コン・ユ"シン"「上将軍キム・シン、王様にお目通りを」果たせなかった復讐の標的は身近にいた…＜トッケビ＞

2025.01.17 12:00

コン・ユが主演を務める韓流ドラマ「トッケビ～君がくれた愛しい日々～」(Huluにて配信中)。2016年に全16話が放送された同作は、不滅の命を生きる“トッケビ”とその命を終わらせる力を持つ唯一の存在である“トッケビの花嫁”が織りなすファンタジー・ラブロマンス作品だ。第10話から第12話までの間には、トッケビであるキム・シン(コン・ユ)とその妹キム・ソンの悲劇、そしてそれらを引き起こした元凶が明らかになった(以下、ネタバレがあります)。

国を支配するべく暗躍した男が生んだ悲劇

死神(イ・ドンウク)は、自身が失った記憶に関わっていると考えられる女性…キム・シンの妹を追っていた。以前自らの手で記憶を消したチ・ウンタク(キム・ゴウン)が通うバイト先の店長・サニー(ユ・インナ)と再会した死神は、彼女の本名であるキム・ソンという名前を口にしてしまう。記憶を失ってからはサニーと名乗っており、名前を教えた記憶のないサニー。当然死神の言葉を怪しみ、逃げようとする彼の手を取る。

サニーに触れられた瞬間、彼女の前世の姿を知る死神。その姿は自分の記憶を探るきっかけとなった掛け軸の女性と瓜二つで、余計に死神を困惑させる。さらにキム・シンは自分の妹の名前もキム・ソンであると告白した。

キム・シンはサニーが妹の生まれ変わりなのかは分からないとしながら、もし生まれ変わりであるならば現世では元気で、幸せで過ごせているか、誰かに愛されているのかは気がかりだと語る。死神はその言葉を聞いて、ついにキム・シンの過去について問いただす。

自らの過去について、改めて語り始めるキム・シン。当時、国子監(ククチャガム、国の最高教育機関)の博士(パクサ)パク・チュンホンが王宮を訪れて以降、ワン・ヨ(キム・ミンジェ)以外の王位継承者やほかの王族が病によって亡くなってしまっていた。そして病に伏した王は、キム・シンに「ヨが王座についたら、そなたの妹を嫁がせヨを守ってくれ」と頼みこむ。

一方、パク・チュンホンは幼いワン・ヨが王座についたのちに彼を利用し、意のままに操ることで国を牛耳ることを考えていた。遺言でもあるキム・ソンとの結婚はワン・ヨを操りたいパク・チュンホンにとっては都合の悪いものだったが、遺言には従わざるをえない。ワン・ヨはキム・シンの妹キム・ソンと結婚し、2人は惹かれあう。

それからもパク・チュンホンは言葉巧みにワン・ヨの心を操り、思惑通りに宮廷内の支配を押し広げる。巧みな人心掌握術によってパク・チュンホンに惑わされたワン・ヨは、キム・シンを辺境の地へと向かうよう指示。「可能な限り遠くへ行き、帰ってくるな」と冷酷に告げるのだった。

明らかにようすのおかしいワン・ヨに、キム・ソンは国のことを考えて進言する。「どうか辺境のキム・シンを呼び戻し王様のおそばに。そしてパクとは距離を」と告げられた途端、ワン・ヨは「ついに本性を現したな」と激高。「王が民を守るのだ。なぜ民が王を守る」といきどおる。

辺境へ向かわされ勝算のない戦いから生還し続けているキム・シン。彼が民から「武神」と崇められていることを、ワン・ヨは脅威だと考えていた。彼は今後キム・シンの剣が自分へ向けられない保証はないこと、王である自分を差し置いて民に神と崇められることは「反逆」と語った。

王の猜疑心を巧みに操ったパク・チュンホンが「王室の権威を守るために」とキム・シンの処刑を提案。その結果、キム・シンとキム・ソン、そして彼らの部下が命を落とす悲劇が訪れてしまったのだ。

紐解かれていく、サニーの前世の記憶

キム・シンと死神はサニーのもとへと訪れる。キム・シンはキム・ソンの生まれ変わりだと考えて思いがあふれてしまい、彼女を抱きしめてしまう。呆れるサニーになお食い下がるキム・シンに、「見た目はまともなのに…」とこぼすサニー。前世の話を聞いてくれるかと思いきや、当然ながら突き返されてしまった。

キム・ソンという人物について説明するチ・ウンタクとの話の流れで、サニーは死神とトッケビの家を訪れることを決める。突然の来訪に驚くキム・シンと死神だったが、サニーも真剣ということがわかると掛け軸を見せることに。キム・ソンについて知ろうとするサニーへ、キム・シンは過去の妹とのやりとりを伝える。

高麗の時代、ワン・ヨのことを一心に思うキム・ソンだったが、ワン・ヨもまたキム・ソンのことを想っていた。しかしキム・シンへの嫉妬を突かれ、脅威だというパク・チュンホンの言葉にワン・ヨは心を乱されてしまう。

キム・シンが処刑を命じられた日、ワン・ヨは平静ではなかった。キム・ソンにも強く当たり、「私にはわからぬ。私の敵は誰なのだ」「どちらか選べ。私の女として生きるか、大罪人の妹として死ぬか」と迫る。結果、キム・ソンは兄を裏切ることなく、大罪人の妹として死を選んだのだった。

話を聞いたサニーは胸の痛みを感じつつ、見てきたように語るキム・シンが本当に長く生きているのではないかと思うように。しかし前世の兄だからと親しげにするなと厳しく告げ、すぐには受け入れられないからとトッケビの家を後にする。

サニーを気にしたチ・ウンタクがバイト先を訪れると、カウンターで眠っているサニーの姿があった。トッケビの家を出てから体が痛むというサニー。胸の中に強い痛みがあり、潰れてしまいそうだと語る。チ・ウンタクはそんな彼女を自宅まで送り届けて看病することに。

そんななか、キム・シンのもとへ死神がある報せを届ける。それはチ・ウンタクの名簿であり、彼女の死期が迫っていることを告げていた。それを隠さずチ・ウンタクに見せたキム・シンは、“トッケビの剣を抜かなければ死ぬ”というトッケビの花嫁の運命を告白。それを聞いたチ・ウンタクは、これまで幾度もキム・シンたちに守られていたことを理解する。

それを聞いたチ・ウンタクは「神様はおじさんにも私にもとても残酷ね」と、残酷な運命に涙をこぼす。自分が死ぬという選択にも、剣を抜くという選択にも、どちらも「そうするか」と答えるキム・シン。だが「一緒に死のう」という言葉には「ウンタク、私を見ろ」「君を死なせたりしない。私が守る。必ず守り抜く」と優しく声をかける。キム・シンは改めてチ・ウンタクを守り、彼女の手を離さないことを約束した。

だが後日、バイト先の掃除をしていたチ・ウンタクのもとに集まってきていた幽霊が、“超ベテランの幽霊”を紹介すると語りかける。20年前に死神からも逃れたというその幽霊は、あまりにも異質な雰囲気を持つ“現代の人物とは思えない男”。彼は古い装束に身を包み、「お前がトッケビの花嫁か」とチ・ウンタクに舌なめずりをする。

チ・ウンタクへと迫る、現代によみがえった元凶

大学生としてデビューしたチ・ウンタクは充実した1日を過ごしていた。しかしそんな彼女の前に、再び不気味な幽霊が姿を現す。パク・チュンホンと名乗った幽霊は、ワン・ヨが今キム・シンと暮らしている…つまり、死神こそがワン・ヨであると語った。

大学で勉強しながら思い悩んでいたチ・ウンタクの前に、死神が姿を現す。死神は相談相手を探していたらしく、チ・ウンタクとともに外へ出る。「前世で大罪を犯すと死神になるんだ」「どうやらキム家の兄妹の歴史に関与してるらしい」と死神は悩みを告白。キム家に関わる歴史のなかで大罪を犯したのはキム・シン、ワン・ヨ、パク・チュンホンの3人だ。キム・シンは今も生きているため、自分がワン・ヨかパク・チュンホンであると考える死神。どちらであってもキム・シンの敵であり、キム・シンの妹が生まれ変わった存在であるサニーとはもう会えないと思いつめているようだ。

それでも死神は、夜にサニーのもとを訪れていた。“前世を呼び起こす力”があるという死神のキスに懸けて、サニーの前世に自分がどのように登場するのかを確かめようという試み。結果を恐れながらも、死神はサニーの前世の記憶を呼び起こすため彼女にキスをする。

前世の記憶が戻ったサニーは涙を流し、記憶のなかにキム・シンと死神の姿があったと明かす。死神は自分の力で幸せな時間だけを残し、つらい記憶を忘れさせることを提案。涙を流しながら「あなただけは幸せな結末を迎えて」と最後に告げた死神は、力を使ってその場を後にした。

後日、死神の力によって幸せな前世の記憶だけを思い出したサニーは、自分の店へやってきたキム・シンを涙とともに迎える。生まれ変わった妹と抱きしめあいながら、兄妹はその絆を確かめあう。

キム・シンが大学への送迎をしてくれるなか、チ・ウンタクはキム・シンからサニーが前世の記憶を思い出したことを聞く。あまりにも唐突な話にパク・チュンホンの影響かと考えたチ・ウンタク。パク・チュンホンの霊と出会ったことをキム・シンに伝えると、キム・シンはトッケビの家が一番安全だとしてひとまず彼女を帰らせる。

その夜、キム・シンはパク・チュンホンの気配を突き止めて彼に襲いかかった。しかしパク・チュンホンにはキム・シンの力は通じず、さらには人にとりつく力をキム・シンに見せつける。さらに死神の前世がワン・ヨであると明かしたパク・チュンホンは、衝撃を受けるキム・シンの虚をついて逃げおおせるのだった。

そしてキム・シンは、いまだに自分がワン・ヨなのかと思い悩む死神のもとへと訪れる。そして死神の首を、キム・シンの手が力強く掴む。「上将軍キム・シン、王様にお目通りを」と語るキム・シンの瞳は、普段死神に向けるものとは異なっていた。