釣り合わないとわかっていても…恋するノラ犬のひたむきな想いを描いた「自分に重ねて読んじゃうよね」の声【漫画】

コミックの映像化やドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。

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今回は、モテる人を好きになってしまった主人公が、自分とは釣り合わないと思いながらも、ささやかな交流を重ねる日々を描いた、切なくも甘い片想いストーリー『おもいこみのノラ』をピックアップ。

作者の蒔さんが12月29日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、6.6万以上の「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、蒔さんにインタビューを行い、『おもいこみのノラ』の創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

恋するノラ犬のせつない日々

狼のアルは、美しい猫や可愛らしいうさぎたちに囲まれている。そんな彼に恋をしてしまった雑種犬のノラの私は、どう考えても釣り合わないとわかっているのに、心は止められなかった。

ノラの今日のランチは大好物のツナサンド。でも、アルが隣に座った途端、味なんてどうでもよくなってしまう。ただドキドキと鼓動だけがやたらと大きく聞こえた。「何か話さなきゃ」と焦るけれど、言葉が見つからない。そんなノラに、アルは唐突にプリンを差し出した。

もし魔法の鏡があったなら、アルの好きなタイプはどんな子なのか教えてほしい、とノラはひそかに気持ちを募らせる。

好きな人には好きな人がいるかもしれない。そんなの、よくある話。自分には関係ない――そう思い込もうとするたび、胸が締め付けられる。

一方、黒豹のニキは、キツネの店員ブルーに恋をしていた。キツネの店員ブルーが働くカフェにニキは毎日通い、飲めもしないブラックコーヒーを注文する。名前は知っているのに、今まで一度も呼んだことがない。

また一方で、美猫のケイティは微笑めば、誰もが恋に落ちる。でも、今回は違った。アルは微笑み返さなかった。アルの優しいまなざしは、ケイティに向けられることはないのだと、わかってしまった。

様々な視点から、恋する気持ちが交錯していく――。

「ノラちゃんアル君カップルはもちろんですが、あーちゃん推しです」「え〜良いわぁ。尊い」「日常の中の非日常(好きな人との時間)を淡々と描いているだけなのに刺さるッッッ！」「自分に重ねて読んじゃうよね」「キュンとした学生時代のあの頃…」「自分の大学時代をおもいだしてもきゅもきゅしている」「淡々とした日常なのに、感情だけが乱高下する日々」「甘酸っぱいねぇ〜可愛いねぇ」など、反響の声が寄せられている。

『おもいこみのノラ』誕生秘話――狼への憧れから生まれた物語

――『おもいこみのノラ』を創作したきっかけや理由があれば教えてください

狼は、昔から生き物として大好きで私の憧れの象徴でした。そんな狼のように気高く美しい生き方ができたらいいのにと思っていました。

この狼への憧れはおそらく恋心にも近いもので、そんな気持ちを感じるたびに「それに比べたら自分はただの人間だし、 動物になれたとしても野良犬で、ほど遠い」という長年の考えが、第1話が生まれたきっかけです。

――キャラクターはどのように生み出されたのか、教えてください

ヒロインの「ノラ」は、恋愛テーマの作品によく登場する「狼のようにクールなヒーロー」に 「雑種犬(野良犬)の女の子」が恋してもいいじゃないかというところから生まれました。

ノラは見た目や性格にコンプレックスや思い込みを持っていて、可愛くなり過ぎないようにしたいと思いから、地味な毛並みと片折れ耳にひょろっとしたデザインにしました。 その結果、読者の皆様にノラの「片折れ耳が可愛い」や「耳だけ色がついているのが好き」と言っていただけて、ノラ良かったねと思っています。

――作画の際にこだわっている点や「ここを見てほしい」というポイントがあれば教えて下さい

基本的に4コマ漫画の形式なので「わかりやすさ」「読みやすさ」を1番意識しています。 また、キャラクターの目線や仕草に表れる感情の温度感をシンプルな線で表現して、伝わる作品を作りたいと思っています。

――本作の中で特に思い入れのある(気に入っている) シーンやセリフと、その理由を教えください

6話「きみの好きは好きかもしれない」で、ノラとアルはまだ関わりが少なく言葉を交わしている訳ではないけれど、 お互いの存在と好きなものが、それぞれの世界を少し明るくしている様子を描くことができて、とても気に入っています。

――蒔さんにとって、一から世界観を創り上げ物語を展開していくうえで こだわっている点や特に意識している点がありましたら教えて下さい

筋の通ったテーマ設定で、ストーリーやキャラクターを考え漫画という形にすることはとても難しく、 もっと上手くなりたい気持ちばかりで、まだこれというこだわりはありません。 ですが、フィクションでありながらどこか読む人の日常に繋がっている様な世界観やキャラクター作りをしたいと思っています。

――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方ヘメッセージをお願いします

「おもいこみのノラ」に出会ってくださり本当にありがとうございます。 実は当初は、第1話だけで2話目以降の続きを描く予定はありませんでした。

有難いことに多くの方が読んでくださり、 キャラクター達が好いてもらえていることが描き続ける理由になっています。できるだけ長く続けたいと思っていますので、これからもゆったりと楽しんでいただけますと嬉しいです。