高橋健介・田村心・松波優輝、映画「岡野教授の高校協奏譚」で示す新境地

2023.07.05 19:00
提供:2.5ジゲン!!

独特な作風が話題となったミュージカルコメディ「岡野教授」シリーズ第3弾となる、映画「岡野教授の高校協奏譚」。コロナ禍の影響で上映が延期されていた本作が、ついに再始動となった。

今作は舞台を大学から高校に移し、2人の高校生が“保健室のマドンナ”のハートを射止めるために学校中を巻き込んで火花を散らす様子が描かれていく。

2.5ジゲン!!では、「赤シャツ」と呼ばれる転校生・森田三郎を演じた高橋健介、完全無欠のエリート生徒・榎木堀を演じた田村心、新聞部員を演じた松波優輝にインタビューを実施。

撮影時の記憶を掘り起こしてもらいつつ、お気に入りのシーンや高校時代にまつわるエピソードなどを聞いた。

唯一無二の新ジャンルを開拓

――撮影は4年前とのことですが、完成した作品をご覧になったのはいつ頃でしたか。

高橋健介:昨日の夜です。

松波優輝:僕は今日の朝です。

田村心:同じくです。

一同:(笑)。

――では皆さん、新鮮な感想があるかと思うのですが、まずは完成した作品をご覧になっていかがでしたか。

高橋:そうですね。僕に作品が届くまでにも、各部署やマネージャーを経由したりといろいろあると思うのですが、「あ、映画って完成までに4年かかるんだ」っていうのはありましたね。

一同:(笑)。

田村:完成したものを見て、非常にユニークな作品に仕上がったなって思いましたね。珍しいじゃないですか、邦画でこういう感じの作品って。なので、印象としては面白い作品になったなという感じです。

松波:ね。なんか他に比較対象があんまりない作品だよね。ミュージカルだけでもなく、コメディ要素だけでもなく、ちゃんとメッセージ性もあって。だから、唯一無二の作風だなって感じましたね。

高橋:そうですね。「岡野教授」っていう新ジャンルかもしれないですね。

――みなさんがおっしゃるように他にはない雰囲気の作品かと思うのですが、撮影現場で感じていた手応えと、完成した映像を見た際に「ここはこんな風に仕上がるんだ」と想像と違っていたシーンなどはありましたか。

高橋:撮影中の手応えはまったくなかったですね。(両サイドからツッコミが入るのを聞き流しながら)けれど、こうやってお客さまに観てもらって、面白いって言ってもらえたので、そこが1番のいい意味でのズレだなって思いますね。

もちろん面白いものを作りたくてやっているのは大前提ですけど、正直「これ伝わるかな?」とか思う部分もあったんですよ。ストーリーだけを追っていくと、結構感情の流れが飛んでいたり、ミュージカル要素を入れる都合上、急に始まる感じがあったり。

普通のロジックではない部分があるので、撮っている間、こちらは不安な部分もありました。悩みながらやっていましたけど、この作品を観て「面白い」って言ってくださる方がいて、ありがたいなと思いました。

松波:僕は最初から最後まで、がっつり自分の出演シーンがあるっていう映画に出演したのは今作が多分初めてだったと思うんです。その中で、撮影のスケジュールって頭からお尻までずっとストーリーを追って撮っていくわけではないじゃないですか。

だから、「どんなストーリーか」っていうのは頭には入っている状態でお芝居をするんですけど、「あ、このシーンがここのフックになるんだ」とかっていうのは、やっぱり完成したものを観ないとどう使われているのかがわからなかったから、それはすごく新鮮に観ることができましたね。

――田村さんは本作が映画初挑戦だったかと思いますが、初の映画撮影の現場はいかがでしたか。

田村:こんなハードなんだっていうのは当時、感じましたね。本当に朝から晩まで撮って、みんなで泊まって。

高橋:舞台稽古とかとスケジュールが全然違うもんね。

田村:だから、自分がどこまでセリフを入れればいいのかとかも分からなくて、とにかくもう必死に覚えてたっていう記憶はあります。もっと力を抜いて、リラックスをしてやれた部分もあったのかなって、4年経った今は思いますね。

――現場で高橋さんからのアドバイスなどはありましたか?

田村:アドバイスはなかったですね。ずっといじられていました(笑)。

高橋:僕から言えることなんてないのに僕に聞いてくるから、うるさいなと思って(笑)。

田村:うわ、やば(笑)。

高橋:結局みんな各々のスタイルがあるじゃない。僕もたしかに『ウルトラマンX』をやっていましたけど、それで「映像経験豊富なんでアドバイスください」みたいな感じで来られても。あれはあれで特殊な撮影でしたし、僕がお芝居でやんややんや言うことも特にないので…。でも聞いてくるから、だったらいじるしかないかなと思ったんだよね。

一同:(笑)。

田村:理論おかしいっすよ!

高橋:いやいや。でも、無視って1番嫌じゃない。芝居のことを聞かれても何にも答えてあげられない。「じゃあいじるか」ってね。

田村:(笑)。

――田村さんとしては、その対応で緊張がほぐれるといった部分も…?

田村:それはあるかもしれないですね。とくに初日とかは相当緊張していたので。

高橋:初日、緊張してたね。でもまあ、(田村演じる)榎木掘が力んでいる役だったので、それは非常に合っていたのかなと思いますけどね。

田村:ありがとうございます。

――では、お気に入りのシーンを挙げるとしたらどこでしょうか。

高橋:お気に入りのシーンは…ない。

松波:ねぇ~!

高橋:うそうそ、お気に入りのシーンですよね。あれですね、最後みんなで校舎に向かって行進していくシーンです。子役の子も一緒に音楽に合わせて行進しますが、子役の子は歩幅が合わないからちょっとつまずいちゃって。それでも、撮影は進んでいくから一生懸命歩いていて、そこが可愛いなって。

田村:僕は弟とのボイラー室での2人のシーン。撮影中も可愛かったですし、完成版を見た時に、当時その子の歯が抜けてたな~とかも思い出したので、お気に入りですね。

松波:僕はセリフのないシーンなんですけど、ポンプ室に立てこもった次の日の朝、遠山先生が何も言わずに出て行くのを三郎(演:高橋)だけが気づいて追いかけるシーンですね。バリケードを築いていた応援団と僕がもはや疲れて寝ているんですけど、自分たちと撮影の感じとで重なる部分があったのと、あの朝焼けの雰囲気がすごく綺麗だったなっていうのが印象に残っていますね。

思い出に残っている先生は…?

――作中では部活同士の衝突が描かれますが、いま高校生に戻るなら何部に入ってどんな学生生活を送りたいですか。

田村:(即答で)帰宅部ですね。

高橋:帰宅部って部じゃないからね。さも自分たちが部であるかのように帰宅部って名乗ってますけど。

松波:確かにね、帰宅部に入部届け必要ないもんね。

田村:いや、僕自身は当時部活入ってましたよ! でも今なら帰宅部に入りたい。

高橋:帰宅部か~。僕はなんだろうな。軽音部とかですかね。

田村:あ~!

高橋:音楽に関わる部活とかやってこなかったし、音楽に関わったとしても指揮者とかをやっていました。自分が何か音を発するということは一切やってこなかったので、そっち側に立ってみたいですね。で、バンプ(BUMP OF CHICKEN)を1回通りたいですね。僕の勝手なイメージですが、軽音部といえば、絶対バンプですもん。

松波:世代だよね。僕は今の時代で言ったら、多分あるところはあると思うんですけど、eスポーツ部。

高橋:確かに、今の時代だとあるかもしれないね。

松波:僕が通っていたところは田舎すぎて、野球かサッカーかの2択くらいしかなくて。そもそも生徒数が少なくて選択肢がなかったんですよ。だから、そういうイマドキっぽいやつがいいですね。

――岡野教授をはじめ、今作では保健室のマドンナ・遠山先生も印象的でした。みなさんが学生時代に出会った先生や教授で思い出に残っている人はいますか。

高橋:保健室の先生って憧れていましたけど、僕が通っていたすべての学校において、全員、いい意味でおばちゃんでしたね。

田村:確かに。

高橋:マドンナ的な若い先生っていなかったですね。学校の先生って、3年間や6年間一緒じゃないですか。なのに、なぜか1ヶ月しかいない教育実習の先生のほうが印象に残っているなっていう記憶はありますね。

田村:たしかにそれはあるかも。僕は印象に残っているのは、生徒にとっては理不尽なことに対して反発しようとしたときに、それを大人の立場として止めるんじゃなくて、「いいよ、行ってきな」って押し付けがましい雰囲気や言葉にもせず、許容してくれた先生はすごい印象に残ってます。

高橋:理不尽なときって、例えば?

田村:ざっくり言うと、台風の接近で文化祭が中止になったんですよ。まだ雨も降っていない中で発表されて、全校生徒が職員室に抗議に集まる、みたいなことが起こって。その抗議に向かうときに、うちの担任だけは止めなかったんですよ。

高橋:めんどくさかったんじゃない?

田村:違う、違う(笑)。ちゃんと後々話を聞いたら、「戦ってきなって思ってたよ」って教えてくれて。

高橋:美談みたいに言ってるけど、捉え方によっては自分が戦うことを諦め、生徒に戦わせた大人でしょ?

松波:そこは美談として捉えようよ(笑)。

田村:いいじゃないですか美談で(笑)。その先生が僕は記憶に残っていますね。

――素敵なエピソードをありがとうございます! では最後に、ファンへのメッセージをお願いします。

高橋:完成披露試写会に来てくれた方、そしてこの記事を読んで少しでも作品に興味を持ってくださった皆さまには本当に感謝しています。世の中にはいろんな娯楽がありますが、その中でこの「岡野教授」という作品を選んでいただいたのは嬉しいですし、それがまた次につながって、僕や松波さんだったり、田村さんに興味を持ってもらって、応援という形にもつながっていったら嬉しく思います。引き続き応援よろしくお願いします。

「2.5ジゲン!!」さんの取材ですが、原作がある作品ではないことに今気づいてしまいました。ですが、作品に興味を持ってもらえたらと思います。

田村:本日はありがとうございました。撮影当初、監督が「子どもから大人まで楽しめる作品にしたい」とおっしゃっていました。なので、劇場公開されましたら、子どもとかも連れて楽しんでいただけたらなって思います。

高橋:もうちょっと熱意のこもったコメントお願いします。今のところイベントに子ども1人も来てなかったから。このままだったら多分本当に(子どもは)来ないから。

田村:えーっと、お芝居のうまい子役も出演しているので、子どもたちもライバルを見に集まっていただければなと思います。

高橋:そして?

田村:終わりだよ(笑)。

高橋:終わりか(笑)。

松波:まずは、ありがとうございました。撮影が1週間っていうタイトスケジュールだったので、ようやく仲良くなれそうだなという時にさようならだったのが、僕の中で少し寂しく思っていて、今日4年ぶりにお2人に会えて登壇できて嬉しかったです。

この2人と岡野教授が軸になったお話ではあるんですけれども、最後の方に「いろんな人がいる」っていう赤シャツ(森田三郎)のメッセージにもあったように、役者もキャラクターもいろんな人が集まっています。話の分かる部分、分からない部分はそれぞれあると思いますが、どこかしら「面白い」って感じられる部分があると思うんです。なので、「私ってこういうところで笑えるんだな」みたい部分を、見つけてもらうきっかけになるような作品になったらいいなと思います。

映画「岡野教授の高校協奏譚」完成披露試写会イベントレポート

6月17日(土)に実施された映画「岡野教授の高校協奏譚」完成披露試写会イベント。3部には、2部から引き続き高橋健介・田村心・松波優輝の3名が登壇した。

登場するやいなや「人や作品を傷つけなければ何をしてもいい、と言われた」とアクセル全開の高橋と、それに対して「僕たちは人にカウントされていない可能性もあるから」と警戒心を強める田村と松波との、軽快な掛け合いが会場の笑いを誘う。

MCから役作りについてこだわった部分を振られると、高橋は「ないですね」と一刀両断。自身が憑依型だと説明したうえで、オリジナル作品だからこそ監督と話し合ったことを第一優先にして演じたと、プロ意識がきらりと光るコメントで会場を沸かせた。

田村が「スクールカーストのトップをイメージして」役作りをしたと語ると、高橋がボソリと「普段とは逆だもんね」とこぼし、切れ味ある“高橋健介節”に客席からはクスクスと笑いがこぼれる場面も。

辛口かと思いきや、「人のよさがにじみ出ていて、榎木掘亜斗六くんは心にしかできないと思う」と褒めちぎるなど、プライベートでも仲のいい2人ならではの絶妙な言葉の応酬は、ラストまでファンを楽しませ続けていたのが印象的だ。

自身の役を振り返って、第三勢力的な立ち位置だったと語る松波は、監督から「インテリっぽく、かつ面白ければ情報操作もありな新聞部」といったイメージを共有してもらったうえで、自由に演じたことを明かした。

「完成した映像への印象」という質問では、高橋が「出来上がりを想像しながら演じていたのでイメージ通りだった」と語り、田村は「初挑戦で不安だった」「ラップシーンがかっこよく仕上がっていて嬉しかった」とコメント。

松波は、メインで映ることの多い高橋と田村の後ろで、「いかに邪魔にならず、同時に誰だか分かるように映り込めるか」のベストバランスを探るのに苦労したというエピソードを披露した。

松波は撮影以来、初めて2人と顔を合わせたとのこと。意外と目立ちたがりだという松波の新たな一面を知って、「へ~そうなんだ」と驚く高橋と田村の距離感も含めて、終始ほのぼのとした雰囲気が漂うイベントとなった。

最後の挨拶では、田村が「苦労して撮影した作品だったので、4年越しとはなりましたが、みなさんの目に触れる機会ができて嬉しかったです。今後、作品が上映されることになって、さらに多くの人に届けばいいなと思っています」と、「岡野教授」の今後の盛り上がりへの期待を覗かせた。

高橋は「出会うきっかけやタイミングは、本当にその時々だと思います。今回、この完成披露試写会ではじめましてになる田村さんや松波さんのファンの方もいらっしゃると思いますし、この作品を通して新しい出会いがあったこともご縁だと思うので、引き続きみなさんの力で、その輪を広げていってもらえたら幸いです」と真面目なコメントで締めくくったかと思いきや、最後に会場となった浅草で友人が営むバーを宣伝。田村から「最後、話それちゃってるじゃん(笑)」とツッコまれるという、最後の瞬間までにぎやかな完成披露試写会となった。

取材・文・撮影:双海しお

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