川西賢志郎 撮影/松山勇樹 ヘアメイク/山内マサヒロ スタイリング/神山トモヒロ

川西賢志郎、漫才師を辞め新たな人生への思いを1冊に「すべて吐き出して次に進みたい」

2025.02.06 06:03
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「和牛」として漫才に向き合ってきた芸人・川西賢志郎。漫才コンビを解散し、漫才師として歩んできた“これまで”と、芸人としての“これから”を綴るエッセイ『はじまりと おわりと はじまりと ―まだ見ぬままになった弟子へ―』を上梓する。刊行に伴いインタビューを実施し、著書への思い、そしてこれからの活動について話を聞いた。(前後編の前編)

──漫才とずっと向き合ってきたキャリアだと思うのですが、辞めてからの心境で変化はありませんでしたか?

それはないですね。そこに至るまでに、しっかり自分と対話してきましたから。一個一個の選択を、「お前これでいいんか」と、自問自答しながら歩んできたので。こんな言い方をしたら、漫才師として応援してくれてた人のなかには寂しく思われるような方もいるかもしれませんが、後悔とか未練とかは一切ないんですよね。

──となると、基本的には漫才師をもう一度やることは考えていないですか?

そうですね。僕自身、解散を決めるまでのある程度の期間、いつ最後の舞台になっても悔いは残さない覚悟でやっていたし、週刊誌の記事によって本当に急に最後の舞台になりましたが、悔いはないです。

──漫才師ではなくなったいま、漫才をやるために舞台に立つこともなくなったと思いますが、何かご自身に変化はありますか?

昼食がヘルシーになりました(笑)。劇場へ行くとお昼はカレーとかラーメンとか中華ばっかりでしたけど、それがなくなりましたね。久しぶりに会ったスタイリストさんに「顔がスッキリしましたね」と。添加物とか余計な塩分が抜けたせいかもしれませんが、今聞かれて一番に思いついた変化はそれです。

──現在は俳優業にも挑戦されていると思います。今まで挑戦してきたこととの違いや難しさはありますか?

もちろんありますね。環境や共演者や求められることは違います。それでも、あくまでも自分がその場所に行く心持ちは、それまでの延長線上でしかないなと思っています。僕は漫才をやっているときから細かい所作で感情表現するということに人一倍こだわってきたと思っていますし、だから、コントにしろドラマにしろ感情の表現を考える作業は同じで、ひとつづきなんです。それが作品にどこまで貢献できているかは、僕にはわかりませんが。

──今後の川西さんの活躍の場所はどこになるのでしょうか?

僕は俳優業を切り分けていないし、今までの延長線上でやっています。肩書とか誰になろうとかそういうことじゃないんです。3月にライブをやります。解散することが決まってから、本を出すことと、一人でライブをやることは決めていました。なので、ようやく自分の中でいったん完結するような思いであり、それからのことはその後考えようと思っています。

──今回、本を書こうと思ったきっかけを教えて下さい。

コンビを解散し、漫才師を辞めるとなったときに、自分が何を経験してどんなことを考えたかということをすべて吐き出して次に進みたいなと思いました。何がいいかと考えたとき、本が形にも残るし、いいかなと思いました。

──本を残そうと決め、すぐにKADOKAWAさんから出版という話になっていったんでしょうか?

そもそもお話をいただいて書いた本じゃなくて、僕が本にしようと思って勝手に書き始めて、どこで出版するのかもわからないまま7割ぐらい書いていました。そこで、僕はKADOKAWAさんの『ダ・ヴィンチ』という雑誌でずっと連載をさせていただいていたので、そのときの編集長に見てくださいと見せたんですよ。その方はもうKADOKAWAを辞めていたので、後任の方に引き継いでくださって、出版に至りました。

──書籍はまだ見ぬ弟子に向けてとのことでしたが、その形式は出版社との話し合いでそうしたものなのか、それとも最初から頭の中にあったのでしょうか?

弟子に向けてという形は自分発信のものです。エッセイやから私的なことではあるんですけど、書けば書くほど「一体こいつは何を熱くなって、誰に向かって言うてんねん」となられることもあるかもしれないなと。自分の言いたいことがきちんと伝わらなくては意味がないと考えた時に、弟子という存在が仮にいたとして、その弟子に向かって言っているんだとしたら聞きやすかったり、伝わりやすいかなと思いました。

──確かに弟子という要素が乗っかることによって、また読み応えが変わっていますよね。「まだ見ぬままになった弟子」はサブタイトルにもなりました。

元々、(仮)で「まだ見ぬままになった弟子へ」というタイトルで書き進めていました。ただ、これでは手にとってもらえる間口が狭くなりすぎる。そこでサブタイトルにすることに。メインタイトルは悩みましたが、担当者との話し合いの中で「本の内容に当てはまって、わかりやすいほうがいいんじゃないか」という指摘があって、最初に浮かんだのが『はじまりと おわりと はじまりと』でした。漫才師としては終わりだけど、新しい人生が始まっている。そして当然、終わったことにも始まりがあったということが、自分の中ですとんと収まりました。

──編集の方からの指摘もしっかり取り入れているとお見受けしますが、文章内でそういったことはありました?

いや、それ以外は僕がわがままを聞いてもらったかもしれないですね。中身のこともそうですが、発売日だって3月とかもう少し後でいきたいという話が出ていたんですけど、ちょっとでも僕が早くしてもらいたくて2月15日に決まりましたから。

──ご自身の思いを形にして、思考が整理されていくという気持ちはあったんでしょうか?

すべて完結した上で書き始めたので、気持ちの整理はついていました。ただ、具体的に言語化することはできましたし、言葉にしていくことでより考えや気持ちがクリアになっていくことはありましたね。

──この部分を言語化できて良かったというところはありますか?

全部ですね。この本には残そうと思ったことしか書いていないので。息抜きのためにふわっとした文章を入れるというのはなく、すべて血の通った言葉だと思っています。

──確かに読んでいても、ずっしりと来る内容です。一方で、カバー写真は文章のイメージと少し異なる印象ですよね。

どこで息継ぎしたらいいかと僕もまさに思うんですよ。最初に見せた元ダ・ヴィンチ編集長にも息を抜けるポイントを作ったほうが良いと指摘されました。内容に応じてた写真を入れ込んでいくことは考えてましたが、カバーも含めて考え直しました。例えば舞台の話をしているところは舞台袖からの写真を入れるなど考えていたんですけど、もっと力が抜けていてもいいのかなと。そこで、自伝的な要素のある本であることから、僕が見て育ったのどかな原風景を入れたらひとつの余白にもなるんじゃないかと思って、地元に帰って写真をいっぱい撮りました。そのうちの一枚が表紙になりました。

──最後にこの本がどういう人に届いてほしいとお考えですか?

この本のテーマは『人生』だと思っています。お笑いの本でも、漫才に特化した専門書でもない。一人の人間がどう生きてきて、どう生きていこうとしているのかを正直に語っている。本を通して、世代も仕事も関係なく、何かひとつの言葉は誰かに届くんじゃないかなと思っています。なので、基本的にはいろんな人に読んでほしいのが本音です。

でも、この本が発売されるときにSNSの反響も見ましたが、読みたいという人も興味ないよという人もいました。その中で僕が気になったのが、読んでもないのに勝手なことを言って嘲笑するように「(笑)」みたいな書き方をする人がいて、現代の風潮を表しているなと。誰かが人生をかけてきたことに対して、形にして前に進もうと思っていることを薄ら笑える人って、人生をかけて何かにぶつかったことがないからじゃないかと思います。だから薄ら笑える。そこまでいっちゃうと僕の言葉って届かないのかなって思っちゃうので、そういう人以外全員に読んでほしいですね。

▽『はじまりと おわりと はじまりと ―まだ見ぬままになった弟子へ―』 川西賢志郎 KADOKAWA(2025年2月15日発売)

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