安田顕に「真骨頂」の声、“平賀源内”の最期を哀切たっぷりに演じ切る＜べらぼう＞

2025.04.21 10:39

横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第16回「さらば源内、見立ては蓬莱(ほうらい)」が4月20日に放送された。サブタイトル通り、平賀源内がこの世に別れを告げる展開。史実をドラマティックに脚色した悲し過ぎる最期に、「#大河べらぼう」に加えて「源内先生」がトレンド入りする反響を呼んだ。(以下、ネタバレを含みます)

数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く

森下佳子が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波瀾(はらん)万丈の生涯を描く痛快エンターテインメントドラマ。

蔦重はその人生の中で喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見い出し、また日本史上最大の謎のひとつといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。

蔦重に影響を与える“希代の天才”平賀源内役で安田顕、幕府の“新時代”を目指す権力者・田沼意次役で渡辺謙が出演。語りを綾瀬はるかが務める。

新作の執筆を頼むため源内の元を訪れる蔦重

次期将軍と期待されていた家基が鷹狩りの道中で亡くなった件で、意次は源内に調べさせていたが、改めて呼び出し「この件は幕引き」と告げた。源内は納得できず、意次から渡された礼金を床にたたきつけ、「こんなはした金で、俺の口に戸は立てられませんぜ」と立ち去った。

一方、正月に出す戯作の新作を源内に頼むことを思い付いた蔦重は、源内が「不吉の家」と呼ばれるいわく付きの屋敷に引っ越したと聞く。世間ではきつねに取りつかれたといううわさもあり、心配になった蔦重は屋敷を訪ねた。

源内は不思議な香りのする煙草を吸いながら、「おそらく田沼様の肝入りでよ」と語る旗本屋敷の普請のための図面を引こうとしていて、新作の依頼も快く引き受けてくれた。

安田顕のすさまじい演技に見入る

そんなある日、源内が人殺しの罪で捕らえられた。前夜、旗本屋敷の仕事を持ってきた丈右衛門(矢野聖人)と「不吉の家」を紹介した大工の久五郎(齊藤友暁)と酒席を設けていたが、下戸の源内は久五郎に渡された煙草を吸ううち、これまでもあったように幻聴がし、意識が錯綜する中で気を失った。その翌朝、目が覚めると久五郎が斬り殺されていて、源内の手元には血のついた刀。だが、源内は全く身に覚えがなかった。それもそのはず、気を失ったのは丈右衛門に刀で打たれたからで、久五郎は仲間だったはずの丈右衛門が誰かからの命で始末したのだった。

牢に入れられた源内の元に会いに行った意次は、混乱する源内に何があったか話を聞こうとし、これまでと違うさまに驚きつつも励ました。また、蔦重は書物問屋の須原屋(里見浩太朗)、平秩東作(木村了)、杉田玄白(山中聡)という源内と関わりの深い面々と共に意次の屋敷を訪れ、源内を救ってほしいと嘆願した。だが、その最中に源内が獄死したとの知らせが入った。

源内を亡き者にするたくらみの背後にいるのは、源内が蔦重のために書いていた原稿を燃やさせている描写から一橋治済(生田斗真)が考えられた。新たな戯作は、家基の死の原因と思われる手袋と意次を暗示する人物が登場する物語だった。

サブタイトルと史実の時期から源内の死は分かっていたことだが、その最期はあまりにも切なく悲しい。本草学者、発明家、戯作者や事業家などとして、さまざまな案を考え出した希代の天才。その頭脳の鋭さが命を落とすことにもつながったのか。

源内を演じた安田顕は、軽妙洒脱(しゃだつ)に物語を盛り上げてきたが、エレキテルの設計図を盗まれる前後から、この第16回にかけて不安定な様子は鬼気迫るものがあった。怪しげな煙草を吸ったからか、幻聴に襲われ、目は血走る。人が壊れていくさまをこれでもかと見せた。

SNSには「ヤスケンの真骨頂」「演技の振り幅がすごい」「安田顕のすごさを思い切り食らった」「安田顕さんの平賀源内がもう見られないのは悲しい」「壊れていく演技がすごかった」「安田顕氏に心からの拍手と喝采を」と大きな反響を呼んだ。

◆文＝ザテレビジョンドラマ部