鈴木拡樹×矢崎広×本田礼生、それぞれの光で嵐を巻き起こす 少年社中25周年ファイナル公演「テンペスト」

2023.11.23 19:00
提供:2.5ジゲン!!

少年社中の25周年を締めくくるのは、25周年ファイナル公演「テンペスト」だ。シェイクスピアの戯曲のなかでも高い人気を誇る「テンペスト」は、どう少年社中風に味付けされるのだろうか。

本作の内容が気になるのはもちろん、第一線で活躍する演劇人が集う豪華な布陣とあって、彼らによる化学反応にも期待せずにはいられない。

そこで今回、2.5ジゲン!!では同劇団と縁深い鈴木拡樹、矢崎広、そして今回初参加となる本田礼生へのインタビューを実施。少年社中への思いも交えつつ、作品や役への印象やお互いに尊敬する部分、本作での挑戦などについて話を聞いた。

――まずは本作への出演が決まった際の率直なお気持ちをお聞かせください。

鈴木拡樹(ラン/エアリアル役):僕にとって毛利さんの作品は役者を始める原点で、「劇団少年社中」というカンパニーに憧れて本格的に役者人生をスタートさせた人間なので、そういう意味で、25周年のめでたいタイミングに呼んでいただけたことを嬉しく思いました。2009年から関わらせてもらっていることもあって、長い歴史を感じられて嬉しいです。

矢崎広(カグラ/プロスペロー役):僕が最後に少年社中に出演したのは「モマの火星探検記」の再演(2020年)で。どうやらコロナっていうウイルスが船に乗って来ているらしいよ、というくらいの初期段階の頃で、なんとか公演はできたんですよ。

今回はそれぶりの少年社中さんなんですよね。少年社中という大好きな劇団が、傍から見ていてもこのコロナ禍で大変だろうなという状況に置かれることもあって、個人的に「頑張れ!」と思っていて。それを経て、この25周年というタイミングでご一緒できる。もがいていた時期の少年社中も知っているからこそ、4年ぶりの思いをぶつけたいなっていうのが、最初にお話をいただいた時に思ったことですね。

本田礼生(ヒナタ/ファーディナンド役):お2人の歴史を感じる言葉の後だとカジュアルに聞こえてしまうかもしれないのですが「共演したいって思っていた人がみんな集まっちゃった!」ですね。共演者のラインナップを聞いた時に耳を疑いました。

拡樹さんは、いつか舞台でご一緒したいって思っていましたし、広さんとは以前ご一緒した際に、もうとんでもなく打ちのめされて、またご一緒したいと思っていました。あと今日はいらっしゃらないのですが、鈴木勝吾さんも。このお三方が一堂に会しているところに自分の名前が並ぶことへの感動と嬉しさがありました。

――まだ稽古前ではありますが、稽古や本番に向けて楽しみなこと、またご自身にとって本作で挑戦になりそうなことがあれば教えてください。

鈴木:シェイクスピアの「テンペスト」を、25周年を迎える架空の劇団が上演するのですが、僕が演じるランという劇団とは関わりがなかった人間が入ることによって、劇団内がかき乱されていくお話です。

少年社中さんでいつも楽しいのが、「もともとの題材をどう変化させるのか」っていう部分で、例え台本が来たとしても、その台本から稽古場で結構膨らむことが多いんです。その膨らんだ部分っていうのが…なんて言うんですかね、この作品の美味しいごちそうになる部分だと思っていて。

今回もいかに膨らましていけるかなと思いますし、そのためにはベースである「テンペスト」をしっかり理解しておくっていうことが大事になってくるのかなと考えています。

矢崎:僕は劇団員を演じることが挑戦ですかね。ずっと劇団というものに憧れてはいたのですが、いざ劇団員を演じるとなった時に、劇団をずっとやってきた感じが出せるのかっていうと、実際の経験がないので挑戦になると思います。

ただ、(劇団員の)取材対象が目の前にたくさんいるので、いっぱい皆さんにインタビューしながら、僕なりの“劇団員”を作っていけたらなと思っているところですね。

本田:すごく雑な言葉かもしれないですが、本当にすべてです。少年社中さんの世界に飛び込むことも、25周年というすごく貴重な瞬間に立たせていただくことも、このそうそうたる皆さんに名を連ねることも。この現場ではよりいっそう、自己紹介も兼ねてエッジを効かせる必要があるのかなという風に感じています。

――作品のプロットはすでにご覧になっているとのことで、ご自身が演じる役へのファーストインプレッションを教えてください。

鈴木:ランの“人を幸せにする演劇を”っていうところは、僕にとっても役者を続けてきたなかですごく大事な部分なので、そこがランの設定として入っていたことが嬉しいです。そうなってくると、ラストを迎えた時に、実際に劇場に来ているお客さんはどういう気持ちとどういう表情で帰ってくれるのかなっていうのは、すごく楽しみになってきましたね。

――矢崎さん演じるカグラはいかがでしょうか。

矢崎:まだ概要のみなので漠然としたことしか言えないですが、カグラは劇団の中心人物で混乱する劇をなんとかまとめようとする人物。劇団をなんとか支えたいし演劇を崩したくないし、そのために全体を見ている人物なのかなって思っていて。

そういう役を当て振ってくれた毛利さんの僕への期待も感じますし、自分の演劇への思いや劇団というものへの思いを大事にしながら作っていきたい役だと感じましたね。

――本田さん演じるヒナタは新進気鋭の劇団員とのことですが…。

本田:少年社中さんに初めて関わらせていただくという今の自分の立場に合わせて書いてくださっているなっていう印象で。ヒナタの尊敬する先輩の姿を見て、色々感じるところがあるっていう部分は、まさに今の自分が先輩方のお芝居を稽古で見て感じることに直結していくんだろうなと思っています。

僕自身すごくワクワクしている段階なんですが、そのままの気持ちで行った方がいいのかな、と。役作りに関しては、劇中劇以外はあんまり固めずにフラットで行こうと考えているところです。

――それぞれ別作品で共演されていますが、役者としてお互いに尊敬する部分を教えてください。

矢崎:じゃあ僕から行きます。拡樹くんは、ちょっと前に話した時に、僕の中で紐解けたことがあったんです。なんか彼は飽くなき探求心みたいなものを持っている人で、そこにすごくこだわりを持っている。それが本当に魅力的。

かと言って、その裏でめちゃくちゃ努力しているだろうに、それが見えてこないところがミステリアスだし、そこがやっぱり「鈴木拡樹」という役者の面白いところなんだなって思います。話したらめちゃめちゃ熱い人なので、なんかそのギャップに私はやられています。

鈴木:(静かに微笑む)

矢崎:礼生くんもあまり努力を見せないタイプの人なんですけど、クレバーでいろいろ器用にこなしながら、彼なりにすごく周りを見ていて。周りを見る能力が本当に長けているから、それがすごく芝居に生かされているし。例えば舞台上で何人もいるときに、「どこにいたら自分の役として成立するだろう」みたいなことの表現が抜群にうまいです。

そういう周りを見る能力から演技にも派生していっているんじゃないかなって、僕の想像では思っていて、そこはもう本当に敵わないなと思うぐらい。身体も効くし、周りも見れるし、これからどんどん吸収していくだろうなと思っていますね。

――素敵なコメントありがとうございます!

矢崎:こういうのは先に言ったほうがいいのよ。

一同:(笑)

鈴木:事前情報で礼生くんはストイックだと聞いていて、これから稽古でそういうところがもっと見えてくるんだろうな思っていたんですが、今日ここまで取材いただいたなかでも、熱くなるポイントでけっこう目の色が変わるなと。

矢崎:たしかに(笑)。

鈴木:お芝居好きなんだなっていう気持ちが伝わってきて。それぞれベクトルは違うかもしれないけど、お芝居が好きな人が本当に集まっていて、このなかに礼生くんがいるのもすごく納得ですね。稽古でどういう姿を見られるのか、これから楽しみです。

矢崎くんは、昔から僕のなかでは“器用な役者といえば”の代表格が矢崎くんですね。器用なだけじゃなくハングリー精神も見える。今よりももっと昔の方が…。

矢崎:むき出しだった。

鈴木:(笑)。でも本当に鋭い刃みたいものを感じるオーラで、いまもお芝居と向き合っているときにはそれを感じるし、それが嬉しかったりします。共演する期間はすごく空いたんですが、そこが変わってないっていうのがやっぱり嬉しいですね。

本田:稽古へのハードルがどんどん上がっている感じがしますね…。あの、言葉にするとかなり微妙なんですが、僕、よほどじゃないと人に対して尊敬っていう感情を抱かないんです。

一同:(笑)。

本田:そのなかで本っっ当にお芝居を観て感銘を受けたのがこのお2人と(鈴木)勝吾さんで、はやくご一緒してみたいっていうのがまず第一です。

拡樹さんに関しては、舞台でご一緒するのは今回が初めてで、稽古段階の姿を拝見したことがないんです。拡樹さんってずっと光ってるというか。

鈴木:(笑)。

本田:「ピカーン!」という光とは違う、演劇人としてまとっているオーラというか。そこから溢れるルーツとか、どういう土台でその光が増えているんだろうとかを、稽古で見られるのがすごく楽しみ。自分には確実にないものなので、どうやって手に入れるかもわからないような雰囲気を持っているところが、拡樹さんの素敵なところだと思います。

広さんは、それこそ自分が欲しいのに手に入らないものを全部持っている方という印象です。これは年齢を重ねていけば近づけるものなのか、それともスキルアップをしていけば近づけるものなのか、曖昧なところというか…広さんの持っているものを自分が手に入れられる自信がないというか。でもそれは確実に欲しいもので。なので、1番欲しいものを持っている人です。

――改めて稽古場でみなさんが顔を合わせる日が楽しみですね。

矢崎:本当に楽しみです! ある種、分野が違うとか、積み上げてきたものがそれぞれ違う人たちが、少年社中に集まるということで、本当に「テンペスト」の意味にふさわしい“嵐”みたいになりそうだなと。ベイブレードみたいにぶつかってバラバラになるのかもしれない(笑)。むしろなればいいなと思いますね。

――ありがとうございます。では最後にファンへのメッセージをお願いします。

本田:この記念すべき25周年というタイミングで、初めて参加させていただけることを本当に光栄に思っています。いつか共演したい、と言っていた先輩方と共演できることをすごく誇りに思いますし、自分にとっても大きな節目の作品となるような公演にできればいいなと思っております。精一杯頑張りますので、ぜひぜひ劇場に足をお運びください!

矢崎:今日の取材を通して思ったんですが、僕自身も今までやってきたことを全力でぶつけたいと思っているし、拡樹くんもそうだし、礼生くんもそうだし。ってことはみんなそうだと思うんですよ。だから、本当に嵐が起きるんじゃないかなと思っています。そこで生まれる渦巻きを、ぜひ生で観ていただきたいなと。ぜひたくさんの方に来ていただければなと思います。

鈴木:25周年という節目ですが、少年社中はこれからもどんどん公演を重ねて飛躍する劇団だと思っています。少年社中の特色である、“少年心を忘れない”こと。その魂のぶつかり合いみたいなものを、劇中で存分に出す作品になると思いますので、心地よく疲れるようなそんな作品になる予感がしています。ぜひ観にきていただいて、いい疲れを少しだけ感じていただいて、明日の活力につなげていただければなと思います。

***

3人とも基本は穏やかに語りながらも、ときどきグッと熱がこもって前のめりになる姿に、じわりと“嵐”の予感めいたものを感じた。公演は2024年1月に幕を開ける。これ以上ないほど刺激に満ちた1年のはじまりを過ごせることだろう。

取材・文・撮影:双海しお/ヘアメイク:AKI(鈴木拡樹)、城本麻紀(本田礼生、矢崎広)/スタイリスト:小田優士
衣装:TUITACI、71MICHAEL

公演情報

公演名

少年社中 25周年記念ファイナル 第42回公演【テンペスト】

原作

ウィリアム・シェイクスピア

劇場

<東京公演>
東京・サンシャイン劇場
2024年1月6日(土)~21日(日)

<大阪公演>
大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2024年1月25日(木)~28日(日)

脚色・演出

毛利亘宏

出演

井俣太良、大竹えり、田辺幸太郎、長谷川太郎、杉山未央、山川ありそ、内山智絵、川本裕之、鈴木拡樹、本田礼生、萩谷慧悟(7ORDER)、なだぎ武、山﨑雅志(劇団ホチキス)、鈴木勝吾、矢崎広

公式HP

http://www.shachu.com/tempest/

公式Twitter

@shonen_shachu

関連リンク

関連記事

  1. 「舞台 華の天羽組-天京戦争編-powered by ヒューマンバグ大学」、メインビジュアル&ソロビジュアルが解禁
    「舞台 華の天羽組-天京戦争編-powered by ヒューマンバグ大学」、メインビジュアル&ソロビジュアルが解禁
    2.5ジゲン!!
  2. 舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2、新キャスト&キービジュアル&公演情報が解禁
    舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2、新キャスト&キービジュアル&公演情報が解禁
    2.5ジゲン!!
  3. 石川凌雅&松島勇之介、誘う先はホラーか?コメディか!? 兄弟役で魅せる「Grave Keepers」
    石川凌雅&松島勇之介、誘う先はホラーか?コメディか!? 兄弟役で魅せる「Grave Keepers」
    2.5ジゲン!!
  4. 舞台「2.5次元ナビ!シアター~Show Must Go On~」開幕 ゲネプロ公演写真&出演者コメントが到着
    舞台「2.5次元ナビ!シアター~Show Must Go On~」開幕 ゲネプロ公演写真&出演者コメントが到着
    2.5ジゲン!!
  5. 『テニミュ』 4thシーズン 青学(せいがく)vs 立海のキービジュアルが解禁 青学(せいがく)キャスト12人が本公演卒業へ
    『テニミュ』 4thシーズン 青学(せいがく)vs 立海のキービジュアルが解禁 青学(せいがく)キャスト12人が本公演卒業へ
    2.5ジゲン!!
  6. 前川優希が今、紡ぐ意味 かけがえのない「青いはる」を描き出す
    前川優希が今、紡ぐ意味 かけがえのない「青いはる」を描き出す
    2.5ジゲン!!

「ニュース」カテゴリーの最新記事

  1. 「モーターファンフェスタ2025 in 富士スピードウェイ」2万5,000名以上の来場者数を記録し盛況のうちに閉会
    「モーターファンフェスタ2025 in 富士スピードウェイ」2万5,000名以上の来場者数を記録し盛況のうちに閉会
    WWS channel
  2. 人気歌い手luz、「大麻グミ」疑惑について謝罪
    人気歌い手luz、「大麻グミ」疑惑について謝罪
    らいばーずワールド
  3. 佐野なぎさ、爽やかビキニでむちむちボディ披露
    佐野なぎさ、爽やかビキニでむちむちボディ披露
    WWS channel
  4. 夜道雪、無造作ヘアで色気あふれる!「いつもとはまた違う雰囲気でめちゃめちゃいいな」
    夜道雪、無造作ヘアで色気あふれる!「いつもとはまた違う雰囲気でめちゃめちゃいいな」
    WWS channel
  5. 竹内星菜、清楚セクシー衣装でファン悩殺!!
    竹内星菜、清楚セクシー衣装でファン悩殺!!
    WWS channel
  6. AITuber「魔法少女アイリーン」が、雑談配信にて自然なコミュニケーションに成功
    AITuber「魔法少女アイリーン」が、雑談配信にて自然なコミュニケーションに成功
    らいばーずワールド
  7. 今井翼、6ページにわたるセリフに悪戦苦闘「やっていた尺より短くなっていてビックリしたんですけど(笑)」
    今井翼、6ページにわたるセリフに悪戦苦闘「やっていた尺より短くなっていてビックリしたんですけど(笑)」
    WEBザテレビジョン
  8. 体調不良の北川景子、X連投に夫・DAIGOが反応 夫婦のやりとり話題「優しさが溢れてる」「素敵な関係性」
    体調不良の北川景子、X連投に夫・DAIGOが反応 夫婦のやりとり話題「優しさが溢れてる」「素敵な関係性」
    モデルプレス
  9. 「にこりちゃんと誰でしょう」山本圭壱、自身の幼少期と0歳愛娘の“比較”ショットに反響
    「にこりちゃんと誰でしょう」山本圭壱、自身の幼少期と0歳愛娘の“比較”ショットに反響
    ENTAME next

あなたにおすすめの記事