【インタビュー後編】AKB48カバーアルバムで初選抜の岩立沙穂・武藤小麟・鈴木くるみ「選抜入りで成長できたし自分の考え方も新しくなった」

　AKB48にとって通算10作目のアルバムであり、AKB48史上初となるコンセプトカバーアルバムの『なんてったってAKB48』が12月25日のクリスマスにリリースされる。本作は「アイドル タイムマシン」をコンセプトに、昭和・平成・令和の各時代を彩ったアイドルソングをAKB48メンバーがカバーしているのが特徴だ。

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　そんな特徴的なアルバムについてasageiMUSEでは、本アルバムのリード曲『なんてったってアイドル』にて初の選抜入りを果たした岩立沙穂（13期）と武藤小麟（16期）、鈴木くるみ（16期）の3人、そして今年3月に4代目のAKB48総監督に就任した倉野尾成美（チーム8）にインタビュー。

　後編の今回は初選抜の3人をメインに、選抜を知った時の気持ちや、選抜メンバーならではのエピソードなどを訊いた。

◆支えてくれたファンの方に感謝の気持ちでいっぱいです

――今回初選抜となった3人が、選抜入りを知った時に感じたことを教えてください。

鈴木くるみ　入れてよかったという安心感です。アルバムが出る時には9年目になっているんですけど、ファンの皆さんは何年経とうと「選抜に入ったくるるんがみたい」と言ってくださっていました。だから私も選抜に入って活動している姿を絶対に見せたいという気持ちがありつつ、それがいつになるのか自分でも分からないくらい、自分の立ち位置が分からない時期が長かったんです。

　それが今回、アルバムリード曲の選抜に入れたことによって、私のモチベーションもファンのみなさんのモチベーションも上がりましたし、次はシングルの選抜にも入りたいという新しい目標ができました。ふだんは目標を語るのが得意じゃないんですけど、今回の選抜入りを機にファンのみなさんが、もっとアピールしていこうよと握手会とかで言ってくださることが増えて。自分の中で成長できましたし、自分の考え方も新しくなったので、このタイミングで入れたことが自分にとってすごく意味のある選抜だなと嬉しかったです。

武藤小麟　同期や後輩がどんどん選抜入りしている姿を見てきて、自分のターンって来ないのかなって諦めというか、その子たちのために自分ができること、AKB48でできることをしたほうがいいのかなって思っていたんです。以前は姉（12期・武藤十夢）がいた時代に一緒に選抜に入ることを目標に掲げていて、それは叶わなかったんですけど、ちょっと遅れて入らせていただいて。今回、歌う時のフォーメーションだと3列目の左端なんですけど、姉が立っていたところと同じ立ち位置なんですよ。先日出演した歌番組で「あ、こういう風に見えていたんだ」って、知ることができました。

　あと、自分のやっていることって異色だと思っていて、大学院で学業をやらせてもらえてたり、ポケモン大好き、格闘技大好きという気持ちもお仕事に繋がって。私はこれが好きなんだっていう気持ちをずっと大切にしていたからこそ、こうやって選んでいただけたのかなって自分なりに考えて思っています。こんな私をずっと見放さないで支えてくれたファンの方にもスタッフさんにも本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

――お二人は16期ですが、他にも選抜経験のない方がいて、16期生として忸怩たる思いがあったりしたのでは。

鈴木　16期は同期仲が本当に良くて、誰かが選抜に入ったり歌番組に出たら心から喜べるメンバーばかりなんです。だからこそ16期代表として表舞台に出てくれているずっきー（山内瑞葵、選抜11回）に申し訳ない気持ちがあって。誰も支えてあげられない、ずっきーの感じている重圧を分かってあげられないっていうのが16期的に申し訳ないって思う時期もありました。でも徐々にみんなが選抜に入れるようになって、それをずっきーも喜んでくれるし、同期全体でお祝いという感じで連絡もくれたりして、みんな本当に16期はあったかいよね。

武藤　あったかいし、まわりから刺激をもらって自分も頑張ろうと思えるメンバーばかりなんです。

鈴木　誰も諦めない。誰かが選抜に入っても自分は無理だって思わずに、誰かが頑張っているから私も頑張ろうっていう気持ちにみんなで刺激し合える仲間というか同期なので、16期でよかったなと思います。

――それでは13期の岩立さんはいかがでしょうか。

岩立　この1年で、5人いた同期が私と彩希ちゃん（村山彩希）の二人だけになってしまい、心細さは感じていました。ゆきりんさん（柏木由紀）が卒業されて最年長にもなり、自分の立ち位置とかどうしていったらいいんだろうと分からなくなっていた時だったので、「アルバム！リード曲！初選抜！」みたいな驚きがいろいろ詰まっていたんです。

　自分が活動13周年を迎えるなか、これまでやってきたことがひとつ実を結んだという意味でよかったと思いましたし、何よりもファンの皆さんが喜んでくれたことが嬉しかったです。握手会の日に発表されたんですけど、その時にはファンの方の顔を見たら泣いちゃうくらいの感覚がありました。言葉に出さずとも「長かったよねここまで」みたいな気持ちがあったので、本当に良かったと思っています。

――倉野尾さんは4年目で初選抜でした。

倉野尾成美　当時は本当に選抜入りを目指して頑張っていたので、自分がなかなか選ばれないことにずっともどかしい時期を過ごしていて。周りに助けられつつ、ギリギリの気持ちで活動していたなってぐらい切羽詰まった状況でした。だから初選抜ではファンの皆さんだったり、支えてくれたスタッフさんだったり家族だったり周りの人にありがとうという気持ちをたくさん伝えて、みんなに喜んでもらって、それがすごく嬉しかったです。

――総監督として、初選抜の3人に思うことは。

倉野尾　この3人は一人一人が心強いメンバーだなって。今の話を聞いていても、これまでAKB48で長く活動してきたからこそ身についているスキルや個性を感じました。ここ最近の初選抜には若手というか、これからという子の初選抜が多かったので、支えられるように自分が何かできないかなという視点で見ていたんです。それがこの3人に関しては別に何もしなくていいかなと（笑）。逆に心強いというか、周りを気にかけてくれる仲間が増えたような感じですごく安心できます。

◆20周年イヤーを盛り上げていけるように頑張っていきたい

――今回の選抜入りで歌番組出演やジャケット撮影などいろんな活動があったなか、一番印象的だった出来事は何でしょうか。

岩立　先日の歌番組（テレ東音楽祭スペシャル1964→2024）で後藤真希さんとコラボさせていただいて、『恋愛レボリューション21』を歌わせていただいたことです！　人生で最初に行ったコンサートがハロプロさんで、そのステージで歌われていた曲。そのステージに立たれていた後藤さんと一緒に歌って踊れたのは夢のような経験でしたし、リハーサルでは振り付けの細かいところとかを丁寧に教えて下さって「これは夢か!?」って思っちゃいました（笑）

武藤　同じ歌番組なんですけど、松本梨香さんが『めざせポケモンマスター』を歌われている姿を後ろで観ていたことです。私はずっとポケモンと一緒のステージに立ちたいっていうのが夢で、まさかサトシ（※松本梨香はサトシの声を26年間にわたって担当）が目の前で歌ってくれるだなんて…。その時、自前のポケモングッズを持っていったら、番組のスタッフさんが持っていていいと言ってくださって、一人だけピカチュウを手に聴かせていただきました。

　しかも松本さんが「ユメは いつか ホントになるってだれかが歌っていたけど♪」って歌われていて、もう（涙が）ぱーってなってしまって。本当になるんだって、すごく印象に残りました。

倉野尾　私は『なんてったってアイドル』を初めてレッスンした日。このソロ楽曲をどうやって16人で見せるのか、AKB48がカバーしたらどうなるんだろうと楽しみにしてたんですけど、ラインでみんなが一列になって踊るところがあって、いつもお世話になっているダンスの先生がすごく可愛い振り付けをしてくださったんです。もうAKB48の新しい歌にしたいくらい可愛いが詰まったダンスで、それを受け止めてくれるこの楽曲自体もすごいと思いましたし、ダンスの先生方への尊敬も改めて感じました。

鈴木　ジャケット撮影が選抜として初めて稼働した日だったんですけど、まだ選抜メンバーが発表される前だったので、裏でこそこそ動いているのがなんか選抜っぽいなって。いつも選抜って裏でこそこそやってるイメージがあったので（笑）

倉野尾　告知前にね（笑）

鈴木　告知前にこそっとやって、発表と同時にジャケ写が公開みたいなイメージだったので、「うわ、いま選抜やってる」っていうワクワクというかドキドキが楽しくて。撮影自体もすごく長くて何カットも何カットも撮って、「自分って選抜に入ったんだ」っていう実感がちょっとずつ芽生えた日でした。

――倉野尾さんはこれまで何回も裏でこそこそされていたんですね

倉野尾　そうですね、やってました（笑）。選抜メンバーだけでなにか動いてるって、入っていない時にはなかなか分かんないんですよ。選抜入りする前は「えっ、いつのまに撮ってたの？」って驚くことが多かったです。

――昨今のAKB48では世代交代が話題ですが、そこに関してみなさんの意気込みを教えてください

鈴木　もちろん世代交代は必要だと思います。私たちも後輩の手助けをしたいし、後輩がもっとAKB48で楽しく活動してほしいなと思っています。だから選抜ってすごい場所なんだって思ってもらえるようにしたい。私たちが見てきた先輩は偉大な方ばかりで、そういう先輩の背中を見て「これがAKB48なんだ」って思っていたので、自分もそういう風に思ってもらえるようになりたいです。ファンの皆さんから見ても、まだまだこれからAKB48がどんどん盛り上がっていくんだぞと思ってもらいたいです。

武藤　16期はアルバムが発売されるころには9年目、来年10年目になるので、いよいよ自分もそういう感じになってきたのかという驚きのほうが大きくて。世代交代はAKB48がずっと続くためにも必要ですし、先輩がどんどん卒業されていくなかで自分が先輩から教わってきたことをしっかりと後輩に教えていく必要があると思います。レッスンも常に全力で取り組んで、その姿を見た後輩にとって学ぶものがあるような、そんな人になれたらいいなと思います。

岩立　自分が入った時（2011年）にはAKB48がまだ6周年でした。本当に長くここにいて、いろいろなAKB48を見てきましたが、どの時代のAKB48も本当に素敵で最高です。これからはメンバー同士のコミュニケーションをもっととって団結して、20周年イヤーをみんなで盛り上げていけるように頑張っていきたいと思います。

倉野尾　AKB48は今、チーム制がなくなってみんなでワンチーム。42名（※取材時：現在は20期生がお披露目されて45名）全員が強い志をもって活動できるグループでありたいなと思います。

（取材：渋谷のぞみ、髙木麻衣／撮影：Issey Nakanishi）

【AKB48 10thアルバム 概要】
◆タイトル：なんてったってAKB48
◆発売日：2024年12月25日（水）
◆収録曲：年下の男の子、UFO、チェリーブラッサム、時をかける少女、なんてったってアイドル、DESIRE -情熱-、じゃあね、淋しい熱帯魚、Body & Soul、LOVEマシーン、行くぜっ!怪盗少女、君の名は希望、オトナブルー、可愛くてごめん
◆リード曲『なんてったってアイドル』選抜メンバー
岩立沙穂、大盛真歩、小栗有以、倉野尾成美、佐藤綺星、下尾みう、鈴木くるみ、千葉恵里、橋本恵理子、水島美結、向井地美音、武藤小麟、村山彩希、山内瑞葵、秋山由奈、八木愛月
◆形態
・初回限定盤 CD＋Blu-ray 3850円
・通常盤 CD 2500円
・Official Shop盤 CD 2500円
※価格はいずれも税込み