橋本祥平&梅津瑞樹「人付き合いの秘訣はありません!」 新生活への背中を押すような作品に、舞台「ちょっと今から仕事やめてくる」
映画化もされた北川恵海による小説「ちょっと今から仕事やめてくる」が、橋本祥平&梅津瑞樹のW主演にて舞台化。2023年4月22日(土)~30日(日)、東京・シアター1010にて上演される。4月という時期に1人でも多くの人の背中を押せたらと企画された今作は、果たしてどんな作品に仕上がるのだろうか。
2.5ジゲン!!では、本作でW主演を務める青山隆役の橋本祥平、ヤマモト役の梅津瑞樹にインタビューを実施。共演機会の多い2人は、本作にどんなことを期待しているのか。作品への印象や、社会人や環境の変化といった本作にちなんだテーマ、2人の関係性などを聞いた。
――まずは、お2人でのW主演と聞いていかがでしたか。
橋本祥平(青山隆役):シンプルにめちゃくちゃうれしかったです。瑞樹くんとは舞台だったりバラエティだったりで一緒になる機会が多かったので彼のいろんな面を知ってはいるんですが、どちらかというとお互いのおもしろいところを引き出す作品が多くて。だからこういう真面目な作品で一緒にガッツリお芝居をするのは初めてなので、そこはすごく楽しみですね。
梅津瑞樹(ヤマモト役):実はさっき別のインタビューで、共演作に「カミシモ」(舞台「あいつが上手で下手が僕で」)を挙げたのですが、「漆黒天」でも共演してたのをいま思い出した。
橋本:そうだ、あるやん!
梅津:そう、あったの。でも、「漆黒天」では本当に一切絡みがなかったから、そりゃ一緒だったの忘れちゃうなと。一言も会話を交わしていなかったですし、「カミシモ」も別のコンビだったので劇中では話すというほど話していませんし、今回ようやく念願叶ってという感じで嬉しいですね。
――原作への印象、役への印象を教えてください。
橋本:読み終わってすごく晴れやかな気分になる作品だなという印象でした。現代社会で頑張っている人に寄り添ってくれる作品で、作中ではサラリーマンが描かれていますが、たとえば部活で頑張っている人とか、社会人世代以外の人にも共感できる部分があるんじゃないかなと。
作中には「昔はこうだった」と言ってくるタイプの上司とかが登場して、たしかにその人たちがいるから今があるというのはわかっているのですが、その人たちの振るまいを客観的に読んで、ちゃんと時代に順応していかなきゃいけないなと思い知らされました。
梅津:僕は役に関していうと、毎度のことなんですが、普段の僕とかけ離れた人物だなという印象で。そこをうまくできれば、また自分のなかの引き出しも増やせるだろうなと。なによりも関西弁というところが、すごく大きなネックになっています(笑)。そこは初挑戦なので、ネイティブな関西弁を習得できるように努めますが、どうかおおらかな気持ちで受け止めていただきたいですね。ぜひ関西圏の方も北千住に来ていただいて、果たして梅津の関西弁は本物なのか偽物なのか、ご自身の耳で確認してもらえればと(笑)。
作品に関しては、最後はすっきりしますが、その最後のカタルシスに向かっていく間、ものすごくフラストレーションの溜まる作品だなという印象です。似たような経験をしたことがある人にとっては、途中すごくヤキモキしたり、ウっとくるものがあったりすると思うのですが、結論を急いでほしくないというか。さっき祥平が言ったように、最後にはすっきりできる結末が待っているけれど、そこに向かってどういうことが積み重ねられていくかという話なので。
それこそ僕は最近流行っているファスト映画とか本当に許せないんですよ。結末を迎えるまでに、そこにある障害をどういうコースを辿っていくかというのが大事なので、そこをすっ飛ばしてほしくない。
橋本:わかる。
梅津:それはこの作品に関してもそうで。上演時間が仮に2時間だとしたら、1時間半くらいはヒヤヒヤハラハラ落ち着かないかもしれませんが、この作品は気持ちよく終われる結末がちゃんと待っているのでね。あ、これネタバレになっちゃいますかね? でも(本を手に取りながら)この装丁でバッドエンドということはないんですよ。このポップな書体を見てくださいよ!
一同:(笑)
梅津:原作を読んで劇場に足を運ぶ、または未読で飛び込む、どちらにするかはお任せしますが、裏表紙には「スカッとできて最後は泣ける」という売り文句が書いてありますので、ひとまずこれは皆さんにお伝えしておきたいなと思います。
――最後のスカッとする結末に行き着くまでは、青山にとって苦しい状況が続きますが、似たようなしんどい経験をされたことはありますか。
橋本:就職してないからなあ。
梅津:バイトは?
橋本:バイトはあるけど紹介で入ったから、落とされる面接みたいなのはしてなくて。でも、青山くんって「簡単に仕事は辞められない」という気持ちが強い人物ですが、そこは自分と似ているなと思いました。仕事でもバイトでも、合わないなと思ったらすぐ辞めて次って行ける人もいると思うんですけど、僕はそれができないタイプで。高校時代のバイトが結構キツかったんですが、そのときも辞めるっていう選択肢がなかったので、なんとなく青山くんの気持ちはわかりましたね。
青山くんはそこで“ヤマモト”というきっかけがあったから動けたんですけど、人生を変えるタイミングって生きているなかで何度かあると思うんですよ。それを全部見つけて掴むのは大変ですが、そのタイミングで誰に会ってどんな言葉をかけられるかによって、その先がすごく大きく変わってくるなって。
そういう意味では、自分も行き詰まったときに声をかけて手を差し伸べてくれる人たちがいたので、改めて青山くんの物語を追いながら、「そういった人たちのおかげで今の自分がいるんだな」と実感できました。
梅津:僕はそれこそいろいろなところでバイトをやってきて、いろいろなところでやってきたということはいろいろなところを辞めてきたということなんですよ(笑)。いろいろなところにいろいろな考えの人がいるなというのを感じられましたね。まあ演劇界にも変わった人はたくさんいるんですが。
一同:(笑)
梅津:もともと僕は他人に全幅(ぜんぷく)の信頼を置くタイプじゃないんですよ。人に期待をしていないので、突拍子もないことをされても傷つかない。だから心折れること自体がそう起こらないんですが、やっぱり付き合いが長くなってくると、「なんでこんなに一緒に時間を過ごしてきたのにそんなことを言うんだろう…」とか思ってしまうんですよね。しがらみというやつですよね。そういうのを考えると、自分はずっと1箇所にいない方がいい性分なんだなと。
――では、役者ではなく青山のようなサラリーマンになっていたら…。
橋本:僕は続けて…。
梅津:そして僕はすぐ転職しているでしょうね(笑)。
――転職もそうですが、4月上演の作品ということで、上演時には新しい環境に身を置く人も多いかと思います。役者さんは順応力が高いという印象ですが、人付き合いの秘訣のようなものはありますか。
梅津:いろんな役を演じるからか、役者はそういうふうに思われがちなんですが、結局は人によると思うんですよ。だから秘訣はありません!
橋本:新しい現場でも、最近だと誰かしら知っている人がいるので、そこからの切り込みでどうにかなるんですよね。だから僕は新しい環境に慣れるのが上手な方だと思っていたんですよ。ただ、去年12月の舞台が本当に誰一人知っている人がいなくて…。そこで「俺ってこんなにも黙ってられるんだ」って自分でもびっくりしました。
一同:(笑)
橋本:最初の導入をそれで行ってしまったので、途中からもう路線変更もできないわけですよ。「あ、俺ずっとこの現場はクールでいくんだ」って思いながら、素を見せられないまま…。役者だからってみんながみんな順応できると思ったら大間違いだぞ、と(笑)。
梅津:いや~いいエピソードだね。
橋本:楽屋で騒がしくすることもできなくて、それこそ本当にこれ(原作小説を手にとって)ガーッと読んでましたよ。
一同:(笑)
――新しい顔ぶれのなかでのコミュニケーションのコツはありますか?
梅津:会話中に、相手の「もっと話したい」という匂いをうまく嗅ぎ取って、それを利用して相手に話していただく、ですかね。ラジオのお便りでも、職場や人間関係の悩みってすごくたくさん寄せられるんですよ。そういうときには、相手の話をちゃんと理解して、それに対して自分もちゃんと返答すること。なおかつ押し売りにならない程度に自分の情報を小出しにするのがいいよっていうアドバイスをするんですが、やっぱりそれに尽きるんじゃないかなと。
――ちなみに出会った当初のお2人のコミュニケーションは?
梅津:僕はさっきの祥平状態ですよ(本を読むポーズをしながら)。
橋本:最初がドラマの撮影だったのかな。撮影終盤から徐々に話すようになったのを覚えていますね。さっきの瑞樹くんの言っていた、「ちゃんと相手のことを理解しながら会話をする」っていうのが、いますごく刺さっていて。俺、初対面の人に対して頑張ってしゃべろうとした結果、よく出身を聞くんです。この前驚いたのが、同じ質問を同じ人に3回してたんですよ。
梅津:(笑)
橋本:質問内容に全然興味がなくて、とにかく話す口実がほしくて質問してたから、瑞樹くんの話を聞いてこれからはやめようって思いました(笑)。
梅津:それこそどこに住んでるとか、その後遊ぶ計画でも立てない限りいらない情報だしね。
橋本:そうなの。でも、あわよくば同じ出身地であってほしいと願いながら質問してた。
梅津:その必死さもかわいくていいと思うけどね。
――今作はW主演となります。共演するうえで楽しみなことはありますか。
梅津:これまで一緒にやった作品とも、お互い毛色が違う役だから、祥平のまた違ったお芝居が観られるのがやっぱり楽しみですね。
橋本:瑞樹くんって、青山役もヤマモト役もどっちも想像つくなと思っていて。そのなかで今回はヤマモト役ということで、普段から瑞樹くんは真面目にお芝居をやったかと思ったら、突拍子もないことをやって場をかき乱してくれるところがあるので、そんな彼がヤマモトとしてどう青山を振り回すのかがすごく楽しみです。
個人的には、稽古場でそんな瑞樹くんを眺めて、しんどい青山を演じて荒んでいく心を癒やしてもらおうと思っています。
梅津:きっと座組のみんなが祥平に優しくしてくれるよ。休憩のたびにお菓子とかもらえるかもよ。
橋本:(笑)
梅津:小説のわりと最初の方に、飲み屋で人生で1番うまいと思われるホッケを食べるという描写があるんですが、そこがすごく好きで。そこを演じるのが楽しみですね。すごく居心地がいいからこその会話だと思うので、そこを目指していきたいです。
橋本:僕はやっぱり、作品の核でもある仕事を辞めるというところが、開演してからずっと溜め込んできたものを発散できるシーンなので、そこに持っていけるように、周りの芝居からいろんなものを受け取ってストレスのパラメーターを上げていきたいですね。あとは純粋にヤマモトとの会話が楽しみです。
――最後に作品を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
梅津:これ、困るよね。ここまでいろんなこと話したのに、さらにもう1個出さなきゃいけないの。
一同:(笑)
――ですよね(笑)。では、4月上演作品なので、新生活を始める方への4月っぽいメッセージをいただければと!
橋本:(熟考して)えーっと、みなさんの背中を押せたらなと。
梅津:薄っぺらいよ(笑)!
橋本:だよね(笑)。では改めて。お客さんの多くがもしかしたら青山に感情移入して観てくださるかと思うんですが、ある種このカンパニー全体がヤマモトとして、皆さんを救ってあげられたらと思います。あとは瑞樹くんの「歯磨きのCMみたいな笑顔(原作に登場するフレーズ)」をお楽しみに。
多分12月くらいに「あの作品大変だったな」と思い出すと思うんですが、それと同じくらい「やりがいがあって楽しかった」と思えるように、僕自身も楽しみながらこの素敵な作品を作っていきたいと思います。
梅津:4月ということで、学業・就職と新しい環境に飛び込んでいく方も多いかと思います。私事なんですが、実はこのインタビューを受けている翌日に引っ越しなんです。実は駆け込みで年明けから動いて一気に決めたんです。何事も結論を急ぐ必要はないと思いますが、このようにときには勢いも必要ということで(笑)。
春からの新生活、なにが起こるかはわかりませんが、まあなるようになります。大切なのは自分の周りの人を1人1人見つめて、理解に努めることかと。とか、いろいろ言いましたが! 4月にシアター1010にてお待ちしています!
***
気心知れた仲とあって、撮影時からリラックスした雰囲気が漂うインタビューとなった。「ブラック企業」「パワハラ」といったやや重いテーマを描く本作の中で、2人の芝居はどんな化学反応を起こしてくれるのか、今から春が待ち遠しい。本作の上演期間は、ちょうど4月末。きっと2人の語る“すっきりできる結末”が、憂鬱な五月病を遠ざけてくれるに違いない。
取材・文:双海しお/撮影:MANAMI
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