

世界中で読み継がれる「アンネの日記」を守った“勇気の人”ミープ・ヒースの行動力に感銘

「アンネの日記」で知られるアンネ・フランク一家を含むユダヤ人をかくまった女性ミープ・ヒースを描いた、事実に基づくドラマ「正義の異邦人:ミープとアンネの日記」が8月30日に全8話一挙配信された。ナショナルジオグラフィック制作の同ドラマでは、平和とは、正義とは、人道とは…深く考えさせてくれる内容となっている。今回は音楽をはじめ幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が、独自の視点で本作の見どころを紹介する。(以下、ネタバレを含みます)
ミープ・ヒースとは?
“ミープ”とは、第二次世界大戦中のオーストリアで何人ものユダヤ人を命懸けでかくまったオーストリア系オランダ人女性ミープ・ヒースのこと。“アンネ”とはユダヤ系ドイツ人の少女アンネ・フランクを示す。どうして2人が結びついたかについては、アンネの父親オットー・フランクの会社でミープが働いていたことと大きく関係している。知的で聡明なミープも、権力と暴力を持っていて異様に目鼻の利く“ユダヤ撲滅派”の前に屈した。ミープの隠れ家で静かに暮らしていたユダヤ人たちは連れ去られ、絶命。その中にアンネもいた。
「私は救うことができなかった」というミープの自責の念はどれほどのものだったのか、想像するだけでつらくなる。生前のアンネは日記を書いていた。戦後、ミープはそれを強制収容所から奇跡的に生還したオットーに渡す。
そして1947年、今なお繰り返し読まれている「アンネの日記」が出版された。つまりミープがいなければ、「アンネの日記」は生まれていなかった。ミープが処分していたらこの文章の内容はおそらくミープとアンネ以外の誰も知ることはなかった。アンネが連れ去られた後から第二次大戦の公式終了日である9月2日の間であれば、そうしたほうが“安全”だったはず。狂気の時代に殺された罪のない少女の記録が後世に、しっかり文献として残り、世界で共有できているのはミープのおかげだ。
もちろん「正義の異邦人:ミープとアンネの日記」は「悲惨さ」だけを描いているわけではない。ミープがいかに快活で、ユーモアのセンスに富む女性であったかも生き生きと描かれている。
第1話でのジャズバンドが演奏するパーティーで踊り、のちに結婚することになる堅物のヤン・ヒースに“逆ナン”するシーンの面白さ。猫をきっかけとして猛烈に新たな環境になじんでいくフランク家の子どもたち(余談だがヒトラーは猫を嫌っていたという)。その間にも世の中は「オーストリアのドイツ併合」(1938年3月)、「オランダのドイツ占領」(1940年5月)と動き、オットーやアンネらフランク一家は1942年7月から隠れ家生活に入る。
一つの物事を別アングルから見る重要性
アンネに焦点を当てた作品は星の数ほど存在するが、この物語のメインは、あくまでもミープである。通好みというか、かなり「渋い」チョイスかもしれない。が、一つの物事を別のアングルから見る重要性を、このドラマは実感させてくれる。
登場人物の言語に基本的に英語が使われているのは、かなりの割合を占めるであろう英語圏の視聴者を考慮してのことだと思うが、実際の彼らはドイツ語で会話したはずで(米・英は敵国でもあったのだし)、そのあたりを補正しながら見ると、物語のリアリティーはいっそう増すことだろう。ドラマの原題は「A SMALL LIGHT」、詩情を感じさせる題名だ。最初はほんの小さなものだったかもしれないが、永遠の輝きを放つ真実の光を見ることができる。
ミープは後年、「あんな世の中であれば、誰でも私のように振る舞ったと思いますよ」というようなことを語ったとも聞くが、やはり彼女は「勇気の人」であるとしみじみ痛感させられる。
製作総指揮はスザンナ・フォーゲル、アヴィ・ニール、トニー・フェラン。ミープ役にはベル・パウリーが扮(ふん)し、ほかリーヴ・シュレイバー、ジョー・コールなどが登場する。
「正義の異邦人:ミープとアンネの日記」は、ディズニープラスで独占配信中。
◆文=原田和典
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