頑張りすぎて限界を迎えた主人公

死にたい…人生に疲れて海外へ。異文化が教えてくれた新しい価値観に「心が軽くなりました」【漫画】

2025.03.01 09:00
頑張りすぎて限界を迎えた主人公

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、くらげバンチで読切掲載された夕海さんの『線路はつづくよ、どこまでも』をピックアップ。

2024年11月29日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、2万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、夕海さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

人生に疲れた主人公。メルボルンの文化に触れて何を感じるのか…

幼少期から姉としての我慢癖があり責任感が強かった和希は、社会人になり働き始めてからも周囲から頼まれる仕事を断れず、キャパシティ以上の業務を背負い込んでいた。そしてある日、遂に限界を迎えてしまった和希は、会社を休んでしまう。なかなか立ち直ることができず数日間引きこもり続けていると、一本の電話が鳴った。いとこであり初恋の人・コウちゃんからだった。会社を休み続ける和希を心配したコウちゃんは、気晴らしにと彼の住むオーストラリア・メルボルンに遊びにおいでと誘う。さらに、結婚相手を紹介したいというコウちゃんに驚く和希だったが、すぐにメルボルンへ旅立った。

現地に着くと迎えてくれたのはコウちゃんと結婚相手である外国人男性。以前、母からコウちゃんは同性愛者であることを聞いてはいたが、実際に結婚相手を目の当たりにして、今まで知らなかった彼の一面を見た気がした。しかし、少し会話をしただけで感じ取れる細かな心遣いに、すぐ「昔と変わらない彼だ」と安心するのだった。

コウちゃんとの再会をはじめ、和希にとってメルボルンの人々の暮らしは驚きの連続だった。散歩中に乗ったトラム(路面電車)の中では、飛び交う人々の会話や乗客が持つスピーカーから流れる音楽、お弁当を食べる人など、日本とはだいぶ違う日常を見た。そこには、マイペースに生き、自分を大切にする人々の姿があったのだ。そんなメルボルンで過ごす時間は、和希にとって自分を見つめ直す機会になる。和希はメルボルンでの短い滞在期間で何を思い、どう変わっていくのか――。読者からは「読了感が晴れやかで、最高でした!!!」「重たかった気持ちがスカッとする感じ」といったストーリーを称賛する声と共に、「メルボルンライフがそのままこれ」といったメルボルンの描かれ方を絶賛するコメントも多数寄せられている。

作者・夕海さん「実体験をほとんどそのまま入れた形に」

――『線路はつづくよ、どこまでも』を創作したきっかけや理由などをお教えください。

メルボルン滞在中の話を担当さんとしていたときに、「それ描いてみませんか?」と言って頂いたのがきっかけです。海外を舞台にした作品はいつか描いてみたかったので、この機会に挑戦させていただくことになりました。

――本作を描く上で、特に心がけたところ、大切にしたことなどをお教えください。

海外に行った気分になれるような画面作りや空気感を意識しました。

また、海外上げ・日本下げな印象にならないよう、あくまで"リフレッシュ"としての海外滞在になるような塩梅は注意しつつ、明日からも日本で暮らす読者の方が、少しでもリフレッシュした気持ちで朝を迎えられたらいいな、という思いで作りました。

――X(旧 Twitter)のご投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響への感想をお聞かせいただけますでしょうか。

初めて「SNSでも読みやすいように」という意識で描いたので、実際にたくさんの方に読んでいただけたのはとてもうれしかったです。

コメント読ませて頂きながら、メルボルンの描き方に共感してくださった方とは握手を、主人公に感情移入してくださった方にはハグをしたい気持ちになりました。物語を通して読者の方の人生にも少し触れられたような感覚があって、貴重な経験でした。

「心が軽くなりました」という感想を複数いただけたのが印象的で、描いて良かったなと思えています。

――読者の感想の中に「メルボルンの解像度が高い」「メルボルンライフがそのままこれ」といった、作品の中で描かれているメルボルンの様子を絶賛する声が多く見受けられました。メルボルンに住んだことがある、メルボルンに住むご友人がいるなど、メルボルンの暮らしにお詳しい理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?

2022年末から2023年にかけて、メルボルンに3ヶ月間滞在していました。連載が決まっていたため短期間の滞在でしたが、作品と同じく年越し前後の時期に住んでいたので、実体験をほとんどそのまま入れた形になりました。作中に登場するカフェも、実際に自分がアルバイトさせてもらったお店をイメージしています。

暮らしていたとはいえ期間は短かったので、実際に行ったことがある方や住んでいる方から良い反応をいただけてホッとしました。

――ご投稿は作品の途中までの掲載となっておりますが、掲載ページ以降の注目してほしいポイントや見どころをお教えいただけますでしょうか?

和希とコウちゃんの二人の会話はこの作品のメッセージを含んだ大事なシーンかなと思います。

あとは日本に戻ってきた瞬間の景色や、ラストページの余韻も個人的には好きなところなので、ぜひ最後まで読んでいただけたらうれしいです!

――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。

思っていたよりもたくさん反響をいただくことができて、温かいお言葉の数々に自分の方が励まされました。ページ数的には自分史上一番長い短編になりましたが、最後まで読んでいただいた皆様本当にありがとうございました。

機会があればぜひメルボルンにも行ってみてください〜!

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