横浜流星“蔦重”が小芝風花“瀬川”と「2人で見てた夢」をつなぐ姿に感涙＜べらぼう＞

2025.03.10 11:47

横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第10回「『青楼美人』の見る夢は」が3月9日に放送された。前回、瀬川(小芝風花)に「俺がお前を幸せにしてえの！」と告白した蔦重(横浜)。本当の意味でのその思いはかなえられなかったが、蔦重は瀬川の“幸せ”を願って動いた。(以下、ネタバレを含みます)

数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く

森下佳子が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波瀾(はらん)万丈の生涯を描く痛快エンターテインメントドラマ。

蔦重はその人生の中で喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見い出し、また日本史上最大の謎のひとつといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。

蔦重の幼なじみの花魁・花の井(五代目瀬川)役で小芝風花、蔦重に影響を与える“希代の天才”平賀源内役で安田顕、幕府“新時代”を目指す権力者・田沼意次役で渡辺謙が出演。語りを綾瀬はるかが務める。

瀬川が喜ぶことを考える蔦重

鳥山検校(市原隼人)に身請けされた瀬川の最後の花魁道中が年の暮れに行われることに決まった。吉原の親父たちは、それに合わせて花魁たちの錦絵の本を作るように蔦重に言う。瀬川の次に売り出す花魁たちを世間に知らしめると共に、吉原を見下した地本問屋たちへの対抗心もあった。

「ずいぶん世話になったし、最後に何か、はなむけしなきゃいけねえっすね」と考える蔦重に、「花魁道中盛り上げて、ぱぁっと送り出しゃ、それでいいんじゃねえの」と義兄の治郎兵衛(中村蒼)。しかし蔦重は「けど、そりゃこちらが、瀬川使ってもうけてぇって話じゃねえっすか。もっとあいつが心から喜ぶようにしてえんすよ」と明かした。

そして思い付いたのが、女郎たちの普段の姿を描いた錦絵本だ。

本が完成し、売り出すのは瀬川が吉原を去る日。蔦重は瀬川のいる女郎屋、松葉屋の主人・半左衛門(正名僕蔵)に瀬川に渡してもらおうとする。すると、半左衛門は「忙しいから自分で渡してくれよ」と言った。蔦重と瀬川に吉原にいる者の“恋の地獄”を見せた一人である半左衛門の粋な計らいにグッとくる。

瀬川が蔦重の夢に「そりゃ、まあ、べらぼうだね」

蔦重から直接受け取った錦絵本。瀬川は、吉原を出ていく自分も描かれているのを知る。「最初で最後さ。わっちの絵はこの世でこれきり。フフフフ、うれしいもんだね」と笑う。描かれている姿は、本を読んでいるところだ。「それが一番お前らしい姿だと思ってよ」と蔦重。

“女郎をしてない女郎の絵”に、「ずるいよ、こんなふうに描かれると、楽しかったことばかり思い出しちまうよ」と瀬川の瞳から涙がこぼれる。

そんな瀬川に、蔦重は「俺は、吉原を楽しいことばかりのとこにしようと思ってんだよ。女郎が、いい思い出いっぺえ持って、大門出てくところにしたくてよ。いい身請けがゴロゴロあって、年季明けまでいるやつなんか、ほとんどいねぇのよ。吉原来りゃ、人生開けるなんて言われて、そのうち、わざわざ吉原来て、うめえことやろうって考えるやつが出てきてよぉ」と言う。

「馬鹿らしうありんす」と言いながら、笑顔を見せる瀬川。蔦重も笑うが、「…な。馬鹿みてえな、昼寝の夢みてえな話だ。けど、お前も同じだったんじゃねえの。こりゃ、2人で見てた夢じゃねえの？」と語り掛けた。

添い遂げることはかなわなかったが、“夢”が2人をつなぐ。蔦重は、その“夢”を追いかけていくのだ。そんな蔦重に瀬川がかけた「そりゃ、まあ、べらぼうだね」は、うれしそうな響きが込められていた。

この2人の様子に視聴者も感動。「素晴らしいソウルメイト」「結ばれなくても心はずっと結ばれてる」「好きだとか愛してるなんて言葉がなくても、こんなにも愛が伝わるなんてね」「最高のプロポーズじゃん」「号泣」「サブタイトル回収回。栄華の夢噺ってこういう意味が込められてたのか」といった声が上がった。

ただ、ラストで蔦重の錦絵本を地本問屋の鶴屋(風間俊介)が「これは売れません」と言い切った。蔦重と瀬川をつなぐ夢が途切れないことを祈るばかりだ。

◆文＝ザテレビジョンドラマ部