花井美理 撮影/荻原大志

事務所と対立、お金持ち逃げ…レジェンドグラドル・花井美理の波乱万丈すぎる軌跡

2024.05.19 06:03
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2003年のデビュー以来、147センチの小柄な体&Jカップを武器にグラビア界の最前線で活躍し続けている、花井美理。今年3月には最新イメージビデオ『Happening!』(竹書房)を発売したほか、Fantiaでの毎日投稿、Instagramでの写真がバズを起こすなど、デビュー21年目を迎えた今もその魅力で多くの人を虜にし続けている。まさに「レジェンド」と呼ぶに相応しい彼女のこれまでの軌跡は、まさに波乱万丈。最新作発売を記念し、これまでを振り返ると共に近年の活躍ぶりについて聞いた。

──最新イメージビデオ『Happening!』発売おめでとうございます。38枚目の作品だそうですね。

花井 ありがとうございます。正直自分でも何枚出したか記憶があやふやではあるんですけど(笑)、こうして今でも作品を発売できるのは素直に嬉しいですね。

──21年という長きに渡りグラビアの世界でコンスタントに活動されているのは、すごい以外の形容が思いつきません。メディアによっては、「レジェンド」と称されているのも当然かなと。

花井 光栄ですね。何かを残しているわけではありませんが、やはり続けることって大切だなって思います。そもそもスカウトされてからなし崩しでこの世界に入ったのが19歳のころ、最初は2.3年続けばいいなと思っていたんですよね。そこから「DVDが決まったから」と半ば強引な形でグラビア活動が始まり……21年もグラビアを軸に活動しているなんて人生って面白いですね (笑)。

──語り尽くせないほどの想いがあるかと思いますが、今回はこれまでの歴史を振り返っていただきたいと思います。まずデビュー以前、グラビアについてどのような印象を抱いていました?

花井 全然知りませんでした。そもそも普段の私はネガティブで心配性の怖がりな性格で、人が輝くような場所にいる姿を想像したことがなかったですし、芸能界に興味がなかったんです。

でも大学在学中にスカウトされたとき、あまりにしつこく断りきれなくて……(笑)。プラス私がお金の全くない学生だったので、「アルバイト感覚でいいならやってみようか」と、軽い気持ちでこの世界に入ることになったんです。

ただ、すぐ後悔しました。今のグラビアの方たちと比べればそれほどではないのですが、三角ビキニに手ブラと、言われるがまま露出高いことをさせられて。もう撮影のたびに泣いていましたね(笑)。当時の事務所としてはいずれアダルトの世界に行かせたかったみたいで、「ヌードの写真を撮っておきましょう」ということもありました。

「それだけは!!」と拒否しつづけましたが、その後も人が信じられなくなるような状況ばかりが続きました。そんな状態なので事務所の人と対立してばかりで、「この先、どうすればいいんだろう?」と、毎日悩んでいましたね。

──当時、花井さんがデビューしたころは、浜田翔子さん、川村ゆきえさん、愛川ゆず季さん、小阪由佳さん……と、次代のグラビアスターが登場し各紙の表紙をにぎわせていました。同世代のライバルたちをどういう目で見ていました?

花井 この当時は事務所が違うタレント同士で関わっていけない時代で、仮に現場で挨拶しても連絡先交換は絶対NG。なので、現場で入れ替わってあいさつした際、「うわっ、本物だ~!」って思っちゃうぐらい、「別の世界に生きているタレントさん」だと思っていました。ライバルと言うのもおこがましいぐらい。

そもそも毎日に追われすぎて自分以外を気にする余裕がなかったし内向的で社交性が全くないので、この世界を続けるのは不安でしかなかったんです。テレビに出る機会をいただいても、「どうすんの?」って不安なことばかり起こるので。

──確かに花井さんのテレビ出演で印象深いのは、危険・怪しい場所に単独潜入するという『給与明細』。準レギュラーでしたが、やはりあの番組は苦労があったと。

花井 はい。あの番組は、地下の格闘技とか特殊なキャバクラのような、変わった仕事に隠しカメラを持って潜入していくという内容で。カメラを仕込むバッグも、街中で持つには明らかに大きすぎるバッグだったので「バレるのでは!?」と常にヒヤヒヤ。

大変だし怖い仕事で、実際に撮影中泣いてしまったこともありました。しかもその姿が放送されてしまったのが本当にイヤで仕方なくて。事務所に確認は取ったそうなのですが、全国にギャン泣きする私の姿が放送されたのは今でもトラウマですね。

──……なんだか「よく続けていますね」と言いたくなることばかりですね……。

花井 ですよね(笑)。でももちろん苦しいだけじゃなかったですよ。ありがたいことに仕事はコンスタントにいただけたし、海外ロケにも行ったりして。その中で出会うスタッフさんたちと仲良くなり、徐々にこの世界での楽しみを知っていったんです。

しかも、DVDの発売や歌手活動などがあるたびにファンイベントが開催できて、そこでみなさんから応援の手紙や励ましの声をいただき、「こんな私にも応援してくれる方がいるんだ」と心を前向きにしてくれたんです。

大学卒業のタイミングで事務所社長が地元に挨拶に来て、「就職はぜひウチで」と母に言うんです。そうなるともう就職活動もしづらいし、当時は就職氷河期末期ということもあり、気づくと他の道がなくなっていました(笑)。

──結果としては続けざるを得なくなったというのが大きいと?

花井 そうですね。始めた頃よりは前向きな気持ちになっていたものの、長く芸能界で生きていけるとは思っていませんでした。演技も歌もできるわけでなく、しかも当時は「グラビア=若い子がやるもの」という風潮が強くて、どこかで区切りをつけて就職しなきゃという気持ちを持っていましたね。

──様々な活動を経た後、2009年から今現在までフリーランスとして活動されていらっしゃいますが、なぜ長年フリーで活動を?

花井 最初に所属した事務所を退所後、良くしてくれたマネージャーさんがいたんです。その人の事務所に所属しようか、と話をしていたんですけど……その人にお金持って逃げられてしまって(笑)。

──えっ!?

花井 額は大したことなかったのですが、どうやら他にも被害に遭われた方がたくさんいたらしくて。人柄も業界内での評判も良く、「あの人についていけば大丈夫」と聞いていたような方だったし、より人が信じられなくなったというか、「人間ってこんなものか」と諦めモードに入ってしまったんですよね……。

──波乱万丈の一言では収まらない……。こうした裏切りに合ってもフリーという形で芸能界に残ろうと思ったのはどうしてでしょう?

花井 ありがたいことに、仕事はそれなりに途切れず、ファンイベントも規模は小さいながらもコンスタントに開催していたので、このご縁を完全に切るのは勿体ないと思ったのが一番大きな理由です。

この世界を辞めるという選択肢は頭に浮かばなかったものの、お声がけいただいた色々な事務所さんと活動に関するビジョンが合わなくて……。しかも、私は「こんなことをやりたいな」と頭に浮かぶと、すぐに動きたくなってしまう質。フットワーク軽く動ける環境がいいな、と1人での活動を始め、気づいたら15年経っていました(笑)。

それでもグラビア一本で食べていくには厳しい状態だったので、アルバイトのような形でダブルワーク可能な事務職も始めたんです。

(取材・文/田口俊輔)

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