

コスプレがんサバイバーが語る活動再開理由「やれる時にやればではなく、今やるべきだと気付いた」
2年前にガンと診断され、死を意識したときに“人生で本当にやり残したこと”を考えたという、ももちよさん。たどり着いた答えは、学生時代から続けていたコスプレだった。しかし、再開後は思いもよらずバッシングや批判に晒され、活動を続けることへの葛藤もあったという。そんな彼女に誹謗中傷との向き合い方や、苦悩について迫る。(前後編の後編)
――2年前にガンと診断されて、現在はほぼ完治したとのことでしたが、発覚したときのことをお聞かせください。
ももちよさん 2年前の4月に入院したのですが、自覚症状などはまったくなく、定期検査をしたときに「大きい病院行ってください」と言われたんです。実は過去にもあって2回目だったので今回も「様子見ましょう」と言われるかなと軽い感じで診察してもらうと、「ガンです」と言われました。
――聞いたときは率直にどう思いましたか?
ももちよさん 女性特有のガンだったので、親に孫を見せられないまま終わるのかなと申し訳ない気持ちになりました。今の時代、「別に子供がいなくても」という方もいますが、私は孫の顔を見せることが1番の親孝行だと思ってきたので。手術では、全摘出ではなく、悪性腫瘍を取り除けるだけ取り除くという医師からの提案で、現在、ガン細胞はほとんど残っていない状態です。まだ検査は必要ですが、おそらくもう大丈夫だろうと。
――入院期間に印象的だったエピソードや、辛かったことはありますか?
ももちよさん 入院期間は1週間ぐらいだったんですけど、印象に残っているのは、幽霊です。
――幽霊?
ももちよさん はい!幽霊です(笑)。昔から霊感が強くて……。入院したときに4人部屋と個室を選べたので、夜は絶対に怖いからという理由で4人部屋にしたんですよ。なのに運が良いのか悪いのか、先に入院されていた方が私が入院した初日に別部屋に移動されて、私1人だけで過ごしたんです。
病院の方からは「1人なので好きにしていいですよ」と言ってもらったのでテレビは常に流しっぱなしでしたが、そんなことをしても怖くて、夜寝れなかったんです。しかもその後、最後まで誰も入院してこなくて。高いお金払わなくても1人部屋で快適だと思う人の方が多いかもしれませんが、私にとっては最悪でした。
――なるほど。恐怖もガンも乗り越えたももちよさんが、退院後、最初にしたことはなんですか?
ももちよさん 病気にかかったことによって、やっと仕事が休めたんですよね。なので家でゆっくりドラマを観て、ぼーっとしていました。その時にいろいろ考える時間が出来て、コスプレをやろうと思ったんです。――選択肢が多くある中で、なぜコスプレを選んだのでしょうか?
ももちよさん それまでも福岡でずっとコスプレはやっていました。でも、上京して物価が高いのもあって、「コスプレをやるためには稼がなきゃいけない」というマインドで働いていたら、イベントや撮影に行く時間もないぐらい仕事していたんです。「コスプレはやれる時にやればいいかな」って二の次になっていました。でも、考える時間が出来たときに、ふと「私って何のために稼いでるんやっけ」と。「コスプレしたかったんじゃん。入院して、あのままもし死んでいたらできなかったことだし、今が1番若いじゃん」と我に返りました。
――本格的に再開したことで新たな気持ちが生まれたり価値観の変化があれば教えて下さい。
ももちよさん 「いつでも行ける」と仕事を優先にして行かなかった推しのライブやイベントって、その瞬間しか体験できないものだと気づきました。なので、「次でいいか」は、やめましたね。やりたいと思っていても、後回しにしてたことは必ずやるし、現場にも行く。だって「そのために仕事頑張ってきたじゃん。何のためのお金やねん」と思います。
――ちなみに、コスプレ以外でやり残したと思ったことはありますか?
ももちよさん やっぱり子供は欲しいですよね。こればかりは1人ではどうにもならないことなんですけど。今は完全復活のために、ホルモン系のお薬や検査などもあるのでしっかり治したいです。子供とコスプレするというのも夢だったんで、ゆくゆくはそれも叶えたいです。
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