「肝臓を奪われた妻」12話より

<肝臓を奪われた妻>ドラマPが明かす作品に込められた思い「大事に描きたかったのは、復讐のシーンではない」

2024.06.18 06:00
「肝臓を奪われた妻」12話より

伊原六花が主演を務める「肝臓を奪われた妻」(毎週火曜夜0:24-0:54、日本テレビ系/Huluにて配信)が現在放送中。原作はMana(絵)・JYUN(ストーリー)の「肝臓を奪われた妻」(LINEマンガ連載)で、最愛の夫から裏切られ、復讐の炎を燃やすシングルマザーのヒロイン・北山優香(伊原)が、理不尽にも肝臓を奪われてしまうという、衝撃的な展開から始まる痛快な復讐劇となっている。

この度、WEBザテレビジョンでは、同作のプロデューサーを務める桑原丈弥氏にインタビューを実施。制作秘話やキャスト陣の魅力、今後の見どころなどについて話を聞いた。

タイトルだけからは想像できないストーリーに期待

――完成した映像を見た率直な感想をお聞かせください

主演の伊原六花さんをはじめ、素晴らしいキャスト陣の快演、支えてくれた監督やスタッフのお陰で、脚本制作に携わり先の展開が分かっているはずの自分が、気が付くと想像以上に引き込まれており、これは良い作品になるなと確信しました。

――「肝臓を奪われた妻」の実写ドラマを制作したきっかけは何だったのでしょう?

とにかくタイトルが強烈でした。最近は過激なタイトルのドラマが多く、インパクトは大事にしたいと思っていましたが、数ある候補の中でもぎょっとするタイトルで大変印象に残りました。また原作のファンの方も多く、タイトルだけからは想像できない繊細で複雑なストーリーに、単なる復讐ドラマ以上のものが作れるのではないかと思いました。

主人公“優香”は他のヒロインとは違う

――復讐の描写や刺激的なシーンも多いですが物語をつくる上で、監督とはどのような打ち合わせをされましたか?

ドラマとして大事に描きたかったのは、実は復讐や過激なシーンではありませんでした。見てくださってる方も、もちろん我々も、誰しもが持ちうる感情である純粋な嫉妬や、ただただ幸せになりたいという欲求を表現したいと思いました。過激なタイトルだからこそ、そこを丁寧に描いていきたいという話は一番最初に監督と一致した部分です。伊原さん演じる主人公が、他の復讐ドラマのヒロインと違うのは、復讐することに悩み、自身が気付かぬ間に傷ついているところです。その繊細な感情を描くという点は、毎話意識していますね。

伊原さんは、まさに「ダンス部部長」

――伊原さんは連続ドラマ初主演となりますが、起用理由を教えてください

伊原さんの持っていらっしゃる凛とした美しさが、復讐に手を染めながらも、芯にある心の大事な部分は失わないという優香にはぴったりだなと感じました。まだお若く、今までフレッシュな役どころが多かったので、復讐ドラマ、もっと言えば子持ちのシングルマザーという役どころをどのように演じられるか、正直我々にも未知数なところがありましたが、最初の現場での熱演を見て無駄な心配だったなと感じました。

――桑原Pから見て、座長である伊原さんは撮影現場ではどういった印象でしょうか?

まさに「ダンス部部長」! とにかくみんなに気を配る素敵な方で、常に共演者とコミュニケーションをはかり、全力投球を背中で語り、現場を引っ張ってくださりました。息子役の近江くんとは本当の親子のように、空き時間には一緒に踊ったり遊んだりしていて微笑ましかったです。

キャスト陣の裏側「雑談に花が咲いていた」

――戸塚さん、桐山さんも物語にはかかせない人物です。お二人の起用理由を教えてください

戸塚さん演じる小栗健という役は、このドラマにおいてとにかく善の部分を表しています。裏表がなくて「闇落ち」していく優香を、猫背椿さん演じる春美と共に必死で守る役どころで、決してスマートでもなければかっこよくないけれど、間違いなく素敵なヒーローなんです。脚本作りの段階で、コミカルな中にも優しさあふれる魅力抜群の戸塚さん以外、考えられませんでした。

一方、桐山さん演じる中村光星は完全なるヒール。何を考えているか分からないし、気持ち悪さも感じる役どころです。ただ、光星にはそんな人間になってしまった悲しい理由がある。最初から悪い人なんていないと思うんです。圧倒的な王子様的ルックスでありながら、ヒール役にも切ない情緒を散りばめられる桐山さんなら、視聴者からも嫌われない光星になるのではと思いました。

――非常にシリアスな展開も多いですが、撮影現場のキャスト陣の様子はいかがですか?

とにかく皆さん仲が良かったです。切り替えが上手な方が多かったのかもしれませんが、多趣味な方も多く、大衆演劇やサウナ、ラーメンに車やバイクの話まで、至る所で雑談に花が咲いていました。オフの日に一緒に出掛けたりもなさっていたんじゃないでしょうか? もちろん、お芝居に関してもお互いで話し合って演じてくださった場面もあり、皆で良い作品を作り上げようという雰囲気はとてもありがたかったです。

制作して感じた、スマホとテレビの違い

――原作を実写ドラマ化するにあたって、苦戦したこと、大変だったことはありますか?

一番大きかったのは、主にスマートフォンで読むWEBTOONと、テレビドラマの見方の違いです。スマートフォンでいつでもどこでも気軽に読めるWEBTOONに対し、視聴者の時間をある程度画面の前に拘束するドラマ。原作をベースに掘り下げて、さらに肉付けをしていく作業が大変でした。それから、ドラマでは恋愛軸を増やしていきましたので、光星の優香への歪んだ愛を構築することはとても苦労しました。

――桑原Pのお気に入りのシーンやせりふ、また視聴者が喜びそうな裏話が教えてください

11話での春美さんの「血の繋がりがすべてじゃないでしょう?」というセリフはとても好きです。単なる復讐ドラマに終わらせず、家族や幸せについて描きたいという思いで作ってきましたので、やっとこのセリフまでたどり着いたという気持ちでした。

裏話としては、前半あまりお天気に恵まれなかったので、スケジュールの都合で雨でも撮らなければならず…2話で優香が雨の中、傘をさして現れるのですが、元々は雨を想定していなかったので、傘の用意がなく、スタイリストさんの私物の傘を監督が使おう、と。結果、とても綺麗で印象的な画になったと思います。

最終回では「復讐して得たものをお見せします」

――視聴者からSNSの反応をどのように感じていらっしゃいますか

中々見ることは勇気のいることなのですが…視聴者の方々がそれぞれの思いを語ってくださったり、カン妻の世界観に入り込んだからこその賛否を書いていただいて、とてもありがたく熱い思いで拝見しておりました。

――最終回に向けての見どころと視聴者へのメッセージをお願いいたします

このドラマは単なる復讐にしたくない、そこに繰り広げられる愛憎や葛藤を丁寧に描きたいという思いで制作してまいりました。本来、復讐とは無縁だったはずの優香が、復讐を通じて得たものを最終話ではお見せします。ありがちな表現ではありますが、本当の幸せとは何なのか、このドラマを通じて見て考えていただけたら本当にうれしいです。スタッフ一丸となって思いを込めて作ってきた「肝臓を奪われた妻」ぜひ、ご覧ください!

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