パク・ウンビン、“憎しみと絶望”の表現がすさまじい…憑依型演技が爆発「ダークウンビン！」と期待の声も＜ハイパーナイフ＞

2025.03.19 16:00

ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(2022年)の人気俳優パク・ウンビンが、映画「キングメーカー大統領を作った男」(2022年)の名優ソル・ギョングと共演するオリジナルドラマシリーズ「ハイパーナイフ闇の天才外科医」の第1週(1、2話)が3月19日に配信された。ウンビンが「ウ・ヨンウ―」や「無人島のディーバ」(2023年)の“陽”のイメージから一転、ダークなキャラクターを演じるとあって配信前から注目を集めていたが、初回から早速期待に違わぬすさまじい“狂気”を体現している。未来ある医学生だったチョン・セオク(ウンビン)が“狂気の人”へと変貌するまでを描いた第1週(1、2話)をレビューする。(以下、第1週のネタバレを含みます)

憎しみ抜いた“師”からの頼みは…

「ハイパーナイフ闇の天才外科医」は、2人の天才医師の熾烈な対立と頭脳戦を描くメディカル心理サスペンス。抜群のメスさばきで期待された天才外科医セオクは、恩師であり指導医でもあるチェ・ドッキ(ギョング)を心から尊敬していたが、やがて衝突。セオクは医師免許を剥奪されてしまう。

キャリアを失い、路地裏で違法な手術を引き受けながらドッキを憎み続けるセオクのもとにある日、ドッキ本人が訪ねてくる。不治の病を患い、命を救ってほしいと懇願するドッキ。救命か、復讐(ふくしゅう)か――。セオクは、滅多にない手術を行うチャンスと復讐の間で揺れ動く。

第1話では、田舎の薬局で薬剤師として働きながら闇医者として手術を続けるセオクのもとをドッキが訪れるまでが、そして第2話では、そんな2人が医学生と教授として出会い、決別するまでの経緯が描かれている。

手元もウンビン自身で！手術シーンに漂う緊迫感と高揚感

がらんとして薄暗く、ビニールカーテンで仕切られた空間に備えられた、立派な手術用機器。その中心で、セオクが手術をしている。ビニールカーテンの外ではスーツの男たちが手術を見守り、患者が訳ありであることを示唆している。

てきぱきと手術を進めるセオク。冷静な態度で、手術に相当手慣れているようだ。繊細に操作するためか機器のペダルを踏む足は裸足で、そんなことからも彼女が“普通ではない”ことが分かる。マスクと手術着の間からのぞく目に浮かぶ、ただならぬ緊迫感と高揚感。“ウンビンの指が細くて吹き替えられるスタッフがいなかった”という理由で本人が演じる手元の手技も鮮やかで、それだけでも“憑依型俳優”ウンビンのすさまじさが感じられる。

強烈！土砂降りの中で爆発するセオクの感情

ドッキに「三度の飯より手術が好き」と皮肉られるほど、手術に喜びを感じるセオク。ストーリーが進むにつれ、彼女の手術に対する尋常でない執着心があらわになっていく。強烈に自分を信じるあまり、自分の道を邪魔する者は絶対に許さない。それがたとえ、指導教員であるドッキであっても…。やがてセオクは、論文を暗記するほど憧れた師・ドッキと対立していく。

「何だ、まだ腹立たしいか。その抑えられない衝動、それが問題だ」とセオクを頭ごなしに否定するドッキ。突然手術室から閉め出されたセオクは、怒りをこらえてドッキに許しを乞う。象徴的なシーンが、土砂降りの中でずぶ濡れになって座り込んだセオクの前に傘を差したドッキが立ち、見下ろす場面だ。

もう一度手術がしたい一心で、勝ち気なセオクらしくないほど弱々しくドッキを見上げるセオクだが、ドッキにその願いは届かない。ドッキへの激しい憎しみの感情が芽生えたこの瞬間、セオクの表情が悲しみから戸惑い、怒り、憎しみへとゆっくり変化し、やがて絶望に至って感情が爆発する。その表情のグラデーションがすさまじい。