

20年間引きこもり続け、いつの間にか35歳…自分を変える決意をしてからの衝撃展開に「お話の魅力に引きずり込まれた」の声【作者インタビュー】

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、サイコミで連載中のゆうち巳くみさんが描く『日陰者でもやり直していいですか?』をピックアップ。
2024年11月9日に作者がX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、10万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、ゆうち巳くみさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
“引きこもり”の殻を破るため、勇気を振り絞った主人公に待っていたのは…
とあることがきっかけで20年もの間、家に引きこもり続けている35歳の神庭小晴(かんばこはる)は、ある日、久しぶりに顔を合わせた母の白髪だらけな姿に驚き、親が元気なうちに現状を変えなければと決意。勇気を出してSNSで友達を募集し、すぐに会いに出掛けた。「人と話せるようになったらバイトも探す」両親にそう伝え、大きな一歩を踏み出したのだが、いざSNSで約束した相手を前にした小晴は、上手に話すことができなかった。口ごもり不器用な笑みを浮かべる小晴に対し、引き気味の表情を浮かべた相手は、逃げるようにその場を立ち去る。相手の表情と過去のトラウマが重なった小晴はパニックになって無我夢中で走り出した。そしてそのまま工事中の橋から落ちてしまい、人生は幕を閉じたのだが…。
彼女は目覚めた。てっきり死んだとばかり思っていたのに、病院にいる状況でもなく…不思議に感じた小晴はふと鏡で自分の姿を見て驚いた。ずいぶんと幼くなったような…。直後、部屋に入ってきた母から言われた言葉にさらに驚く。「今日から高校生でしょ!」小晴は、あのときの“死”をきっかけに、高校生の自分に生まれ変わったのだった!
高校へ行くと小学校が一緒だった男子と再会。家族以外の人と普通に話せている自分に驚く。そして、まさに青春真っ只中を生きる高校生たちを眩しそうな目で見つめながら、いつ自分が独りぼっちになり引きこもることになったのかを考えていた。そんな中、高校生活2日目にして、クラスでとある事件が起きるのだった――。
引きこもりだった主人公が自分を変えるべく勇気を振り絞る展開に、読者から「何か自分に重なってめっちゃ響きました」「刺さった」など多くの反響が寄せられた。
作者・ゆうち巳くみさん「一度でも心がささくれてしまった事がある人に向けて」
――サイコミでの第1話の作者コメントに綴られていた「今を生きる子どもたちと、過去に子どもだった方たちの健康と幸福を願っています」との言葉が大変印象的でした。『日陰者でもやり直していいですか?』を創作したきっかけや作品に込めた想いなどをお聞かせいただけますでしょうか?
クラスのキラキラグループの輪には絶対入っていけないような、気弱でオタク気質の女の子を主人公に据えて、「学校で起こる嫌な事に直面しながらも、一歩ずつ前に進む漫画」が描きたいと思った事がきっかけでした。担当編集さんの提案で主人公が大人の時代から転生する事になったのですが、そのお陰で「精神的に成熟した状態で、過去の自分と向き合い、且つ子どもたちと交流する」内容になっていったので、それはそれで面白いなと思いまして、結果的にこの設定にして正解だったと思っています。
作品に込めた想いとしては、一度でも心がささくれてしまった事がある人に向けて、どんな感情を抱えていても、一旦立ち止まって眠れる布団のようなものに作品自体がなれたらなと。ただ寝具と体には相性があるので、GOODでもBADでも好きに感じていただけたらと思います。
1話の作者コメントに関してですが、子どもって、未熟で弱くて柔らかくて、良くも悪くもその時の経験が一生モノになってしまうので…それを今体験している子どもたちも、過去を引きずる大人たちも、偉いし頑張ってるし愛おしいなと。そう思えるのは私自身がまだまだ人間の苦味を知らないからかもしれませんが、あなたはあなたが想像する以上にきっと可愛いですよ、だから元気でいてください。という気持ちから、そのように書かせていただきました。
――本作を描く上で、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
あまり暗くなりすぎないように気を付けています。読者さんにどん底まで落ち込んでほしくて描いている訳じゃないので。持ち込みの為に最初に一人で企画を作った時点で、ギャグシーンを多めに入れたりしてバランスをとっていたのですが、それでも話が進んでくるとつい暗すぎる内容を描いてしまって…どうしても我々の生きる現実は暗さが目立ちますけど、今この作品で提供するべきはそこじゃないなと。
――20年も引きこもり生活を続けていた小晴にとって、「変わらなきゃ」と思い動き出す決断をしたのは相当のパワーが必要だったと思います。ゆうち巳くみさんから見た小晴の好きなところや尊敬するところなどをお教えください。
私自身、傷ついたり回復したり、なんやかんや色々あった人生を振り返った時に、自分の意志はどうだったか?を思い返すと結果的に変われた事はあっても「変わらなきゃ」と思った事は一度もないんですよね。ずっと目の前にあった道のりを歩いただけで。
でも小晴は「変わらなきゃ」と思って自分の意志で一気に立ち上がるので、私には無い強い勇気と正義感が元からあったんだと思います。正義感が強いからこそ、自分と現実の折り合いがつかなくて、長い間引きこもってしまったのかなと。そして子ども時代に戻ってからは、その勇気と正義感を次々に行動に移していくので、偉い人だなと…。(漫画だから、フィクションだからという部分も勿論ありますが。)1話では20年動かなかった人間のリアルを深く描いてはいないので、この先どこかで掘り下げられたらいいなと思ってます。好きなところは、時々泣き方が可愛くないところです。それが可愛いと思って描いてます。
――X(旧Twitter)の投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響への感想をお聞かせいただけますでしょうか?
みんな心のどこかに弱さを抱えていたからこそ、投稿に反応して下さったのかなと思います。コメントもRTも沢山頂きましたけども、サイレントのいいねが尋常じゃないくらい沢山ついたので、みんな優しいな、表に出ない優しさを沢山抱えて生きてるんだな…と、ほっこりさせて頂いてました。
――投稿されていたお話は第1話の途中までとなっていますが、以降の見どころや注目してほしいポイントをお教えいただけますでしょうか?
実は、この後に築かれる作品の構造としては「女主人公転生ハーレム」という説明で片づけてしまう事も出来るんです。が、それはあくまでそういうラベルも貼れるというだけで、もっと色んなラベルを、読者さんが各々心の中で貼ってくれたら嬉しいなと思ってます。注目ポイントとしましては、話が進むにつれてキャラクター達の態度や言動が徐々に変わっていく筈なので、どこまで変わっていくのか、作者と一緒に見守って頂けたら幸いです。
――今後の展望・目標をお教えください。
連載が終わる時は美しく閉じてあげたいです。作中のキャラクター含め、読者さん含め、沢山の子どもたちをお預かりしている状況なので。メディア化のご依頼もお待ちしております!
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
この作品に反応して下さった方々は、心のどこかに弱さと優しさを抱えた方々だと思っています。攻撃的になってしまった方も、その方なりのSOSだと思ってます。
一人一人会いに行って話を聞く事はできないですが、私なりに学生時代の欠片をお届けしていくので、こういう価値観の作家、キャラクターもいるんだなとサンプルにしてもらえましたら幸いです。是非色んな漫画を読んで、人生を豊かにしてください。
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