『春をぬくめて』が話題

冬支度をする野ねずみたちを描いたハートフルストーリーに「すごい泣いちゃった」など反響【漫画】

2025.03.13 08:30
『春をぬくめて』が話題

コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、胡桃さんが描く『春をぬくめて』をピックアップ。

胡桃さんが2月20日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、1.4万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、胡桃さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

2匹の野ねずみたちの強い絆

冬支度をするある2匹の野ねずみ。1匹は黒毛、もう1匹は赤毛で、赤毛の野ねずみはどこか少し抜けている。しっかりものの黒毛の野ねずみが、何度か教えたというブナの実が沢山ある場所もすぐに忘れてしまう。しかし、黒毛の野ねずみがどんぐり好きであることは覚えている、ちゃっかりものなのだった。

食料を探しながらも、赤毛の野ねずみは黒毛の野ねずみを驚かせるなどしてお気楽な様子。黒毛の野ねずみは、赤毛の野ねずみのお気楽さが好きである反面、とても心配だと言う。特に何度もケガをする耳を心配している、と真剣に話をしている時も、くるみの殻に頭をつっこみ、まったく話を聞いていない。そんな赤毛の野ねずみにあきれながらも、「君くらいしか友達いないんだから!」と赤毛の野ねずみを大事にしていることを不器用ながらに伝える。

今度は巣を温かくするために草を集め始めた2匹。すると、キツネの毛のようなものをくわえてくる赤毛の野ねずみ。彼らのすぐ後ろには天敵であるキツネの姿があった。

2匹はキツネから必死で逃げ、木のうろに身を隠す。黒毛の野ねずみは、キツネから自分を守るために尻尾を半分失った赤毛の野ねずみを見て自分を責める。どれだけ黒毛の野ねずみが赤毛の野ねずみを大事に思っているか、言葉の限り言うものの「頑張って聞くからちょっとだけ簡単におしえてよ」という赤毛の野ねずみ。すると、黒毛の野ねずみは「つまり つまりね 抱きしめてほしいだけなんだよ‥」と言うのだった。

作品を読んだ読者からは、「すごい泣いちゃった とても良い関係性」「一コマ一コマが絵画のようで、マンガを読むと言うよりは美術館に来たよう」など、反響の声が多く寄せられている。

作者・胡桃さん「動物の生きる力やその輝きのようなものを漫画として表現したかった」

――『春をぬくめて』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。

一番大きな理由は動物の生きる力やその輝きのようなものを漫画として表現したかったという理由です。私は幼い頃から動物が好きで様々な動物の本を読む中で『シートン動物記』に大きな衝撃を受けました。本の中で語られる野生動物の命の輝きやその崇高さを自分も表現できるようになりたいと思ったのが制作のきっかけです。『春をぬくめて』では生態系の底辺に位置する小動物を主人公に据え、捕食者の存在や食料の少ない時期など厳しい環境とネズミ同士の柔らかな関係の対比を描きました。

――本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

本作はバンド・デシネという絵画的表現を重視した作品のため、コマに囚われない表現やアナログ作画ならではのペンの描画跡などに注目していただけると嬉しいです!デジタル作画の作品が増えている中、アナログ作画の魅力も知ってもらいたいと考えています。

――『春をぬくめて』のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

かわいく描けたと感じたシーンは10ページの「つまり僕のこと大好きって事でしょ?大分かりさ!」の部分です。赤毛の子の楽観的な性格でありながら本質を理解していそうな、何も考えていなそうな…そんな雰囲気を描きこめたシーンだと感じています。

また、17ページもかなり気に入っています。このシーンは相手をどれだけ大切に思っているのか本質的な部分は伝わらないという絶望感と共に、この先の未来をどう生き抜くか、現実を受け止めきれないまま希望も持っている複雑な感情を描けたと思います。一つの感情だけじゃない、奥行きのあるページになっていると思います!

――本作を通して伝えたいメッセージがあればお教えください。

『春をぬくめて』はこの先の未来は描かれていませんし、野ねずみたちの心情もはっきりとは描いていません。読んでいただいた皆さんの中で彼らのこの先や感情を沢山想像していただけると嬉しいです。

――胡桃さんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。

現在、時間効率が重視されやすい風潮がある中で何度も立ち止まり、振り返ることのできる作品を制作することが目標です!願わくばバンド・デシネをより日本に馴染みあるものにする一人になりたいと考えています。アナログ描画の力を自分の満足するまで磨くことができるよう制作していきたいです。

――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

まだまだ画力に満足できず改善点も多いと感じています。これからも試行錯誤しより良いものにしていきます!その過程も皆さんに楽んでいただければと思います。

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