“アジアの美”中国2大スターの初共演でメガヒットを記録、女海賊と皇太子が織りなす危険でピュアなラブロマンス「安楽伝」の魅力

2025.06.22 18:00

主演作が途切れない中国のトップスター、ディリラバとゴン・ジュン。“アジアの美”と称される2人がダブル主演を務めるラブロマンス時代劇「安楽伝」(毎週月・火曜16:00-17:59、BS12 トゥエルビ[BS222ch]※全国無料放送)。唐代をイメージした華やかな衣装や、2人が見せる華麗なアクションなど、ビジュアル面も大きな話題に。中国で配信が開始すると、動画共有サイトYoukuで24日間も首位を独走し、各種ドラマランキングでも1位を総なめした。素性を隠した女海賊と純情な皇太子のユニークなカップリングと、2人のもどかしくもピュアな恋模様を軸に、本作の魅力を掘り下げてみたい。

ヒロインはSNSフォロワー数8000万超の人気女優ディリラバ

物語の舞台は嘉昌帝(かしょうてい／ソン・フォンイェン)が治める靖国。謀反の罪に問われた帝永寧(ていえいねい)は一族共々皆殺しにされ、皇太子妃となるはずだった帝梓元(ていしげん／ディリラバ)も斬首が下される。帝梓元はからくもその場に駆けつけた皇太子・韓ヨウ(ゴン・ジュン)に救われるが、長きに渡って幽閉生活を強いられる。10年後、美しく成長した帝梓元は、任安楽(じんあんらく＝ディリラバ)と名乗り、3万の兵を率いる海賊集団・安楽寨(あんらくさい)の主となっていた。

この豪放磊落な女海賊を演じるのは、SNSフォロワー数8000万超を誇り、「長歌行」「馭鮫記(ぎょこうき)」シリーズ、「プラチナの恋人たち」など多数の主演作を持つトップ女優ディリラバ。エキゾチックな顔立ちの美女でありながら、バラエティー番組やインタビューでは気さくな性格をのぞかせ、演技力と人柄の両面でファンを魅了している。本作では船上での剣戟といったアクションや砕けた話しぶりで、“姉御”と呼びたくなる魅力的なヒロインを体現してみせる。

トップ俳優ゴン・ジュンが10年愛を貫く初心な皇太子役を好演

任安楽に求婚され、困惑しつつも次第に惹かれていくのが皇太子・韓ヨウだ。今も一途に帝梓元を想い続ける韓ヨウは、父に帝梓元の幽閉を解くよう申し出るのに必要な功績を立てるべく、海賊退治に乗り出す。その道中で女海賊・任安楽と出会い、彼女の助力を得て敵対する海賊船隊を殲滅。その後、任安楽と行動を共にするうちに心惹かれていき、帝梓元への想いとの狭間で揺れ動く。かたや任安楽も復讐のために韓ヨウへ近づいたものの、誠実な人柄に触れるうちに特別な感情を抱き始める。

韓ヨウ役に就くのは、ラブロマンス時代劇「山河令」でミステリアスな貴公子・温客行(ウェン・コーシン)を演じ、日本にも多くのファンを持つゴン・ジュン。「沈睡花園シークレット・メモリーズ」ではクールな心理カウンセラー、「夜明けの恋人たち～Love in the Wind～」では若き天才投資家を演じるなど、主演作が途切れないトップ俳優の1人だ。歌唱力にも定評があり、「山河令」では同作品でW主演したチャン・ジャーハンと共にエンディング曲の歌唱を担当した。

これまで一癖あるキャラクターを多く演じてきた彼だが、本作では純情一途で正義感あふれる皇太子役という、ストレートな好青年役に挑戦。帝梓元だけを想い続けてきたため恋愛に疎く、任安楽に素肌を見られるだけでドギマギしてしまう初心な若君に、母性をくすぐられてしまう。欲得に惑わされることなく、正しき道を歩もうとする純粋さも魅力だ。

復讐の刃を隠し持つ女海賊と純情一途な皇太子の危ういロマンス

2021年最大のメガヒットを記録し、日本でも多数の視聴者を沼落ちさせた「山河令」の監督が手掛けただけに、本作におけるラブストーリーも一筋縄ではいかない展開が面白い。素性を隠して韓ヨウにグイグイ迫る任安楽と、顔をしかめて「慎みを持て」と彼女をいなす韓ヨウ。実は任安楽こそ韓ヨウの想い人・帝梓元なのだが、10年ぶりの再会であるうえに、豪放な女海賊の“仮面”をかぶっているため彼女と気づけない。それぞれの思惑と想いが交錯するロマンスは、じれったくもドキドキ感に満ちている。

出会って間もなくは任安楽に振り回されてばかりの韓ヨウだが、海へ落ちそうになる任安楽をとっさに抱きかかえたり、海賊との戦いでは彼女をさりげなくサポートしたりと頼もしい一面も。恋愛面でもまっすぐで、帝梓元が幽閉されてからはまめに贈り物を届けさせ、いつか夫婦となることを願い続けている。計算ずくで彼に近づいたとはいえ、いつしか任安楽が韓ヨウに惹かれるのは必然だったのかもしれない。

心の距離が縮まるにつれて、互いの立場や責任、目的のために苦悩することになる2人。任安楽は愛と復讐のどちらを選ぶのか。韓ヨウはいつ彼女の正体を知ることになるのか。そして、かつて許嫁同士だった2人が結ばれる日は来るのか。任安楽と韓ヨウのコミカルなやり取りが楽しい序盤から、次第にシリアスさを増していく物語後半まで、2人のロマンスの行方から目が離せない。

※韓ヨウのヨウは、正しくは「火へんに華」

◆文＝帆刈理恵(スタジオエクレア)