で話題になった件について、遠野市観光協会の担当者は「釣りたかったらまず、遠野へいらしてください。でないと、河童釣りは始まりませんよ!」「河童釣りに来たら、時々カッパ淵にいる2代目カッパおじさんから、河童釣りのレクチャーを受けましょう」と、笑顔を見せる。


ちなみに河童を釣るコツについては、「河童がいると信じている人」「辛抱強い人」だと、釣れる可能性が高いそうだ。


なお、協会担当者曰く「2代目カッパおじさんは25年信じて釣りをしていますが、まだ釣れていません」とのこと。


カッパ淵
画像提供:遠野市観光協会

「もし、この記事を読んだ方で釣れた方がいらっしゃいましたら、ぜひ2代目カッパおじさんにも会わせてください。よろしくお願いします!」と呼びかけていた。


「カッパおじさん」は世襲制のようなので、興味がある人はぜひ、3代目襲名を目指してほしい。



執筆者プロフィール


秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。


新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。


X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所に太いパイプを持つ。


(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)

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