横浜流星が体現した“蔦重”の優しさと強さ、吉原の影など斬新な演出で衝撃と期待の声が寄せられるスタート<べらぼう>
横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第1回「ありがた山の寒がらす」が1月5日に放送された。多くの浮世絵師を世に出したことで知られる蔦屋重三郎(横浜)の生涯を描く本作。のちに江戸のメディア王と呼ばれるようになる目覚めの瞬間を横浜が見事に表現した。(以下、ネタバレを含みます)
数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く
本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く痛快エンターテイメントドラマ。
蔦重はその人生の中で浮世絵師の喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝らを見い出し、また日本史上最大の謎のひとつといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。
蔦重が暮らす、華やかに見える吉原の闇
江戸幕府に公認された遊郭、吉原。第1回は、明和9(1772)年に江戸のまちを襲った大火がこの吉原にもおよび、人々が逃げ惑うシーンから始まった。櫓に登り、半鐘を鳴らして危険を知らせていたのが主人公の蔦重だ。
その後、語りを担当する綾瀬はるかが、人の姿に“化けた”吉原に祀られている九郎助稲荷で登場。吉原がどんな場所なのかを説明していった。化けたはずの花魁姿だが狐のしっぽは隠せない、そんなかわいさと、位置関係をスマホで紹介するという斬新な演出も「衝撃」「面白い」と注目された。
そして物語で浮かび上がったのは、吉原の闇だ。岡場所と呼ばれる無許可営業の風俗街や飯盛り女という名の売春婦を置く宿場に客が流れ、夜はまだしも昼の営業は客がまばらで、ことに格安な河岸見世の女郎たちは困窮するばかりだった。
ある日、蔦重は、今は花魁となった花の井(小芝風花)と共に幼いときにかわいがってくれた元花魁で河岸見世に移された朝顔(愛希れいか)の死を知る。朝顔の遺体は、盗人に着物をはがれ、裸で墓地に横たわっていた。
横浜流星の演技に「魅入った」の声
「吉原に好き好んで来る女なんていねぇ。女郎は口減らしに売られて来てんだ。きつい勤めだけど、おまんま(食事)だけは食える。親兄弟はいなくても白い飯だけは食える。それが吉原だったんだよ!」。
蔦重はこの状況をなんとかしたいと、女郎屋や客に女郎を紹介する役割を持つ引手茶屋の主人たちに助けを求めるが、まったく相手にされなかった。次に、岡場所の“けいどう(取り締まり)”を奉行所に訴えるも同じだった。
そんなときに偶然出会った男に勧められ、老中・田沼意次(渡辺謙)の元へ。意次の屋敷に入ろうとしていた吉原の常連客の荷物持ちに強引にふんして屋敷に上がり込んだ蔦重は、意次に吉原の窮状を訴え、“けいどう”を願った。
すると意次は、岡場所や宿場が賑わっていることで国益も生んでいることや、女郎屋の主人たちの不当な取り分について諭したうえで、「吉原に客が足を運ばぬのは、もはや吉原が足を運ぶ値打ちもない場に成り下がっているのではないか」「人を呼ぶ工夫が足りぬのではないか?お前は何かしているのか、客を呼ぶ工夫を」と問い掛けた。
その言葉に蔦重の表情が変わった。蔦重は「お言葉、目が覚めるような思いがいたしやした。まこと、ありがた山の寒がらすにございます!」と感謝し、頭を下げた。茶屋の仕事を手伝うかたわら、遊女たちに向けた貸本屋を営む蔦重らしい言い回しで、サブタイトルを回収した。
のちに“江戸のメディア王”となる蔦重が目覚める瞬間。演じる横浜の優しさや強さを内包した演技が見事だった。
SNSには「魅入ってしまった」「演技が活き活き」「流星くんの演技力やっぱりすごい」と横浜への称賛のほか、「1年間見届けたいと思えた60分だった」「期待が膨らむ」という声も寄せられた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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