ギチョルを演じるウィ・ハジュン

「イカゲーム」で“ワールドスター”に駆け上がったウィ・ハジュンとは? 最新作では“犯罪組織のボス”演じ新たな顔<最悪の悪>

2023.10.21 11:10
ギチョルを演じるウィ・ハジュン

世界的大ヒットとなった2021年の韓国ドラマ「イカゲーム」での失踪した兄を探す警察官役で一気に脚光を浴びたウィ・ハジュン。アメリカの「ピープル」誌で「2021年最もセクシーな男性25人」にも選ばれた彼は、2023年でキャリア8年目。2022年には「シスターズ」のエリートコンサルタント役で色気を爆発させ、視聴者の女性を“沼堕ち”させた彼が最新作として選んだのは、ノワール・クライム・アクションドラマ「最悪の悪」での犯罪組織の冷徹なリーダー・ギチョル役。演じるたびに新たな姿を見せ続けるウィ・ハジュンに迫ってみた。(以下、一部作品のネタバレを含みます)

「ギチョルの事を考えると、心が痛かった」

「最悪の悪」は、1990年代の韓国を舞台に、地方の下級警察官・ジュンモ(チ・チャンウク)が出世を狙ってソウルの麻薬密売組織に潜入捜査を始めた事から、逃れられない運命の輪に巻き込まれていくノワール・クライム・アクションドラマ。ディズニープラス「スター」で9月より独占配信がスタートしている。

ウィ・ハジュンは、自身が演じるギチョルについて「体系的で徹底的で、何より頭が本当に良い人物」と説明。そして、過去の傷によって防御的な性格になった点、自分の感情をあまり表に出さない点、身内には責任感を持っている点が彼自身と似ていて、ギチョルがどうしてここまで成功に執着するのかも理解できたんだそう。

「家族の責任を負う為に、成功を渇望しながら高3の時にソウルに来て、友達が大切だけど表現は下手な自分をギチョルから発見しました。それで共感できたし、ギチョルの事を考えると心が痛かった」とも語っている。

アイドルを夢見た事も

ウィ・ハジュンは冒頭で紹介した作品以外にも、日本でもヒットしたドラマ「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」では主演のソン・イェジンの弟役を演じて「国民の弟」と呼ばれ、主演映画「コンジアム」では韓国ホラー映画歴代興行収入2位を記録。着実に爪痕を残す俳優だ。

そんな彼は、韓国の島育ち。田舎でネットカフェなども無く、運動場で遊ぶのが一番大きな遊び。そんな環境だったからか、体を動かすのが好きで、ジャッキー・チェンやブルース・リーの映画を観て憧れて、ヌンチャクを持ち歩いて振り回す毎日。学ぶ所も無い為、1人でボクシングの練習やアクロバットをしたり…。そういった経験が今、アクションをする時に大いに役立っているそうだ。

踊るのも好きで、高校ではダンス部を作って、自分で振り付けして公演をしていた。 その時の拍手や歓声が嬉しくて、「芸能人になりたい」と思い、高3の時に単身ソウルに上京。アイドルの夢もあり、SMエンタテインメント(東方神起やNCTなどが所属)とJ.Y. ParkのJYPのオーディションを受けたが、どちらも不合格に。

そんな中、「演技を一度学んでみようか」と軽い気持ちで大学の演劇映画科に入学したが、最初の授業で方言が出て標準語が話せない事や発声もちゃんとできない事を指摘され、大ショック。

プライドが傷つき、意地も生まれ、上手くなりたくて必死で練習したんだそう。そして、プロフィールを持って製作会社を回るうち、2015年に映画「コインロッカーの女」に出演が決まり、俳優の道を歩み出した。

「イカゲーム」出演で大ブレイク

それからコツコツとキャリアを重ね、2021年に「イカゲーム」に出演。世界的大ヒットにより、Instagramのフォロワー数が30万人から375万人まで急増した(2023年10月現在は1000万人超)。いきなりライジングスターとなり、嬉しい反面、関心の波が引いた時に傷つきたくなくて、決して浮かれなかった。

「ワールドスター」「セクシーガイ」ともてはやされるのが嫌でたまらず、「もう1回言ったら…」と、友達に怒っていたんだとか。でも、「どうせ2カ月後には忘れられるんだから、少しでも楽しもう」と考えを変えて、「オレたちの中で“セクシーガイ”は、オレしか居ない“と、フザケられるようになったそう。

ターニングポイントは「バッド・アンド・クレイジー」

そう思えるようになったのは、「イカゲーム」の後に出演したドラマ「バッド・アンド・クレイジー」の影響が大きいようだ。この作品はアクションコメディーで、彼は主演のスヨルの別人格“K”を演じた。自称“正義のヒーロー”で破天荒。そして、人間ではなく“人格”。これまで様々な役を演じてきた彼にとっても難しくて大きな挑戦だった。

「コメディーが上手な俳優になりたい、と思ってましたが、演技をする時は毎日のように練習室に行っていた僕は自分自身を解放する方法がわからず、あまりにも難しかった。いつも冷たくて硬く強い感情だけ表現していて、それを破りたいという目標がありました。Kは、賢そうに見えなければならず、また、テンションが高くて子供っぽい部分もあり、可愛くて軽くて弾む演技が序盤は難しかったけど、ある瞬間からハジケました。いつもあった恐れや強迫観念がなくなっていき、ラクになりました。面白く見せるアイデアも浮かんできて、自ら殻を破ったようです」と、“演じる楽しさ”を知り、手ごたえも感じた様子。

「Kに会って、本当に大きな悟りを得たし、今後、俳優として自分の歩みや演技にどんな変化があるのか、期待とときめきが生まれました」と、大きなターニングポイントになった作品だと振り返る。

以前はインタビューに対しても、「もしおかしな返事をしたら…」と、とても不安で、質問を事前に受け取り、返答を書いて臨んでいたが、今は「楽しくやればいい」という気持ちで自分の考えを話せるようになったんだとか。しかし、「常に作品が始まる前にストレスを感じて眠れない部分は、自信が付いてきても簡単には直らないようです」と、変わらないストイックな部分も告白している。

人柄のいい俳優になりたい

自ら考える、俳優としての強みは“多面性”。「幼い頃から、普通にしている時と笑う時が本当に別人のようだと言われてました。俳優としては最高の褒め言葉です。微笑んでも、その笑顔の中にいろんな要素が込められますから」と語っている。

そして、「“いい人”の匂いがする、人柄のいい俳優になりたい。“実際に会ったけど、すごく温かい人だった”と言われたら嬉しいです。善良な影響力を与えたいです。そして、多様な作品でいろいろな色を見せる演技をするのが夢です」と語るウィ・ハジュン。

最も大きなやりがいは「家族が喜ぶ事」と言い、「多くの方が作品を見て愛してくださる時、そして何よりも両親が気に入ってくれる事が、僕の原動力だと思います」と家族想いの一面も見せている。

次回作はラブストーリー

そんな彼はラブストーリーへの出演も発表されている。ドラマ「卒業(仮)」で、初恋の先生を想い続けるエリート塾講師を演じる予定で、また新たな姿で魅了してくれそう。そして、「イカゲーム」シーズン2にも出演決定。前シーズンで生死が不明だった彼が、どのような形で登場するのか、こちらも大いに楽しみだ。

◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部

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