愛の告白を“他人”として受け取るすれ違いがもどかしい11話

キム・スヒョン“フォン”「この私が、心から…愛していたと」 愛の告白を“他人”として受け取るすれ違いがもどかしい11話<太陽を抱く月>

2024.10.26 12:00
愛の告白を“他人”として受け取るすれ違いがもどかしい11話

キム・スヒョンが主演を務める韓流ドラマシリーズ「太陽を抱く月」(Huluにて配信中)。2012年に全20話が放送された大人気ドラマシリーズである同作は、朝鮮王朝の架空の時代に繰り広げられる宮中ラブストーリーを描いた作品。第11話では王であるイ・フォン(キム・スヒョン)が政争を潜り抜けながら、改めてホ・ヨヌ(ハン・ガイン)の死の謎について迫る。(以下、ネタバレを含みます)

ただ1度だけでも…悲痛なヤンミョングンの叫び

夜、厄受け巫女としてイ・フォンの寝室を訪れようとしたウォルを引き止めるヤンミョングン(チョン・イル)。「私が分かるか?前に市場で…」と言葉を重ねるヤンミョングンを、チャン・ノギョン(チョン・ミソン)が制止する。

「あの者は人間呪符に過ぎません」「築いてはならない縁です」と巫女としての言葉を告げ、さらに「あの者にも危険が及びます。ヤンミョングン様のせいで政争の標的になるのですよ」と強い言葉でとがめるチャン・ノギョン。「二度と会わないように」と戒められたヤンミョングンは、立ち尽くしたまま連れられて行くウォルの背を見つめるほかなかった。

イ・フォンのもとにやってきたウォル。生前のホ・ヨヌと瓜二つの容姿を持つばかりか、筆跡までそっくりのウォルにイ・フォンは動揺を隠せない。過去のことをさまざま追及されるままに答えていたウォルだったが、やがて「巫女というのは神降ろしを受けると同時に以前の記憶や縁が消されます」「もうこれ以上聞かないでください」と懇願するように。イ・フォンが追い求める女性がどれほど自分と似ているかはわからないが、「私はその方ではないのです」と涙を流してイ・フォンに理解を求める。

その頃、ヤンミョングンは「お前まで王様に仕えるのか?」とウォルのことを考えてさまよい歩く。傷付きながら母であるヒビン・パク氏を訪ねたヤンミョングンは、彼女が遅い時間まで祈っている姿を見た。何をしているのかと聞くと、「私は常に王様の無事と健康を…」とここでも“王様”。それを聞いたヤンミョングンの感情が爆発してしまう。

「一度ぐらいは王様よりも先に私の名を言えませんか?」。そう涙ながらに言ったヤンミョングンを、「不忠」ととがめるパク氏。「“不忠だ”、“我慢しろ”、“諦めろ”、“揺れるな”、うんざりしませんか?1度くらい…だめですか?“好きにしろ”、“1つくらい奪え”、そう言えませんか?」と涙をぼろぼろとこぼすヤンミョングンは、最後に「私はもう…他人のためには生きません」と宣言する。決意を固めたヤンミョングンの瞳は悲しく、そして強い光を宿していた。

またときを同じくして、ウォルがチャン・ノギョンのもとを出ていくと告げる。自分は何もできなかったこと、イ・フォンに仕えるべきではなかったと語るウォル。「王様に必要なのは私ではありません。いなくなることが王様のためだと思います」そう静かに語る言葉に、チャン・ノギョンは返す言葉もなく目をうるませる。

翌日、イ・フォンの心中にはホ・ヨヌの死に関する疑問が浮かびあがっていた。ホ・ヨヌが遺した手紙や当時の状況などを鑑みると、不審な点が多過ぎるのだ。巫女になる際には過去の記憶を亡くすといったウォルの言葉が、イ・フォンの頭をめぐる。数々の謎に気付きながら、イ・フォンは深く思案するのだった。

何度離れてもめぐり会う、運命で結ばれている太陽と月

イ・フォンの指示によって、ホ・ヨムはヨンナム地方へと向かう。“気晴らしに”という意図の指示で、1カ月ほど王宮を空けることになるホ・ヨム。ミナ王女へ出立のあいさつをしたホ・ヨムが旅立ったのだが、その旅が政治活動なのではという噂が王宮内で流れ始める。イ・フォンらと水面下で敵対している、外戚派の首領ユン・デヒョン(キム・ウンス)らの手による計略だ。

これを受けたイ・フォンは、「久々に暴れよう」と不敵に笑う。領議政へと踏み込み、彼らの工作や職務の怠慢を激しく叱責。目を奪っている間に、キム・ジェウン(ソン・ジェリム)に命じてある資料である8年前の日誌を盗み出させていた。ホ・ヨヌの死の真相に触れられるかと思ったが、日誌には読んでわかる新たな事実は記されていない。

だが調べを続けるうちに、ある人物のことが頭に浮かぶ。当時のことを知る者はもういないと思い込んでいたが、1人だけ残っていることに気が付いたのだ。先王の側近である尚膳(サンソン)であれば知っていると踏み、イ・フォンは護衛を目を盗んで彼を訪ねることに。

イ・フォンが訪ねても、居留守をする先代尚膳。なかにはいることに気付きながらも、イ・フォンは明日までに王宮を訪ねるようにという言葉を残してその場を後にする。ホ・ヨヌの死は単純な病死ではないこと、そして先王がそれを意図的に隠していることに気付いているイ・フォン。彼女の死の理由を知るため、8年前の痕跡を追い続けるのだった。

ヤンミョングンに肩入れしたことで星宿庁を追い出されたチャンシルへ、着替えを届けに街へ来ていたウォル。だが記憶がフラッシュバックするショックで倒れかけてしまったところを助けたのは、尚膳のもとを訪ねていたイ・フォンだった。そのまま2人は互いに本心を言えないまま歩くのだが、間もなく領議政の人間が王を訪ねると知ったイ・フォンは王宮へ帰ることに。

1人になったウォルが見たのは、ぶつかった子どもに服を汚されたと厳しく怒鳴りつける男たち。放っておくことのできないウォルはそこに割って入るものの、ウォルはその男達に強引に捕らわれかけてしまう。そこに帰ったはずのイ・フォンが割り込み、2人は何とか領議政の目を逃れながら走って危機を脱する。

なんとか逃げた先では、人形劇団の姿が。2人は客引きによってその最前列で人形劇を観劇することに。人形劇が終わる頃、ウォルは口を開く。「例の方に――会われましたか?王様、いかがですか?」静かに問うウォルに、イ・フォンは会えないと小さく答える。そして小さく、「その者はこの世にいない」とつぶやく。

「私のせいだ。守ろうとしたが守れなかった。言いたいことも――言えなかった。だから私はいまだに吹っ切れていない」悲しそうな顔で続けるイ・フォンは、巫女は霊と話ができることを確認して「お前から、伝えて欲しい。この私が、心から…愛していたと」と微笑みかける。

そんな2人を、遠くから見つめる男がいた。イ・フォンの腹違いの兄であり、もう1人の太陽であるヤンミョングン。瞳に涙を浮かべながら、彼は語り合うイ・フォンとウォルの姿をまっすぐに見つめていた。

ウォル、そしてホ・ヨヌという月を求める2つの太陽

第11話ではホ・ヨヌの死の不審に気付いて迫り始めるイ・フォンと、すべてを失い続けたヤンミョングンが他人のためではなく自分のために歩き出すことを決意する。これまで自分を優先することのなかったヤンミョングンが決めた、あまりにも悲壮な覚悟は今後どのように物語を動かしていくのだろうか。

そして8年前の謎を握る先王の尚膳。今回は会うことが叶わなかったが、居留守を使ってまで王を避けるのは彼もホ・ヨヌの死に関係しているからなのだろうか。外戚派の手がどこまで伸びているかわからないいま、イ・フォンの行動が周囲に与える影響も気になる。

ウォル、ホ・ヨヌとふたたび本当の意味で出会う時は来るのだろうか。真実へ向かう覚悟と悲壮な覚悟と決別が描かれた「太陽を抱く月」。Huluにて全20話が配信中だ。

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