

話題の“実写化不可能”ミステリ「十角館の殺人」監督/プロデューサーに聞く、なぜ“不可能”に挑んだのか

綾辻行人の傑作ミステリー『十角館の殺人』が、動画配信サイト「Hulu」にて実写ドラマとして独占配信中。長らく“実写化不可能”と言われ続けた同作の実写化には、視聴者から「原作を読んだときのゾクゾクが返ってきた」「“あの一行”をよくここまで映像化できたな…」とさまざまな反応が飛び交っている。“不可能”なはずの映像化に踏み切った同作のプロデューサーは、「相棒シリーズ」「コールドケース」など人気作の演出/プロデュースを務めた内片輝。同作でも自身が監督を務めた内片に、本作の特異性や制作のウラ話などを語ってもらった。
奇跡的に揃った条件が不可能を可能に
――原作は1987年発表のもので、長らく映像化はされておらず、「映像化不可能」ともいわれていた作品です。それを今回、時を経て実写映像化できたことについて。「今までなぜ映像化できていなかったのか」「今回映像化にいたったきっかけや理由、決め手となったこと」などあればお聞かせください。
内片:どんなに原作ファンだったとしても、「あの」メイントリックゆえ映像化を断念した監督やプロデューサーはたくさんいたと思います。タイトルだけ『十角館の殺人』で中身は別物、そんな映像作品を作っても意味がないのは、ファンだったら余計に思うところでしょう。
今回「きちんと」映像化できたのには様々な条件が揃ったから。文字と映像の特性を突き詰めた演出…芝居のこと…さまざま作品内側に対しての準備が整ったことがあげられます。実際に大分県のモデルとなった島まで船でロケハンしたことも決め手の一つかも。嵐の中、渡し船で行ったんですよ。この時にある確信を得ました。詳しくは言えないですけどね!
もう一つ大きなポイントは、制作体制など外側の準備が整ったこと。何より「作品のクオリティ最優先」を認めてくれたHuluでのローンチが大きかったと思います。Hulu川邊さん(本作品エグゼクティブプロデューサー)の理解がなければ、全体のパッケージは作れなかった。木下共同プロデューサーの存在も重要で、彼の熱意がなければ映像化のために何年も食い下がり続けられなかったでしょう。川邊さんと木下さんにこの辺りしゃべってもらうと面白いと思いますよ!
――ドラマを作るにあたり、「実写化不可能」と言われている同タイトルを選んだ理由をお聞かせください。
内片:シリーズの中で、他の館を先に映像化を目指すか?と思ったこともありました。しかしこのシリーズ、何より十角館でしょ?の思いが強かったですね。十角館ができないなら、他の館シリーズには手をつけてはいけないような…逃げているような気がして。
――映像化を打診した際、原作者・綾辻先生の反応はいかがでしたか。
内片:綾辻さんご自身の中でも特別な作品のはずです。ここまでのお付き合いがあったとしても、当然それとこれとは話が別です。ほんとにできるの?どうやって?の当然の疑問に、演出家としてプロデューサーとして、説明を尽くしました。
最終的には優しい笑顔で「じゃあ見せてください、傑作にしてください」と。その笑顔がプレッシャーでした。絶対に、裏切ることはできないな、がっかりさせられないな!と。
主演陣への尊敬「プロの姿を見せてくれた」
――キャストの髪型、服装、映像の端々に映るアイテムが映すノスタルジーな雰囲気が印象的です。作品を描くにあたって気をつけた点があれば教えてください。
内片:昭和60年代の世界は、現代とは微妙な距離感なんです。リアルにやると昭和コスプレみたいになって目立ち、作品を純粋に楽しめなくなる。やりすぎないように調整をしました。衣裳部、メイク部がいい塩梅を探ってくれました。
また映像トーン、色合いも工夫しています。その辺りも楽しんでいただけたら嬉しいです。
――登場する建物は十角形の屋根など、まさに「十角館」でした。カップなどの小物はともかく、建物はどのように用意したのでしょうか。
内片:原作を元に実際に平面図を起こし、規模感を確認し、それから実際にどう建築するのかどうか協議しました。予算の兼ね合いもありますし!結果的に十角館は、物理的に建てた部分でのショット、完全なVFXショット、一部VFXショット、と混在しています。そこに気がつくことなく楽しんでいただけたら成功です!建物が主役でもありますから、十角館が初めて登場するショットは特に気を使いました。「本当に十角形なんだな」とわかっていただくにはあのアングルしかないなと。
――主演の奥 智哉さん、また青木崇高さんについて、印象を教えてください。
内片:奥 智哉君のイメージは純真、無邪気。冒険心もありながら、同時に繊細でもある。江南(かわみなみ)のキャラそのものなのかもしれませんね。奥君の明るい笑顔の陰に、主役のプレッシャーに悩みもがいて、それでも折れることなく進み続けた姿もありました。プロの姿を見せてくれたなと。賞賛に値します。
ともすればワイルドタフガイのイメージが強いかもしれない青木崇高君。しかしこの作品ででは優しく軽妙、同時に繊細。その側面の芝居も魅力的でしょう?彼が演じる島田が好きだし、一個人としての青木崇高もリスペクトしています。彼の芝居に対する誠実さは、初めて会った10年前と変わりません。
――奥 智哉さんへ江南孝明を演じるにあたり、指導・アドバイスした点などありましたら教えてください。
内片:撮影が始まる前のワークショップにも参加してくれて。正直に、主演を張ることへの不安を吐露してくれた時がありました。強がることなく、自分を客観的に見ることができること、それはもう成長の証です。そのことを話しました。むしろ撮影に入ってからは彼らしく自由に、同時に緩むことなく進んでくれましたね!江南らしさって、奥 智哉らしさと言っていいかもしれません。
原作ファンへの“お願い”
――本作の見どころを教えてください。
内片:映像が初めての方は、是非ともミステリの世界にどっぷり浸って欲しいです。ドキドキして、不安になって、そして…!おおお!?と声をあげて欲しいです。原作ファンも、初めてライブアクションになる『十角館の殺人』の世界を楽しんでください。角島(つのじま)、屋敷の内部、江南と島田、そして…あの1行の表現を。
――映像化を楽しみにしている原作ファンに向けて、一言お願いいたします。
内片:原作をよくご存知の方には、特にお願いがあります。ぜひ内容を知らないお知り合いの方と一緒に観てください。作品だけでなくその方の横顔をチラチラ見ながら、ニヤニヤしてください。あの場面でお知り合いの方が「おおお!」と叫んだら、拍手してください!大成功!って。
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