「同性代だから気持ちがよく分かる」作者が幼少時代に経験した“父のちゃぶ台返し”に反響続出【作者インタビュー】

2025.02.18 09:00

提供：WEBザテレビジョン

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回紹介するのは、漫画家の福々ちえさんが手がけた『「ちゃぶ台返し」は、実在した話』だ。

同作は、「はちみつコミックエッセイ」から福々さんが出版した『稼いだら幸せになれると思っ

てた』の一部を抜粋したエピソード。「ちゃぶ台返し」に関する話が描かれており、福々さんのX(旧Twitter)に投稿されると、多くの人の関心を集めたようだ。そこで作者である福々さんに、同作を描いたきっかけについて話を伺った。

自分の両親みたいになりたくないと思う作者の福々さん

ある日、福々さんが友人たちと食事をしている時のこと。元気がない福々さんを察した友人たちは、「あんた疲れてるんじゃない？」「お肉あげるから元気だして」と優しい言葉をかける。しかし、福々さんは心の中で謝罪しつつも、友達たちに対して「夫や子どもがいるから安心できる」「会社勤めで安定しているから安心できる」と心ないことを思ってしまう。

頼れる夫や会社、実家もない状況の福々さんが頼れるものはお金だけであり、そんな自分を「サイアクな性格だな」と思い、さらに「幸せになるためにもっと努力しなくちゃ」「両親みたいになってしまう」と自身を追い込む。そして、福々さんは幼少時代の両親の記憶を思い出し…。

福々さんの過去を描いた同作に、読者からは「私の父もちゃぶ台返しをよくやってた」「同性代の女性なので気持ちがよく分かる」など様々な反響が寄せられている。

作者・福々さんに「ちゃぶ台返し」を経験した人からの報告が？

――『稼いだら幸せになれると思ってた』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

はちみつコミックエッセイ編集長の松田紀子さんが主宰されている「コミックエッセイ描き方講座」を2020年に受講したことが、この本を描くきっかけとなりました。卒業制作で12ページの漫画を制作したのですが、それが本作の第一稿となっています。

「幸せ探し」をテーマに選んだのは、これまでの人生で最も長く深く考えてきたテーマだったからです。テーマを決めた時は「これなら描けそう」と思ったのに、いざ描き始めると筆がなかなか進まず。創作の苦しみを味わいました。それでも、編集の皆さんの力を借りながら無事2021年に完成させ、ようやく答えにたどり着けたことにホッとしています。

――Xに投稿された『「ちゃぶ台返し」は、実在した話』を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあれば教えてください。

こだわった点は、父親にちゃぶ台返しをされた直後に、自分が思ったことが「まだ白飯は大丈夫」だったところです。散らかった中でゴミにならなかった食べ物を冷静に確認してしまう、あの妙な落ち着いた気分が忘れられません。Xでも、「私の場合は…」と、ちゃぶ台返しの体験談を共有してくださる方がいて、まるで戦友ができたような心強さを感じました。本当にありがとうございました。

――『「ちゃぶ台返し」は、実在した話』の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

「味がしない」と呟いた場面でしょうか。両親が不仲で、決まって夕食時にケンカが始まるので、夕飯の時間は私にとって地獄そのものでした。それでも滑稽なことに、食事はいつも豪華でした。ビーフシチュー、ハンバーグ、エビフライ……。お金がないとケンカする中で、そんなごちそうが食卓に並ぶんです。子ども心に、どうしてこうなるのか混乱するばかりでした。いまだに両親の金銭感覚は理解できません。当時に戻れたら、まずは家計簿を確認してみたいですね(笑)。

――今後の展望や目標をお教えください。

今日より明日、明日より明後日と、少しずつでも面白い漫画が描けるように、これからも粛々と描き続けていきたいと思います。現在はSNSで自主連載をしていますので、ぜひXをフォローしていただけたら嬉しいです。

――読者へメッセージをお願いします。

この本は、私にとって漫画家人生の最初の一冊となります。拙い部分もありますが、その分、剥き出しの感情を描けたのではないかなと。特に30代の独身女性には共感していただける内容になっているかと思いますので、ぜひ最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。