AjuG-irlsのEva(イエヴァ)

戦禍のウクライナから避難してきた少女イエヴァが日本でアイドルに「こんなに戦争が長くなるなんて」

2024.09.07 06:03
提供:ENTAME next

戦禍のウクライナから日本に避難した少女が、宮崎県のアイドルグループで夢を追い続けている。AjuG-irls(アジュガールズ)に所属するEva(イエヴァ)は17歳。普段は地元のお祭りなどでパフォーマンスする機会が多いが、今年7月には安田大サーカス・クロちゃん主催の巨大アイドルイベント『クロフェス』に出演。その存在が全国に知られることとなる。リモート取材で本人を直撃し、現在の心境や将来の夢を大いに語ってもらった。

「もともとダンスが大好きだったんです。ウクライナではいつも踊っていましたし、その動画をTikTokに上げたりしていました。でも、戦争が始まって日本に来ることになりまして……。もちろんこっちでも踊りたい気持ちはあったんですけど、どこで習えばいいのかわからなかったんですね。そんな私の様子を見た日本語の先生がいろいろ調べてくれて、今の事務所(海汐プロダクション)に繋いでくれたんです」

ウクライナにいたときは特定のグループに所属していたわけではなく、週2ペースでダンススクールに通っていただけだった。歌も日本に来るまでは未経験だったという。

「たしかにアイドルをやるのは初めてでしたが、そんなに苦労したという感じでもないんです。レッスン中もコミカルに踊るメンバーがいたら、みんなで笑ったりして、すごく楽しかったですし。“怖い”とか“つらい”と感じることはなかったです。わりと簡単……というわけでもないけど、順調に加入できたんじゃないかと思います。とはいえ、それはダンスに限った話。歌に関しては今でもちょっと難しいですけど(笑)」

まだ日本語は勉し始めたばかりだというEva。メンバーとのコミュニケーションは、スマートフォンの通訳アプリを駆使して行うことが多い。この取材はEvaのお母様が通訳として手伝ってくれたのだが、本人が母国語でスマホに話しかけ、それを日本語で流暢に読み上げるというケースも何度かあった。

「ウクライナでは純粋に踊ることに興味があっただけで、特定のアーティストに憧れるようなことはなかったです。もちろん日本のアイドルについては何の知識もなかったですし。だけど日本に来てからは自分がステージに立つ立場になったこともあり、いろいろチェックするようになりました。今はTWICEのサナちゃんに憧れています」

K-POPテイストのダンス特徴とするAjuG-irlsは、今年5月に結成されたばかりの新しいグループ。最初の大きなイベント出演が今年7月に開催された『クロフェス』だった。そこでメンバー8人がお披露目となり、幸先のいいスタートダッシュを切ったわけだ。なお夏と秋の間、グループは毎週のように宮崎各地のお祭りに出演しているという。

「たくさん人が集まっているところで踊るのは単純にワクワクします。公演の準備が進んでいく様子を裏から眺めているのが好きなんですよ。クロフェスは初めての大きなステージだったので不安もありましたが、とても楽しかったです。クロちゃんにお会いしたときの印象ですか? とても優しそうな人だなって(笑)。正直、私は彼が日本の有名なコメディアンだと知らなかったんですけど、ショーが始まると責任のある役をスムーズにこなしていたので、すごい方なんだなと感動しました」

家族5人でウクライナ第2の都市・ハルキウ州を離れ、宮崎に避難してきたのが2年前。現在も遠く離れた土地から、母国の戦況を複雑な思いで見守っているようだ。

「何もかもが信じられません。そもそも少し前までは普通にウクライナで生活していたのに、今こうして日本で避難生活していることが異常事態だと感じます。こんなに戦争が長くなることも予想外でした。ただ、戦争が終わってもすぐに帰国する予定はないんです。しばらくは危ないこともたくさん起こるでしょうから……」

今は日本に生活の拠点を置きつつ、芸能界で飛躍していきたいと考えている。「カッコいいパフォーマンスを目指し、感動するステージも経験したい!」と目を輝かせたあと、「すべての人々が自分の素晴らしい人生を選択する権利を持っているべきだと私は心から願っています」と神妙な表情で語った。

「グループの一員として、1人でも多くの方に観てもらえるように成長したいです。自分のパフォーマンスで、みなさんに元気を与えたいと思っていますので。私たちのパフォーマンスを観て、あるいは私たちの歌を聴いて、やる気が起こるようになったら最高じゃないですか。普段みんなが生活していく中で、AjuG-irlsが頑張るためのモチベーションになれば素敵ですよね」

最後に日本の好きな食べ物を尋ねると、 「うどんと牛丼!」と笑顔で即答するEva。ちなみにウクライナ料理は「ママ任せなので、まったく作れないんです」とはにかみながら告白してくれた。

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