その続きを知るのは約1割 「安全第一」は従業員を守るために社長が生んだ言葉だった
日本では、1972年に「労働安全衛生法」が制定されている。
工事現場などでよく見かける「安全第一」の文字。じつはこれには続きがあるのだが、意外と知られていないようだ。
「安全第一」には続きがある
Sirabee編集部が全国の10代〜60代の男女700名を対象に実施した調査では、全体で14.0%の人が「“安全第一“という言葉に続きがあるのを知っている」と回答した。
なお男女別に見ると、男性は18.2%、女性は9.9%という結果になっている。
安全で働きやすいのが一番
編集部が話を聞いた40代の男性は「会社で定期的にいろいろな安全教育を受けていて、以前聞いたことがあるような気がするのですが、うろ覚えです」と述べた。
はっきりとは思い出せないようで、「生産性とかそういうことだったと思うのですが」と首を傾げつつ、安全で働きやすい環境を整えることで労働意欲も向上するならそれが一番だと語った。
1900年代初頭のアメリカで誕生
「安全第一」という考え方は1900年代初頭のアメリカで生まれたという。1800年代後半から始まった第2次産業革命の真っ只中にあった当時のアメリカの工場では、「生産第一・品質第二・安全第三」が合言葉であった。
安全性よりも生産性が重視され、労働災害も多かったことから、アメリカの大手鉄鋼会社であるUSスチール社の社長が、工場の経営方針を「安全第一、品質第二、生産第三」と改めたことがその始まりだと言われている。
USスチール社は労働者を守るため「安全第一」に方針を変えたことで、労働災害が減少しただけでなく、作業効率が向上して品質や生産性も向上していった。そんな同社の様子を見てほかの工場も取り入れ、「安全第一」はアメリカ全土へと広がっていったという。
日本の労働現場を守る「労働安全衛生法」
その考えはすぐに日本へも伝わったようだ。古河鉱業足尾鉱業所の小田川全之(おだがわまさゆき)所長が「安全専一」を掲げ「安全心得読本」を配布したのは大正時代のこと。その考えが後の世にも受け継がれ、1972年(昭和47年)に「労働安全衛生法」が制定され、我が国での労働災害が大きく減少していくこととなる。
現在も現場の安全基準として遵守されている「労働安全衛生法」は、2024年4月より「健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質を取り扱う場合の保護具着用」が努力義務から義務に変わるなど、その後も労働者の安全を守るためにより良いものへと進化し続けている。
(取材・文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2024年10月8日~2024年10月13日 対象:全国10代~60代男女731名 (有効回答数)
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