成宮寛貴 8年ぶりの俳優復帰とこれから「一度“成宮寛貴”から離れたことで、生まれ変われた」今後の俳優業への意欲も

2025.05.15 08:30

8年ぶりに俳優復帰した成宮寛貴が美しい殺人鬼を演じて話題を呼んでいるABEMAオリジナルドラマ「死ぬほど愛して」(毎週木曜夜11:00、ABEMA SPECIALチャンネル)が、5月15日(木)夜11:00に最終回を迎える。妻の澪(瀧本美織)を殺すために樹海に入った真人(成宮）。真人の本当の姿を知った澪はどのような結論を出すのか…。先が読めないラブサスペンスの結末が気になる中、主人公・真人を演じた成宮寛貴が最終回の見どころ、引退後8年間で考えていたことや今後の俳優活動について語ってくれた。

多くの友人から「ドラマ見たよ」と連絡が来て返信が大変でした

――Netflixの日本の週間ランキングで1位を獲得したり、第1話の総再生回数が175万回を突破するなど、多くの方が「死ぬほど愛して」を楽しんでいます。反響はいかがですか？

Netflixのランキングを見たときはすごく不思議な感じになりました。大好きなアニメ「薬屋のひとりごと」や韓国ドラマの「弱いヒーロー2」など強い作品がたくさんある中、それより上というのが何よりもうれしかったです。そして、台本に比べて映像はスピード感が増していたので、最初は視聴者がついてこれるか心配していたのですが、割とこれぐらいのスピードは受け入れてくださるんだと新鮮な気持ちになりました。

――8年ぶりの俳優活動ですが、周囲の方からも連絡はありましたか？

友達から見たよと連絡がたくさんきて、返信が結構大変でしたね。なので定型文を作って、それをアレンジしながら返信しました(笑）。なによりも皆さんが待ってくれていたということが分かってうれしかったです。ただ原作者である樹林(伸)さん（本作は別のペンネーム天樹征丸名義）には、ドキドキしてまだ連絡できていないんですよ。全てが終わったら連絡したいです。

――ミステリアスで色気のある芝居に対して称賛の声が寄せられていますね。

ありがたいですが、僕自身は久しぶりの芝居ということで反省点もたくさんあって…。改めてこう演じたいなどの思いの方が強くなっています。そういった思いも含めて次の作品に繋げていけたら。今作に出て、芝居をしたいという気持ちが強くなりました。

――改めて真人はどういう人物だと思いましたか？

初めから最後までとってもカッコいい役だったと思います。自分が演じているので冷静にはまだ見られないのですが、また演じたいです。続編とか…どうなんでしょう。

原作をいただいてから俳優復帰まで3年かかった

――8年間お休みされていましたが、この作品で復帰できたことに関してはいかがですか？

このタイミングで、樹林さんの作品で、ABEMAで復帰できたのは感謝です。それこそ最初、自分が俳優を続けたいのかまだ分からないときに原作をいただいたんですが、それをまだタイミングではないとお断りしたんですよ。そのときはマネージャーもいなかったし成宮寛貴という名前もない状態だったけど3年経ったら自分の身辺も動き始め、同時に台本が固まってプロデューサーも決まっていき…。あのときのことは、結構時間が経っていますが昨日のことのように感じます。今、こうやって作品になったのはすごく感慨深いです。

――お休みされている間は芝居をやりたいという思いはなかったのですか？

こんなに執着ないんだと驚くぐらい気持ちも離れていました。もしかしたら心のどこかで離していた部分もあるのかもしれないですが、意外とすんなり離れていて。だから恋しいという思いも封印していましたね。どんな作品を見てもイチ視聴者として楽しんでいました。そういう意味で、また作り手に回るというのは“リボーン”な感じです。

よく“初心に戻って”と言いますが、僕は“生まれ変わった”に近いかな。ただ昔の記憶や学んだことは残って生まれ変わっているので“転生”に近いのかも。僕、アニメとか転生モノがめちゃくちゃ好きなんで、まさにその主人公な感じ。チートですよ（笑）。

――表現力はより深くなったような気がします。

どうなんだろう。元々僕はたまたま俳優になった感じで課題の多い人だったんですよ。同年代の小栗(旬)は優等生だったけど、僕は優等生ではなかった。僕のせいで舞台の稽古が止まったこととか、当時いろいろ感じて学んだことを思い出しながらカメラの前に立っていました。こういうときはこうするんだと思い出し、再確認しながら芝居していた感じ。これは今後も変わらないかもしれないです。

少し好き嫌いの分かれる役に挑戦したい

――お休みしていた間に培ったことで今後の活動で生かせられるものを教えてください。

俳優・成宮寛貴と素顔の自分がすごく自然に融合している気がします。これは年を重ねてきているというのもあるかもしれないですが、一旦、成宮寛貴から離れたことで自分自身の底力や強さみたいなものを感じられるというか。だから今後はブレない感じがします。そして手放さないようにしたいという気持ちが強いです。

よく、モチベーションを高く常に新たな目標を持つことが大事と言いますが、改めてそれを実感したというか。常に新たな目標を持ち、前に進んでいきたいと思います。それは大変なことだけど、背負ってしまったことなので仕方がないかなと。やるだけですね。

――今後やってみたいことを教えてください。

いい意味でみんなの期待を裏切っていきたいです。そして少し好き嫌いの分かれるような役に挑戦したいかな。ポピュラリティよりギュッと濃厚な役をガッツリとやってみたいというか。また今までお仕事をご一緒した方とも作品で出会えたらうれしいです。

――いよいよ15日(木)に「死ぬほど愛して」が最終回になります。見どころは？

このドラマは、1～3話がミステリー、4～6話は真相が判明していくサスペンス、7、8話はラブストーリーと、同じ作品なのですがテイストが分かれています。そのためハラハラしていた前半とはまた違い、最終回はこうなるんだと思う部分も多いと思います。

そして真人に関して言うと、彼の心情が描かれていきます。なぜこのようなことをしたのか、澪に対してどのような感情を持っているのかを感じ取っていただけるとうれしいです。

また、近所に住んでいる女の子・のぞみちゃん(根岸令奈)にも注目してもらいたいです。彼女は真人と澪の子供の将来の姿のような裏設定もあるんですよ。そういう細かいところも楽しんでいただきたいです。そして最終回を見終わったら、再び第1話から見直すと、今までとはまた違った感覚になると思います。ぜひ最後まで楽しんでください。

撮影＝大石隼土

取材・文＝玉置晴子