「第46回 ABCお笑いグランプリ2025」司会の山里亮太

ウケなければ解散だった…山里亮太が語る南海キャンディーズの原点となった賞レース「あの時の笑い声で人生が変わった」

2025.06.29 08:30
「第46回 ABCお笑いグランプリ2025」司会の山里亮太

芸歴10年以内のプロたちが熾烈なバトルを繰り広げる「第46回ABCお笑いグランプリ2025」(6月29日日曜昼2:30、ABCテレビにて生放送/ABEMAにて生配信)。今年で46回目を迎える本大会で、6年連続MCを務める山里亮太にみどころや、若手芸人を中心とする最新のお笑いとの距離感、舞台に立ち続けることの意味などについて語ってもらった。

賞レースは芸人としてのライセンスを発行してもらえる大きな機会

――今年のファイナリストの皆さんはいかがですか?

めちゃくちゃレベルが高かったです。毎年、「今年のレベルはヤバいです」というやり取りをみんなでしているのですが、それでもまだ向上し続けるのかと驚きますね。普通、やることがなくなってくるはずなのに、まだまだ面白さの可能性が開かれているという。そんなお笑いの最前線が見られて感動すら覚えます。

――昨年は令和ロマンが優勝し、その勢いのままM-1グランプリ2連覇を果たしました。

本当にABCお笑いグランプリは今のネタの強い人が見られるんですよ。M-1は漫才だしKOCはコントですが、ABCはピンネタも含めて異種格闘技の最高峰なので。今年もすごいものが見られると思います。

――今回の出場者たちが10年後のお笑い界を支えていくことになりそうですね。

10年後ではなく、ABCが終わった次の日からお笑いのド真ん中に立つ人が現れるような気がします。お笑い界の宝がここにいるというか。僕たちが出ていたときは出場制限が5年以内でまだお笑いの世界に入ったばかりみたいな人が多く、ABCを世に出るきっかけの一つとして捉えていたのですが、今はすでに知名度のある人もいるし、ド真ん中で戦える力をすでに持っている人も山ほどいて。それくらいレベルは高くなっています。

――芸人にとって賞レースの存在は変わってきているものですか?

変わらない気もします。今も昔も賞レースは人生を変えてくれる何かというか。芸人としてのライセンスを発行してもらえる、そんな大きな機会です。

自分がしずちゃんと張り合っていることに気づいた

――山里さんもABCお笑いグランプリで人生は変わりましたか?

結成2年目だった2004年に優秀新人賞をいただいたのですが、ここで南海キャンディーズの方向性がはっきりと決まりました。それまでは実は両ボケだったんですよ。ただそれが全然ウケなくて(笑)。そこで根本に戻って考えたんです。そして僕はしずちゃんが面白いと思ってコンビを組んだのに、張り合おうとしていると気づいたというか。

それで、一度僕がツッコミをやろうと挑んだら決勝にいけて、ウケて。あの笑い声で僕らの方向性がカチッと定まった気がします。そこからM-1グランプリ2004に続き…。後にしずちゃんに聞いたら、「ABCの決勝に出られなかったら解散を申し込もうとしていた」とのことでした。なんかずっと「違うな」と感じていたみたいで。でも僕がツッコミに回り、南海キャンディーズの形がはっきりとできた。ABCをきっかけに本当に僕らの人生も変わりました。

――今回の決勝は、天才ピアニストさんやフースーヤさん、金の国さんらすでに何かしらの大会で優勝しているコンビからテレビで活躍している方もいます。そういう人たちの人生も変わると思いますか?

変わりますよ。やっぱり挑む場所があるというだけで日々成長していきます。そして誰かに勝ったという結果は今後の自分たちの自信になるんですよ。とくに今回のようにとても面白い人たちを倒したというのは、今後、色んな場所に立つときに背中を押してくれるというか。

あと、ここで観客を笑わせた声も宝物になります。僕も時折怖くなるときがあるんですよ。そういうときは、お客さんの笑い声を思い出して気持ちを落ち着かせています。案外、最後の保険になってくれるのは舞台の上で聞いたお客さんたちの笑い声だと思います。

――テレビやYouTubeなど自分たちの面白さを披露する場がどんどん広がっていますが、ネタは芸人にとってどのような存在ですか?

僕にとっては、確固たる軸であってほしいものです。やっぱカッコいいじゃないですか、「舞台に立っています」っていう人って。芯が一本ある気がして。もちろんテレビで活躍している人たちにはネタのイメージがない人もいますが、それでも面白すぎる人ばかりで。その中で僕が立っていく、みんなと対等に話をするには、ネタをしている、舞台に立っているというのが大きな力になる気がします。

ちなみに今回、ABCに出場している若い子たちは本当にお笑い筋肉ムキムキなんですよ。そういう子たちを見ると緊張しますね(笑)。そして本当にカッコいいなと思います。

今の若手は面白さのプレゼンテーションができている

――自分の若手時代と違うと感じる部分はありますか?

自分が面白いと思うことを伝えたいとプレゼンテーションができる子が多い世代な気がします。それが本当に感心することで。もちろん僕らの時代にも、笑い飯さんや千鳥さんみたいな人はいたけど、僕はそのころは何も分かっていなかったので。みんな本当に自分に自信があるんですよ。

例えば昔はテクニックで、振って裏切って間ができるからワードのツッコミをいれて…という、ある程度決まった方程式みたいなものがあったのですが、今の子たちは面白いことをやりたいという気持ちだけでやっているので型にはまったパターンがあまりない。そして周りの人をやっかむ気持ちがない気がします。僕はこれを面白いと思っている、僕はこれを…という者たちが自信を持ちながら戦っているというか。みんなお笑いが本当に好きなんだと思います。

――山里さんはテクニックを駆使している部分は大きかったのですか?

センスでは勝てないと思っていましたから(笑)。以前、笑い飯さんに「どうしてそんなに面白いことできるのですか?」と相談したことがあるんですよ。そしたら「客席に自分がいたら笑うと思うことをやっている」と言われて。その確固たる自信は僕にはなかったんですね。

千鳥さんも自分たちの中で面白いと思うことはブレずに持っていて、その笑いに世の中がついてきてウケていく…。それって本当にすごいです。まぁそんな天才たちを早くから見ていたおかげで、僕は努力でカバーする芸人になれたのかもしれません。なのでラッキーです。

今のネタについていけなくなったときが怖い

――今の芸人のネタを見ていてどのように感じているのですか?

すごく面白いと思っています。そして同時に、みんなが笑っているときに笑えなかったらどうしようという怖さもあります。これは自分が年を重ねて感じることですが、“今”についていけているのか…と怖くなるというか。

あるとき、別の賞レースであるコンビが意識高い系の人をイジるコントをしていたんですよ。それはすごく共感できて見ている側にも絶妙な笑いが伝わっているのに審査員にはうまく伝わらず点数が伸びなかった。それを見たとき、今の流行などを知らないとネタの根本が分からなくなる怖さを感じました。

特にABCなんて、10年以内の若手のネタなので、本当に旬なんですよ。予選でもネットで流行している言葉や撮り鉄を題材にしたネタなどがあり、今の空気感が面白に直結していくのでそこが分からないとネタを全て理解するのは難しい。で、観客を見るとちゃんと分かって笑っている。そんな世の中の真ん中に自分がいるのかどうかを気付かされる場所でもある気がします。最新の笑いを楽しむために、最新の事象についてもアンテナを張っておきたいと思ったりします。

やっぱり僕は舞台に立ち続けていくしかない

――山里さんはテレビでの活躍はもちろんのこと全国各地でのトークライブ「山里亮太の140」を15年続けたりと、さまざまなジャンルで活躍されていますよね。最近ではYouTubeを始めましたが…。

YouTubeは定期的に友達に会いたいという気持ちから始めました。年を取ると、仲のいい人と会うのもスケジュールで組まないとなかなか実現しないので。なぜか僕、世の中のブームから4、5年ほど遅れてブームが来るんですよ。なので5年くらい遅れてYouTubeブームがやってきている。でも気負わず楽しめるって大事だなと思っています。

お笑いって本当にたくさんの種類があって、ABCに出ている子たちみたいにネタの“ファニー”を追求することはもちろんですが、“インタレスティング”で表現される面白さもあると思っていて。その“インタレスティング”な面白さを追求している代表的な人物が古舘伊知郎さんだと思うのですが、古舘さんが面白いと思っていることを伝えるとき、こんな描写の仕方があるんだと驚きと共にかっこよさを感じます。そういったセンスはもちろんのこと伝え方などを努力することで極めていきたいと思っています。

――本当にお笑い界はすごい人だらけですね。

バケモノだらけですよ。東野幸治さんなんて本当におかしいですし。センスもありつつインタレスティングもある。そして、YouTubeやVチューバ―的なことをやったり、ラジオもBSもやって、大阪もやりつつ、東京ではゴールデンのMCをする…。そんな人と一緒に何かをするには、やっぱり僕は舞台に立ち続けていくしかないですね。ちなみに東野さんとは年1回、ライブをしているのですが、そこで毎回、歯が立たなくて傷つくんですよ。でも、それが楽しみでもあります。

――山里さんの目指すべき芸人像は、東野さんが近いのですか?

そうなれたらうれしいですけど、どうなるのか。一度、酔った勢いで東野さんに「自分のことをどう思っているのか」とお聞きしたことがあるんですが、東野さんは若い頃から日本のお笑い界の天才の横にずっといたから「自分が凡人だと思っていた」とおっしゃっていて、だから今のように色んなことにチャレンジしていると。

あれだけの人が自分の道を探して全速力で走っていったらそりゃ面白いですよ。それを聞いて、僕も少しでも近づけるように頑張るしかないなと思いました。そういう意味では「ABCお笑いグランプリ」みたいに今の最新のお笑いを見て今の自分について考えられる機会はすごく貴重だと思います。たくさんの才能に驚いてください!

「ABCお笑いグランプリ」は漫才・コント・ピン芸・モノマネなど何でもありの賞レース。今回のファイナリストは、金の国、家族チャーハン、センチネル、天才ピアニスト、Gパンパンダ、エバース、金魚番長、ザ・マミィ、ソマオ・ミートボール、フースーヤ、ハマノとヘンミ、かが屋の12組。それぞれ各ブロックに分かれて勝ち抜きバトルを魅せる。

MCは山里亮太、本田望結、審査員は陣内智則、ダイアン・ユースケ、かもめんたる・岩崎う大、マヂカルラブリー・野田クリスタル、かまいたち・山内健司、ミルクボーイ・駒場孝、ハナコ・秋山寛貴が務める。

取材・文=玉置晴子

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