ウルフアロン選手が新日本プロレス入団を発表デビューは棚橋弘至選手の引退興行

2025.06.23 19:44

ウルフアロン選手が、6月23日に都内で行われた「新日本プロレス入団会見」に、新日本プロレスリング株式会社代表取締役社長兼選手の棚橋弘至選手、株式会社ブシロード代表取締役・木谷高明氏と共に登場。新日本プロレス入団の思いや経緯、現在の心境などを明かした。

デビューは棚橋弘至選手の引退試合が行われる1.4 東京ドーム

会見では、棚橋社長が「2021年に開催された東京オリンピック柔道金メダリストのウルフアロン選手が、本日、2025年6月23日をもって新日本プロレスと契約し、入団することとなりました。日本のアスリートで、オリンピック金メダリストがプロレスデビューすることになれば史上初となります」と発表。

さらに、「これからしっかりとプロレスの練習を積んでもらった上で、プロレス界で最も注目が高く、私が引退する大会でもあります、来年1月4日の東京ドーム大会でデビューしてもらおうと思っております」と明かした。

一方、ウルフ選手は「先日、柔道の引退会見を終えたばかりで、また新たな舞台にチャレンジできることに喜びを感じております」と述懐。

経緯について「私の方から『新日本プロレスに入りたい』とお話をさせていただきました。大学生の頃、録画した『ワールドプロレスリング』(毎週土曜、深夜1:00ほか、テレビ朝日系)を見るのが毎週日曜日の楽しみで、選手の皆さんが裸一貫で戦っているカッコ良さ、柔道とは違った見せ方に魅力を感じ、『いつか柔道で思い残すこと、やり残すことがなくなったら、プロレスをやりたい』と思っていました。柔道では東京オリンピックで優勝するという最大の目標を達成し、また『パリ(五輪)が最後』と決めて挑み、パリが終わった後のこの1年間、本当にやり残すことなく柔道をやれたので、憧れであったこのプロレスの道に進ませていただきます」と語った。

さらに、「『なぜプロレスを？』と言われたら、好きだからです。試合前、試合、試合後、全ての生きざまを見せるのがプロレスだと思っています。また、ウルフアロンという私を表現できるのもプロレスだと思っています」と告白し、「1.4 東京ドームがデビュー戦ということが当たり前ではなく、特例ということは十分理解しています。柔道ではトップで闘ってきましたが、プロレスラーとしてはゼロの状態からのスタートです。この半年間の過ごし方を入念に考え、1秒1秒を無駄にすることなく全力で挑ませていただきます」と意気込んだ。

ウルフアロン選手「まずは自分としての土台をつくりたい」

質疑応答では、ウルフ選手と棚橋社長に向けて多くの質問が寄せられた。「どういったプロレスラーになりたいか？」との質問には、ウルフ選手は「今はまだプロレスラーとしての練習を開始したばかりなので、しっかりと土台を作ってからそういったことは考えたいというふうに思っております。もちろん、見ていてたくさんの人の心を動かしたりとか、そういったレスラーに心打たれた自分もいたので、そういった方向になりたいという気持ちは奥底の方にはあるんですけど、まずは自分としての土台をつくりたい」と返答。

また、今月から始めたという練習について聞かれると、「どうしても柔道家のくせが抜け切れていないので、そういったところで動きの違いとかが今、少し難航している部分ではあるかなと思うんですけど、少しずつやれることも増えてきていますので、そういう1日1日の自分の成長が楽しい段階です」とにっこり。

そんなウルフ選手の練習する姿について、棚橋社長は「前方回転受け身はものすごくすばらしい。でも、プロレス特有の後ろ受け身は、とれているんですけど、まだまだこれから伸びるというところです」と感想を語った。

そんな中、「棚橋選手は1月4日の東京ドームでの引退試合、対戦相手は決まっていないですが、ウルフ選手とやりたい気持ちはないでしょうか？」と聞かれた棚橋社長は、「興行的には(試合は)別にした方が面白いかなと…(笑)」と切り返して爆笑をさらう一幕も。

ほか、ウルフ選手は「僕自身のバックボーンとして柔道という競技はこれからもあり続けるものなので、僕は柔道を捨ててプロレスをやるのではなく、そういうものをしっかりと持ちながらプロレスをやるという気持ちです」と宣言した。

◆取材・文＝原田健