長澤樹(撮影/厚地健太郎)

日本映画批評家大賞新人女優賞に輝く期待の若手俳優・長澤樹、アクティングコーチから学んだ俳優のベースを明かす

2025.07.30 17:07
提供:Deview

 2025年6月、『第34回日本映画批評家大賞』にて新人女優賞を受賞した長澤樹。若くしてモデルからキャリアをスタートし、その存在感で着実に俳優としてのキャリアを重ねている長澤にインタビュー。主演映画『愛のゆくえ』での作品への向き合い方、演技のベースを作ったアクティングコーチ・仲祐希からの学びについて、そしてこれからの俳優としての目標について話を聞いた。

■長澤樹インタビュー

――『第34回日本映画批評家大賞』での新人女優賞受賞、おめでとうございます。受賞の感想はいかがですか?

「自分にとって初めての受賞だったので、こんなに大きな賞をいただけるなんて思ってもいませんでした。純粋にすごく嬉しいです。今回『愛のゆくえ』という作品で受賞できたことも、嬉しく思っています」

――20代の宮嶋風花監督の監督デビュー作『愛のゆくえ』で主演に抜擢されました。この作品に臨む上で、どんなことを考えましたか?

「私が演じた愛ちゃん(須藤 愛)という女の子は、監督自身を投影していて、物語自体が監督の半自伝的な作品なので、たくさん監督の話を聞きました。ある意味、もうそこに答えがいるという感じでしたので、監督との会話や一緒にいる時間を長く作りました」

――監督との関わりの中で役を作っていったという感じだったんですね。

「撮影の前からワークショップ的なことを重ねたり、みんなで集まりカレーを作ってみたり…ちょっとお芝居とは違うところからコミュニケーションを取っていました。撮影に入ってからも、次の日のシーンについて、帰りの車の中でずっと一緒に話しをしたり。ここまで監督とずっと一緒にいる現場はなかなか無いかなと思います」

――そんな経験から、自分のお芝居は変わりましたか?

「無意識のうちにちょっとした動きや目線が変わって、自分じゃない自分がちゃんといるなと、完成した作品を見て思いました。終盤、愛ちゃんがいろいろな旅の末に北海道の家に戻って来て、寝ているところからファッと起き上がった時、涙が流れているというシーンがあるんですが、そこは夢の中みたいでした」

――自分で意識して演じた感覚とは違っていたということですか?

「別の空間を生きてきたという感じで、思い返すと本当に夢の中にいて、夢から覚めた今がある、という感じがしました」

――この作品への出演も、宮嶋監督との面談で、かなり話し合った末に決まったと聞いています。

「台本を読ませていただいた上で監督にお会いしたのですが、この映画に出たいですという気持ちをお伝えするより『ひとりの読者として台本を読んでこう思いました』という感想会みたいな感じになり、すごく楽しく一緒にいて居心地が良かったです。キャスティングの理由は聞いていないのですが、その時に作品に対する熱量を伝えられたのかなと思います」

――長澤さんはアクティングコーチの仲祐希さんからメソッドを学んだそうですが、オーディションや撮影の現場で今も大事にしていることはありますか?

「一つ一つの物事に、大小とか関係なく、真面目に真っ直ぐ向き合うことは大事にしています。それはすべてのことに当てはまると思うので。それを意識するようになった後は、普通に楽しむようにしています。緊張する時もあるのですが、先生に習ったことを思い浮かべて、一回リセットをして心を落ち着かせています。オーディションのためのいろいろな準備はもちろんするのですが、始まったら準備したことを考えていると固まってしまうので、なるべく考えずに“大丈夫!”と信じてやるようにしています」

――これまでに学んだことで今も実践していることはありますか?

「姿勢をちょっと正すという動きはしています。姿勢を自分で見直すと“ふぅ”と一回落ち着くんです。他の人に見られると恥ずかしいので、周りに人がいない瞬間にキュッキュッとやったりして(笑)。無意識に抱えている邪念とか、モヤモヤを一旦リセットするためにルーティンとしてやっています。役を勝ち取りたいと思うことは悪いことではないと思うのですが、純粋にお芝居を楽しむという面では妨げになってしまうので」

――役作りをするときや、役を演じるときに大切にしていることは?

「役についていくら考えたとしても、なるべく分かった気にはならないようにしています。“私はもうこの子のことが分かった”と思ってしまうと、監督さんや脚本家さんが思っている以上のものは多分出せないんじゃないかなと思うので。いくら深掘りしていったとしても、自分の知らない一面があるくらいなので、他の人のことなんて分かった気になっちゃダメだなと、いつも意識しています」

――相手役の方との関係や、現場の空気感の中で起きることを、受け入れる余裕を持つということでしょうか?

「先ほどお話しした“夢の中みたいな感覚”は、そういう余裕の中から出てきたんじゃないかと思います。監督と日々話しているうちに、もしかしてあのシーンのあのセリフはこういう意味じゃなかったのかな?と知ることが本当にたくさんあったんです。事前にワークショップなどで準備はしていたのですが、撮影が始まると、現場の皆さんが作ってくださる空気、照明や衣装が加わり、また全然違うものになっていくので。その違いも楽しみながら、それを受け入れる余裕を持って演じていました」

――今回取材させていただいているこの場所で、実際に演技のコーチングを受けてきたんですね。

「最初はモデルからお仕事をスタートしたのですが、お芝居の仕事を始める前から、姿勢や目力については学んでいたと思います。姿勢については、お芝居以外でも活かせるものですし、芸能という職業とも関係なく全てに役立つものだと思っています。はじめは表現するための基礎になる体作りから学びました」

――役者は天性の勘やセンスだけでやっていると考えている人も多いと思いますが、ベースとなる技術は大切ですよね。

「私も感覚や場の雰囲気に助けられてお芝居をすることが多かったんですが、天性のものは人によって違って、その良し悪しはあるかもしれないけれど、基本の技術は誰にでも身につけられるものだと教えていただきました。感覚やその場の感情だけで演じていると、例えば“泣く”ような感情が高ぶるシーンで、一度は泣くことができても、もう一度泣くことができないということがあるんです。そんな時は一旦感情を置いて、身につけた技術に立ち返ると、心が楽になりますし、プレッシャーで泣けない、どうしよう、となってしまうこともなくなると思います」

――俳優の仕事は難しいことも多いかと思うのですが、やりがいを感じるのはどんなときですか?

「昨年ミュージカルに出演させていただいたときに、生でお客さんの反応をいただけたことはとても嬉しかったですね。でも、自分は準備をしている時に一番やりがいを感じているかもしれないです。もちろん現場に入った時も楽しいのですが、まだ様々なセッションが始まる前の準備期間、個人で役に向き合っている時に、一番責任を感じますし、どこまで自分がこの子のことを分かってあげられるか、という時にやりがいを感じます」

――長澤さんのアクティングコーチを務めた仲祐希さんのスクールが開講し、受講生の募集が始まるのですが、実際に学ばれた長澤さんからの言葉をいただけますか?

「映像や文面だけでは伝わらないけれど、スタジオで実践しながら見せていただけるのは、このスクールの強みだと思います。実際に演じて見せていただけますし、自分もできる状態にしてもらえますので、職業も年齢も関係なく、いろんな方にこの場に足を運んでほしいと思います。姿勢や目力など、人の目を引き付ける技術は、お芝居以外でも、普段生きていくなかで必要なことだと思いますし、驚きや発見がたくさんあると思います」

――少しお話は戻りますが、長澤さんがこの世界を目指されたのは、オードリー・ヘプバーンに憧れたことがきっかけだそうですね。

「祖母の家に飾ってあったオードリー・ヘプバーンさんの写真を初めて見て、すごく綺麗な方だなと思って調べたのがきっかけです。女優以外にも、福祉の活動もされているという人柄に惹かれ、こういう人になりたいと思ったんです。憧れの女優さんというより、人としての目標という感じなんです」

――今後の、ご自身としての夢や目標はありますか?

「いつかはやっぱり世界に行きたいですし、言語も関係なく、いろんな人に何かを感じていただけるようなお芝居をしたいと思います。そして、自分が知らない世界を知ることも楽しいので、たくさんの人と出会いたい。オードリー・ヘプバーンさんが行っていたような活動を、自分も俳優という職業を通してできたらいいなと思います。今は日本映画が映画祭や配信を通じて注目されることも増えて、すごくいい時代になったなと思うとともに、せっかくなら日本らしい作品で海外にいけたら嬉しい。今、ドラマ『あきない世傳(せいでん) 金と銀』シリーズに出演しているんですが、時代劇を世界の方に広められたら嬉しいし、もちろん日本の方にも時代劇を忘れないでほしいという気持ちもあります」

――これから俳優を目指す人たちに、ご自身の経験を踏まえてメッセージをお願いします。

「俳優としての活動のなかで、今までも想像もしなかったようなことが起こったり、嬉しい出会いがあったり、悲しい・悔しい結果があったりしました。でも一つの目標、例えば私ならオードリー・ヘプバーンさんみたいになりたいとか、そういう強い想いがあれば、何があっても大丈夫だと思うんです。信じられる何かを見つけられたら、それに向かって一生懸命になってほしいと思います」

長澤樹(ながさわ・いつき)●2005年10月24日静岡県出身。
2016年雑誌『キラピチ』(Gakken)専属モデルとしてデビュー。同年『がっぱ先生!』でテレビドラマ初出演。2020年『破壊の日』で映画デビュー。また同年には「INSPIRE陰陽師」で舞台デビュー。2024年公開『愛のゆくえ』にて第34回日本映画批評家大賞 新人女優賞(小森和子賞)受賞。映画『みんな、おしゃべり!』の公開が2025年11月に控える。

■長澤樹が学んできた「仲メソッド」がマスターできるリアルアクティングスクール 2025年10月期 生徒募集中
WEB: https://realactingschool.jp/

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