「全裸監督2」で注目浴びた恒松祐里、“鬼気迫る情念”表現する演技派…「ガンニバル2」で“妖艶”な美女怪演

2025.04.03 07:10

3月19日からディズニープラスのスターで配信が始まったヴィレッジ・サイコスリラー「ガンニバル」シーズン2。同作は、二宮正明の同名ベストセラー・コミックを柳楽優弥主演で実写化したもの。禁断のテーマ「人喰い」を扱い、心理ドラマ、ミステリー、サスペンス、アクションを濃密かつダイナミックに融合させた作品だ。4月2日に配信された第5話では、同作のキーパーソンの1人である“後藤家”前当主・後藤銀(倍賞美津子)の若かりし頃が描かれ、演じる恒松祐里の妖艶な姿に注目が集まった。そこで今回は恒松の魅力に迫る。

「瑠璃の島」でデビュー…今年20周年

全7話のシーズン1では、日本ののどかな原風景が広がる供花村(くげむら)に駐在として赴任してきた警察官・阿川大悟(柳楽)が、閉鎖的な村に渦巻く「人が喰われている」という衝撃的なうわさの真相を探るうちに、絶対的な権力で村人たちを支配する後藤家と激しく対立していくさまが描かれた。

全8話の「完結編」となるシーズン2では、主演の柳楽をはじめ、笠松将、吉岡里帆らキャスト陣が再集結し、前シーズンに張り巡らされたあらゆる伏線が回収され幾多の謎の真相が明らかになる。そんな中で、物語のキーマンとなる銀の若かりし頃を演じているのが恒松だ。

恒松といえば、2005年にドラマ「瑠璃の島」(日本テレビ系)でデビュー後、2015年には連続テレビ小説「まれ」(NHK総合ほか)で朝ドラに初出演。同年10月にはドラマ「5→9～私に恋したお坊さん～」(フジテレビ系)で“月9”出演を果たし、2016年に大河ドラマ「真田丸」(NHK総合ほか)に登場。その後も、2020年にドラマ「100文字アイデアをドラマにした！」(テレ東系)で地上波ドラマ初主演を務め、映画「凪待ち」(2019年)では、「おおさかシネマフェスティバル2020新人女優賞」を受賞するなど、着実に活躍の場を広げていた。

「全裸監督2」で“体当たり演技”を披露

そして、Netflixオリジナルドラマ「全裸監督」シーズン2(2021年)のヒロイン役でいわゆる“体当たり演技”を披露。当時は「気鋭の売り出し中の役者がここまでするのか」と大きな話題となった。

当時のインタビューで、「オファーを頂いたときは本当に悩んだ」とした上で、「こういうチャンスを頂けて、台本を読んだらすごくすてきで。演じたいと思った役柄を捨ててしまうなんて、もったいないと思ったんです。とにかく演じたいし、チャレンジしようと思いました」と葛藤はありながらも作品の魅力にひかれ、体現することを決めたことも明かしていた。

時代の潮流もあり、撮影のテクニックで「それっぽく見せる」という演出が多用される現代において、“ヌードシーンの必要性”が薄まってきているという現状がある一方、ヌードシーン特有の“高湿度の中で表現される人間の情念”が描かれることも少なくなってきている。かつてそんなシーンを演じて話題になった俳優たちは、誰もが“鬼気迫る情念”を圧巻の演技で表現した。

そういった俳優の“見る者の魂までも震わせる迫真の演技”にも出合いにくくなっていると言えるだろう。しかし、恒松は「全裸監督2」で伝説のセクシー女優の“決意”と“覚悟”、“心の解放”と“心酔”など、さまざまな感情を“情念”たっぷりに熱演し、高評価を受けたのだ。

今回の「ガンニバル」シーズン2でも恒松の“情念”の表現が際立っている。雪道に映える黒い着物に身を包む艶やかな佇まいの銀が、村人たちから虐げられ、やがて復讐(ふくしゅう)の鬼へと変わっていくさまや、“村の呪い”の始まりとなった狂気を豊かな表現力で描きだし、インパクトのある演技を披露している。

“鬼気迫る情念”を演じ切る彼女の「全裸監督」のときはとはまた違った“情念”の表現は、今回も話題となることだろう。

◆文=原田健