「その感じが昭和」 マチアプでデートした年上男性は「はい」と手を出してきて…

ものまね芸人・こいでまほがリアルな体験談や心境をポップに時にダークに伝えていく『全力！　婚活ダイアリー』。

久しぶりに私の指があのアイコンを押そうとしていました。それは...マッチングアプリ。やり尽くして飽きていました。けれど、あれだけハマっていたものを完全に忘れるにはまだ時間が足りませんでした。長期間開けて使ってみたものの、世界は何も変わっていませんでした。

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再開

軽く再開してみるだけ。やるとしたらやっぱりこれ、と開いたのは審査制のハイスペックマッチングアプリ。じつは、完全にはアカウント削除しておりませんでした、なぜなら審査に通るのに苦労したのと芸能人マークがついているので、芸人カミングアウトをしなくていいので楽だから。

久しぶりに開いたところで誰からも申請はないだろうと思っていたのですがチラホラといただいていました。とりあえず「”いいね”ありがとうございます」と送ってみると、すぐに返信がきたのは3つ年上のハイスペック男性。

「ありがとうー！　マジで可愛い！！　タイプ！！」。この返しの時点で違和感しかないのですが、その後もやりとりが続いたのはこの方だけでした。マッチングアプリブランクがあるし、気軽にとりあえず会ってみることにしました。

グイグイ来てくれたのですぐに日程が決まり、集合場所は渋谷の綺麗なホテルのなかにあるカフェに指定してくれていました。高級ホテル好きの私はそれだけで少しワクワクする。彼は、私が到着して席に着いた途端にベタ褒め。え、こんなに褒められるんだっけ？　そういうお店？　と麻痺するほど。すぐ褒めてくる人はおかしいとは承知ですが...久しぶりに薄い世界の軽モテを味わっておくか。

元カノは20代

彼の話を聞いていくと、大手モバイル会社勤務。しかも40代後半なのでわりと偉い位置にいる存在っぽい。そして高学歴。目は少しサイコパス入ってるけど全体的に整ってる。ただ、このタイプの男性はどうせ若い港区女子が好き、という決めつけがありました。

実際に聞いていくと最近、彼は20代の彼女と別れたばかりとのこと。よくありがちな失恋の傷を癒しにすぐにマッチングアプリに登録したパターンか？　にしても前の彼女は相当若い。なんでこんなハイスペックな人が私に？　そのまま伝えてみると「えっ、君はそういうレベルの存在じゃないじゃん、もっと自信もちなよ」。

さ、さようですか。思わずニンマリしてしまう。こういうのでいまだ嬉しくなる自分も情けなく感じますが、今日は肩慣らしのマッチングアプリだし。と思っていたのですが、この軽い感じがカジュアルな展開をおこしてしまうことを忘れていました。

はい

2時間ほど話したので今日は帰ろうということになりました。「次の休みはいつ？」など積極的に聞いてきてくれたのですが、そこは「また連絡しますね」と流していました。そして、渋谷の駅へと向かっている途中で事件はおこりました。並んで歩いていると、彼が、いまだ！　とでも言わんばかりに「はい」と、手を差し出してきました。

え、なに？　これは、手を繋げってこと？　怖い。ここで「てへっ⭐︎そういうのまだ恥ずかしいーっ！」と言って逃げようかと思いましたが、なんかこの人あとからブチギレそう。私は本当にイヤだったのですが手を差し出しました。それほど圧があったから。

心から拒絶してるのに断れない私もなに？　このイヤな気持ち伝われと手に悪の念を込めましたが、彼は離さない。ここからホテルとか連れて行こうとしてるのかな...褒めてきたのはそういうことだったんだよね、いや、まさかそんな初回でこうなるなんて。そういうカジュアル男性たくさんいたのがマッチングアプリだったじゃん、もしそうなったらこっちが絶叫して断るし...など、脳内はぐるぐる回転していました。ですが、駅の改札が見えてきたので私はホッとしたのですが...。

昭和

「じゃあ...」と、カバンからPASMOを取り出そうとしていると、「はい」とまた彼。しかも今度は、手を大きく広げている。これは...ハグの強制だ。外国人がよくやるハグですが、この流れだと違う。体を密着させたいハグだ。彼の言いなりになるのはもう終わり。「あーうんうん、キミ、とりあえず、またね」と私は急に口調を変えて、肩をトントンと叩き解散しました。

なにこいつ。イライラしてきました。これってさ、セクハラじゃない？　後日、自分よりかなり若いギャルめの友達にこの話をしてみると「その感じがオジなんだよねー。マジでやってること昭和」。このセリフを彼に聞かせてやりたいよ！

アプリでこういうことがあるから、いまだ「出会い系」と言われてしまうのは事実。久しぶりにアプリをやってみての相変わらずの展開に、なにも世界は変わっていないなぁと感じながら、軽く扱ったのはこちらも同じだしなぁと、すぐにこの出来事は切り替えました。そしてまた、とりあえずまた返事が来た人に会うことにしました。すると次に登場したのは...“データ男”？！　続く！

◆こいでまほ

太田プロ所属のものまねタレント。フジテレビ系で放送の『 ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』で優勝経験あり。
aiko、優香、泉ピン子などものまねネタ多数。近年はナレーションなどの活動も積極的に行っている。