加藤シゲアキ、チャリティー小説企画に葛藤も「やらないよりはやったほうがいい。書籍でしかできないことがある」
NEWSの加藤シゲアキが、1月21日に都内で開催されたチャリティー小説「あえのがたり」(講談社)発売記念会見に出席。作家の小川哲、リモートで参加した今村翔吾と共に企画の経緯や作品に込めた思いなどを語った。
能登半島地震支援企画に10人の作家が参加
「あえのがたり」は、2024年1月の直木賞選考会の夜に集まった3人の同世代作家・今村、小川、加藤の呼び掛けにより始まった能登半島地震支援企画。今村、小川、加藤のほか、朝井リョウ、麻布競馬場、荒木あかね、今村昌弘、佐藤究、蝉谷めぐ実、柚木麻子の計10人の作家が企画主旨に賛同し、小説を寄稿した。
あらためて今作の経緯について、加藤は「『直木賞』の待ち会に今村先生が来てくださって、『一緒に何かやりませんか?』というお話をさせてもらいました。(加藤の『なれのはて』が受賞を逃して)夜に残念会という形で食事していたときに小川さんが来てくださって、『こんな構想があるんですけど、チャリティー小説を一緒にやりませんか?』というふうにお誘いしたのが事の始まりでした」と明かす。
当時のことを思い返し、小川は「残念会に行ったとき、加藤さん本人は否定するんですけど、めっちゃ落ち込んでて。編集者も困るぐらい重い空気が流れていて…」と、加藤の落ち込みぶりを暴露。
続けて「加藤さんから『能登のチャリティーをやりたい』という話があって、僕自身は趣旨に賛同した上で、まずは加藤さん自身のチャリティーというか、加藤さんが“直木賞で落ちたからこそこの仕事ができた”というふうに胸を張れるといいな、という気持ちもありました」と企画の趣旨はもちろん、第一に加藤のことを慮って参加したことを伝えると、加藤は「落ち込んだフリね(笑)。でも、ありがとうございます」と強がりながら感謝した。
今作は10人の作家が参加した短編集という形になっているが、今村は「他の9人の方がどう考えているのか分からないですけど、僕自身は“みんなでやる”ということに意識を置いて書きました」とし、「呼び掛けた側にいるだけに、自分の仕事というか、役割をしっかりこなしつつ、全員のやらなさそうなところの隙間を埋めるものができたらいいなと。この国は災害が多いので、さまざまな人たちがそういうのを乗り越えてきた歴史を書けたら、未来につながるんじゃないかなと」と、自身の作品に込めた思いを打ち明けた。
加藤「すべて僕のエゴなのではないかと…」
また、加藤は「発起人というのもありますし、作家の方たちにオファーした段階で僕が真っすぐ正面を書くべきだろうと。皆さんが僕の場所を空けてくれている感じもしたので、チャリティー小説でやるべきことというか、震災からの未来を描くという形で書いてみようと思いました。チャリティー小説なので、アンハッピーな終わりはなく、どれも基本的にはハッピーエンドで、抜けのいい読後感というものは恐らく全作家が意識したところではありました」と力を込めた。
そんな加藤自身、30年前に阪神・淡路大震災で被災した経験もあり、「大人になって振り返るとそのときにたくさんチャリティーに救われていたんだなと。小学1年生だったのであまり実感がなかったんですけど、いろんな方々が目を向けてくれていたんだなということが振り返ってうれしくなったので、チャリティーという形で参加したいと、震災があってすぐに思いました」と振り返る。
ただ、チャリティー小説を出版することに関しては葛藤もあったそうで「チャリティー小説をやろうということに、どこかで意義を感じながらもすべて僕のエゴなのではないかと、本当に小説を出す意味はあるのかという葛藤は少なからずあった」と率直な思いも吐露した。
それでも加藤は「やらないよりはやったほうがいい。書籍でしかできないことがあると。書籍という部分の、すぐに形にはできないけれど、長く寄付できて、力になれるものもあるのではないかと思いました。何より人の心や思いを物語を通して少し揺さぶることができたら、それが小説の力なのではないかと思い、企画を実現するに至りました」と前を向き、企画実現に動いたという。
最後に加藤は「出来上がった本を見て僕自身も感慨深く、全作家が思いを込めて作ってくれたのが読んで伝わる、本当に素晴らしい短編集が出来ました。チャリティー小説だからということではなく、純粋に面白い短編集が出来たと思いますし、能登のことを思って手に取っていただけたら」と呼び掛けた。
「あえのがたり」は1月22日(水)に発売。
◆取材・文・撮影=月島勝利(STABLENT)
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