藤崎Pが沢口靖子や内藤剛志の演技を絶賛

「マリコも土門も引退が近い立場」…藤崎Pが明かす沢口靖子らだからこそ表現できた下の世代に“つなぐ”という裏テーマ<科捜研の女 season24>

2024.09.11 05:00
藤崎Pが沢口靖子や内藤剛志の演技を絶賛

沢口靖子主演「科捜研の女 season24」(毎週水曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)が9月11日(水)に最終回となる。その放送を前に、番組プロデューサー・藤崎絵三氏に直撃インタビューを行った。

シリーズ25周年を迎えた「科捜研の女」

同ドラマは、シリーズ25周年を迎え、「原点回帰」をテーマにシリーズ史上最高の“心揺さぶるミステリー”が展開されてきた。鈴木福がシーズンゲストとして登場したり、加藤諒が新たなレギュラーキャストとして出演するなど、話題が絶えない。

今回、藤崎氏には同ドラマが長年続いた理由や制作する上での苦労、そして最終回直前の今だからこそ、沢口や内藤らキャストに伝えたい思いなどをたっぷりと語ってもらった。

目指したのは「小学生」でも分かるストーリー

――シリーズ誕生25周年のアニバーサリーイヤーですが、シーズン24の放送スタート時と現在とで何か心境や心構えなど変化はありましたか?

変化は特になかったような気がします。アニバーサリーイヤーだからと特別なことをしようというよりも、いつも通りの「科捜研の女」を皆さんに届けようという思いで制作させていただきました。

いつも通りと言いつつ、今回の「科捜研の女」では、沢口さんとも相談したのですが、科学捜査をより分かりやすくすることと、前回少し薄れてしまった登場人物たちの感情の部分を、今回は厚く出していくことにしました。

――その2点を表現された結果、どんな効果があったのでしょうか?

まず科学捜査を分かりやすくすることについては、今回から出演している新キャストの加藤さんがポイントになっています。

これまでは、スペシャリストたちが最先端の科学を駆使して「科学捜査」をしてきたのですが、加藤さんの演じるキャラクター・加瀬淳平はそうではありません。

視聴者と同じ目線であり、科学のスペシャリストではない。そんな彼が分からないことを素直に質問することで、難しい科学をより分かりやすくかみ砕いて、視聴者に届けるということができるようになりました。

科学を分かりやすくすることで、キャストの皆さんの科学への理解が深まり、その結果、キャラクターの感情的な部分もより深みが出たといいますか、厚くなったように感じています。実際に撮影の最中に、キャストの皆さんから、演じやすいという声を多くいただきましたし、視聴者の方からも今シーズンはすごく分かりやすいという声をもらいました。

――25年間「続ける」「続いた」秘訣や心掛けていることは?

長く続いている1番の理由は、沢口さんの努力のたまものだと思っています。誰よりも長く台本と向き合って、疑問に思ったことはすぐに聞き、解決する。沢口さんは常にマリコというキャラクターと作品に向き合っています。

その真っすぐな姿勢は、自然とマリコにも反映されたりもしています。マリコを通して、視聴者の皆さんにも、沢口さんの努力は伝わっていると個人的には思っています。

また、他のキャストの皆さんも沢口さんに引っ張られています。主演の沢口さんが全てのシーズン、毎話毎話、真面目に取り組む姿を間近で見ているので、長く続くドラマが陥りがちな、流れ作業のような緩んだ雰囲気になることも、だれることもなく、全員が全員、最後まで真剣に撮影を終えることができました。

――制作側だからそこ、大事にしていることは?

視聴者ファーストであることです。視聴者の方に分かりやすく作っています。また必ず起承転結を作り、一見マンネリに見えていても、やっていることは新しいというお話になるようにしています。

――ちなみに視聴者ファーストというのはどういう点がそうなのでしょうか?

小学生が見ても分かるような内容であるということと、誰がどこの話数から見ても楽しめる作品になっているということです。

視聴者ファーストというとどうしても、SNSからの声を拾って作品に反映させるというイメージになりがちですが、「科捜研の女」では少し異なります。

さまざまな年齢の視聴者側に立ち、誰が見ても楽しめるように作品作りをすることが、僕らが目指している視聴者ファーストです。

「科捜研の女」の撮影を困らせた夏の暑さ

――「原点回帰」がテーマでしたが、振り返ってみていかがですか。

元々マリコというキャラクターは、科学一辺倒でした。そんなマリコに木場警部(小林稔侍)が「科学で人の心を見てはいけないよ」と伝えたことにより、人として成長していくことになりました。

その「科学で人の心を見てはいけない」というテーマに関しては、原点に戻れたのかなというふうに感じています。

――長く続くと時代とのギャップも出てくると思いますが、時代に合わせて変更したことは?

このドラマに関しては、毎回新しいことを取り入れているので、時も流れています。なので、時代とのギャップはほぼないと思います。

「時代」に合わせてというよりも、「日々進化していく科学」に合わせて変更したことは、数年前にセットを一新したことですかね。

――改めて制作する上での苦労は?

苦労ではないかもしれませんが、シリーズ助監督がいつも頑張ってくれています。例えば、白骨化した遺体があるとします。その骨を一つ一つ正しい場所に並べるのがシリーズ助監督の仕事の一つになります。

ただ並べるのではなく、専門家にちゃんと確認しながら、丁寧にかつ正確に並べるというとんでもなく神経を使うことをこなしてくれています。

他にもたくさんのことがあるんです。皆さんに科学という映像を届けるべく、日々奮闘しています。何か一つとっても誰かの努力があるので、そういった背景もあるのだなと思ってくださったらうれしいです。

あとは、夏の撮影ですね。自然には勝てませんし、日々、暑さ対策をしながら、撮影していました。

――科学雑誌を定期購読して案出しもされていると別媒体の記事で拝見したのですが、最近驚いた、「使える!」と思った科学技術は何でしょうか。

最終回の1話前では、クッキーの中に情報をプリントする話をやっているのですが、 科学雑誌の中にこの技術があるっていうのを見つけて、実際に企業秘密とか運んだらどうなるんだろうみたいな着想を得て、ミステリーにしました。

鈴木福と加藤諒にオファーした理由を明かす

――新レギュラーの科捜研の「会計係」として加藤諒さんが参加し、シーズンゲストとして鈴木福さんが「新人警官」役で参加されています。プロデューサー目線で見た感想や評価、なぜこのお二人だったのでしょうか?

シリーズの隠れテーマが師弟関係だったのですが、マリコも土門(内藤剛志)も引退が近い立場の人間だとは思うんですよ。要するに、組織の中ではもう1番のベテランで、いろいろなことを下の世代に伝えていくっていう、社会の中でそういう立場にあるべき人だと思うんですね。

下の若い世代に、いろいろなものを伝えて、バトンを渡していく。それが師弟関係かもしれませんし、上司と部下の関係なのかもしれません。今回は「つなぐ」ということをちょっとテーマにできないかなと思っていました。

その中で、マリコらは科捜研、土門らは警察官という組織の中で、若い下の世代に何をどう伝えていけばいいのかっていうことを考え、シリーズゲストである 鈴木さんの演じる交番勤務のキャラクターが誕生しました。

鈴木さんは若い世代の象徴というか、多分、 全国民が知ってる、20歳。若いけど、すごく才能があるし、 ご高齢の方でも鈴木さんを知っているのでオファーしました。本当に演技が素晴らしかったです。

――加藤さんを選ばれた理由は?

加藤さんが演じるキャラクターは、科学を分かりやすくするために、視聴者の方と同じ目線であることを前提に作られました。

みんなの会話を、少しコミカルに、コメディーリリーフとしてなんか立ち回ってくれると考えた時、唯一無二の存在である加藤さんならどんな状況でもこの役をやり切ってくれると考え、オファーさせていただきました。

――記事の公開が最終回近辺を予定しておりますが、沢口さん、内藤さんはじめキャストの皆さんに改めて伝えたいことはありますか?

いつもありがとうございます。僕らが考えていた裏テーマ「下の世代に伝える」ということを僕ら以上に汲み取っていただき、エモーショナルに表現してくださり、本当に感無量でございます。何度も言いますが、本当にありがとうございました。

――最終回の見どころをお願いします。

沢口さん、内藤さん、鈴木さん、山谷(花純)さんのシーンが見どころになっていると思います。これまで299回放送してきましたが、5本の指に入ると思うほど、素晴らしい話になっていますし、エモーショナルなシーンになっています。ぜひご覧ください。

インタビュー・文=八神真子

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