映画『HOSHI 35/ホシクズ』で小高恵美演じる主人公・アキの少女時代を演じる松宮倫(C)Deview

平成特撮にリスペクトを捧げる怪獣映画で19歳の新人・松宮倫が本格映画デビュー デビュー35周年を迎える小高恵美の少女時代演じる

2023.10.18 19:00
提供:Deview

 映画『ゴジラ』シリーズなど「平成特撮作品」で活躍した俳優・小高恵美のデビュー35周年を記念した「小高恵美アニバーサリープロジェクト」の一環として、平成特撮怪獣映画にリスペクトを捧げて製作された映画『HOSHI 35/ホシクズ』。同作で小高演じる主人公・アキの少女時代を演じるのが、20歳になったばかりの新進俳優・松宮倫だ。今回メインクラスの役にオーディションで抜擢され本格的に映画デビューを果たし、今後の活躍が期待される彼女に、映画のオーディションから撮影のエピソード、デビューのきっかけから女優への想いについて聞いた。

■俳優・松宮倫 インタビュー

――本作『HOSHI 35/ホシクズ』は「平成特撮」にリスペクトを捧げた作品ということですが、オーディションに臨むにあたって準備したことはありますか?

「事前に台本の一部を渡されていたんですが、最初に読んだ時はどういう作品になるのか分からなかったので、『平成ゴジラシリーズ』や、横川(寛人)監督が前に撮られた作品を拝見して雰囲気を掴んでからオーディションに向かいました。これまで馴染みが無かった平成特撮を初めて観たんですが、『怪獣と少女』という、昔から受け継がれてきた関係性があるんだなと感じました。これまでの作品に本作のルーツを感じて、このオーディションに合格したら自分もその立場に立てるなんて…と感動するものがありました」

――実際のオーディションはどんなものだったんですか?

「台本の演技とは別にエチュード(即興演技)もやったんですが、“怪獣が空から降ってきました。その時の反応を叫んでください”というお題が出たので、全身で全力で叫びました。そこは自信を持ってやり切りました」

――特撮映画となると、実際には目の前にないものや事象を想像しながら演じることも多いですよね。

「私は小高さんの少女時代を演じたので、赤ちゃん怪獣と触れ合うシーンが多かったんですが、実際に人が動かすギニョール(操り人形)を相手に演じたので、その分演じやすかったと思います」

――撮影のエピソードについて伺いたいのですが、出演シーンは山奥の閉鎖された村のような場所でしたね。

「撮影期間の内、2日間は森の中での撮影でした。あと、隕石が落ちた跡地のような場所は、ちょっと遠くまで行ってロケをしました。コンビニまで車で15分かかるぐらいの周りに何もない広い場所で、トイレも無くて。電源はあると聞いてたので“メイクは大丈夫だね”と言っていたら、現場に行ってみたらまさか電源が無くて。私は朝起きたまんまで行ったので、ドライヤーが使えないので大変でした(笑)」

――今回、演じるアキはどんな子だと思いましたか?

「村の昔からのしきたりがあって、ずっと親からも圧を受けて縛られてきたので、自分の感情もあまり出せず、すごく内にこもった生活をしてきたと思うんです。そんな中で(怪獣の)ホシクズという自分の心の支えになるものと出会えたことで、アキの中で何かが変わったんじゃないかなと感じました。最初は自分の運命を受け入れているようですし、感情もあまり出さない性格で、台詞の量も多くないので、アキの気持ちを考えながら演じるのは少し苦労しました」

――監督の演技指導で印象に残っていることはありますか?

「お父さんはアキのことを助けようとしてくれているんですが、アキのお母さんは“毒親”というか、村のしきたりに従順な人なので、そのお母さんからいろいろな縛りを受けてるんです。でもやっぱりお母さんもお父さんも好きだから、そこでの葛藤を持ってほしいと。アキ自身はすごく愛情を持った子なので、親に反対したり出来ないけど、そんな子でも中には渦巻いてるものがあるんだよっていうふうに指導を受けました」

――脚本には明確に描かれていない感情の部分も演じていたんですね。そして松宮さんが演じたアキが、小高恵美さんが演じる35年後のアキへとリンクしていくんですが、そういう部分で気を遣ったところはありますか?

「小高さんが演じるアキの少女期なので、小高さんの演技に寄せられるように心がけました。監督からも、過去のこの作品の小高さんが演じられている役が近いから、この演技に寄せてという要望もありましたので」

――実際、小高さんが『平成ゴジラシリーズ』に出演していたのが、今の松宮さんと近い年齢の時でした。そんな小高さんの演技を見ていて気付いたことはありましたか?

「最近の映画とは撮り方も違いますし、怪獣映画独特の芝居というのがあるなと感じました。でもやっぱりその頃の等身大の小高さんのお芝居に近づけられるように、いっぱい作品を観てしまいました。(雰囲気的に近いものがあると思います)本当ですか? そうだとしたら光栄です!」

――先ほどおっしゃっていましたが、ギニョールとの演技は初めてだったと思いますが、いかがでしたか?

「星屑のギニョールを操演する方が、合成で姿を消せるように全身緑のタイツを着ていらっしゃったのが面白くて。それが見えていても演技に集中しなくてはいけないので、その辺りは想像力も結構必要でした。裏側を見たらちょっとクスッとしてしまう部分もあるんですが、ホシクズがとても可愛らしいので、すごく愛着が湧きました。でも石や土を掛けられて、最後のほうにはちょっとボロボロになってしまったホシクズを見て可哀そうだなって思いました」

――今回の映画の見どころや、感じてほしいことを教えてください。

「キャストの方がものすごく豪華で、『平成ゴジラシリーズ』にも出演されていたレジェンドの方々が出ているので、私自身すごくプレッシャーもあるんですが、当時の特撮映画のファンの方々の青春を取り戻せるような作品になっていると思います。そしてホシクズという新怪獣も出ていますので、ホシクズとの絡みもぜひ見ていただけたら嬉しいです」
――ちなみに、地質学の調査で村を訪れるユカリ役の仁科かりんさんは、同じ大学の先輩にあたるそうですね。

「同じ大学という共通点がありましたし、共通の知り合いもいるので、すごくご縁を感じて、現場でも一緒にいることが多かったので、たくさんお話をさせていただきました。私は大学で映像の制作を学んでいるんですが、仁科さんもご自身でミュージックビデオ等を監督されていると聞いて、映像作りの話もたくさんできてすごく楽しかったです」

――映像制作を学んでいるということは、映画の撮影現場ではスタッフの動きに興味津々なのでは?

「私も少し前にミュージックビデオの撮影をしたんですが、分かってはいたものの、細かいところまで準備して、演者さんのケアもしてというのがめちゃくちゃ大変でした。これから出る側としてもスタッフの方に感謝をしながら撮影に臨みたいと思いました」

――デビューのきっかけについてお聞きしたいのですが、俳優の仕事に興味を持ったきっかけは?

「もともとはダンスの出来るアーティストを目指していて、母の勧めでクラシックバレエからダンス、ヒップホップを習い始めたんです。最初はダンス一本で行くつもりだったんですが、ダンススクールの方からちょくちょくオーディションのお話をいただいて。その流れでドラマの主役オーディションを受けて、最終審査の6人にまで絞られたんですが、結局5人が合格して私だけが落ちてしまったんです。後で落選の理由が、一人だけ身長が高くてバランスが良くなかったって聞いて、めちゃくちゃ悔しくて、初めての挫折を味わいました。それをきっかけに燃えてしまって、“その監督の作品にいつか絶対に出る”って、俳優を志すようになったんです。ドラマの現場に行ったときに、初めてプロの俳優さんの演技を間近で見て、ダンス以外の表現もすごく面白いと思うようになって、俳優系の所属事務所を探すようになったんです」

――それでデビューの『特別オーディション』を通じて現在の所属事務所「アイエス・フィールド」に出会うわけですね。

「映像制作会社というところが、自分の目指すところに直結しているなと思いました。あと、私自身が事務所を探していた時期がちょうど高校3年生で、大学受験を決めていたので悩んでいたのですが、合格をいただいてから所属するまで1年くらい待っていただけたので、お願いします!という感じでした」

――今回、映画『HOSHI 35/ホシクズ』にメインキャストで出演して、今後より注目されると思うのですが、今後の夢や目標を伺ってもいいですか?

「ダンスを長くやっていたのでダンサー役や、直接ダンスに結びつかなくても、ダンスで身につけた表現力を活かせるような役が来たらいいなと思っています。そして名前を知っていただかなくても、私の顔を見て“この人よく出てるよね”って、多くの人に思っていただけるような女優さんになりたいと思っています」

――憧れてる俳優はいますか?

「土屋太鳳さんと石井杏奈さんです。体の表現や所作がすごく綺麗で、お二人ともダンサー独特の表現方法を持っているなと思ってすごく勉強になります。ダンスを極めていながらも、ダンスは全く関係ない演技で高い評価を受けているので、私も見習いたいと思っています」

――俳優として活動するうえで、普段から大事にしていることはありますか?

「電車の中では、あまりスマホを見ないようにしていて、いろんな人をジロジロ見たりしています(笑)。歩いているときには、独り言というか、頭の中で考えていることに意識を向けていますね」

――デビューのオーディションをきっかけに事務所に所属されたという先輩ということで、これからデビューを目指す読者に向けてエールをいただけますか?

「私もずっとダンスを習っていたところを、俳優に方向を変えたのですが、変えるのはすごく勇気が必要で悩んでいました。でも勇気を持って一歩を踏み出してみたら、すごくしんどいこともありますけど、楽しいこともたくさんあるので、ぜひ一歩を踏み出してみてほしいと思っています」

■松宮倫(まつみや・りん)
2003年10月14日生まれ、埼玉県出身。日本大学芸術学部在籍中。デビュー「夏の特別オーディション2021」で「アイエス・フィールド」に所属。特技はクラシックバレエ(歴7年)、ダンス(歴11年)。映画『HOSHI 35/ホシクズ』で映画デビュー。

■『HOSHI 35/ホシクズ(ほしさんじゅうご/ほしくず)』
2023年10月21日から池袋HUMAXシネマズにて上映

【キャスト】
小高恵美/いしのようこ/松宮倫/仁科かりん/宮坂ひろし
田中由美子/原田大二郎/螢雪次郎/橋爪淳/菊沢将憲
田中克憲/裕菜/森山珠那/杉山大/渡邊まど佳/花屋ユウ
黒井悠未/吉田こう/福田航/児玉純一/藤山遼太郎
渡邊弥雅斗/ゆうま/安田崇/高村康一郎/阿部能丸/佐藤昇
ロバート・スコット/宇賀神明広/堀田眞三

【スタッフ】
横川寛人監督・脚本米山冬馬共同監督・准監督佐藤大介共同監督・特撮監督・撮影監督横川寛人/宇賀神明広脚本

【あらすじ】
怪獣の赤ちゃんと暮らしていた少女アキは、とある理由でその怪獣と離れ離れになってしまう。それから35年の時が流れたある日、アキの家が大きな地響きに襲われる。揺れはどんどん大きくなっていき、やがて彼女の前に巨大な怪獣が現れるが、それは35年前に共に生きていた怪獣の成長した姿だった。

「平成」は、バブル崩壊、インターネット普及、震災など、繁栄と衰退が併行した時代だった。「特撮映画」もそれらの影響を大きく受け、様々な作品が作られた。実写映画『HOSHI 35/ホシクズ』は平成の時代の価値観や文化を徹底的にリスペクトし、新しい時代への架け橋になるような特撮映画を目指す。
また本作は、1987年に華々しいデビューを飾り、「平成特撮作品」で活躍した女優・小高恵美氏のデビュー35周年を記念した「小高恵美アニバーサリープロジェクト」の一環でもあり、記念プロジェクトの最後を締めくくる、小高氏の約28年ぶりの実写映画出演作となる。

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