

平均年収90万円…茶葉農家のシビアな現実を変えたい 25歳の茶道家が広げるお茶の世界<最強の時間割>

民放公式テレビ配信サービス・TVer初の完全オリジナル番組「最強の時間割〜若者に本気で伝えたい授業〜」が無料配信中だ。2月3日に配信開始となったLesson9では、25歳にして最年少で裏千家の准教授となり、株式会社TeaRoomの代表としても活躍する岩本涼がカジュアルな茶会を開催した。
裏千家の最年少准教授が変えるお茶会のイメージ
「最強の時間割 ~若者に本気で伝えたい授業~」は、さまざまなジャンルのトップランナーが特別授業を実施し、ラランドのサーヤとニシダ、櫻坂46のメンバー、そして学生ゲストが参加。トップランナーたちの授業がアーカイブされることで、TVerに「最強の時間割」が完成するというコンセプトの番組だ。
授業が行われる場所は毎回変わるが、2月3日に配信となったLesson9の舞台は厳かな雰囲気が漂う和室。いつもとは違う空気感に、櫻坂46の井上梨名やラランドらは少々緊張気味だ。そんな中、着物で現れたのは今回の講師・岩本涼。25歳にして裏千家の准教授となった茶道家だ。
裏千家とは、千家、武者小路千家と合わせて「三千家」と呼ばれる茶道の流派。日本で最もメジャーな流派と言われ、数多くの茶道人を抱えている。ちなみに、裏千家では「茶道」を「さどう」ではなく「ちゃどう」と読むので注意が必要だ。
また裏千家では、修道の度合いによる資格制度を設けており、准教授もその一つ。お点前を全て習得し、教授者として許しが得られた茶人に与えられる資格だ。茶の道だけを極めればいいというわけではなく、道具の扱いや茶席に生ける花、人となりに至るまで、全てが習熟度を表す指針となる。当然誰もが准教授になれるわけではなく、そもそも25歳未満は取得することができない。
そんな准教授の資格を最年少で得た岩本は、早稲田大学在学中に、茶葉の生産から加工・販売までをトータルプロデュースする株式会社TeaRoomを設立。昨年、ビジネス誌「Forbes JAPAN」による「世界を変える30歳未満の30人」にも選出された若き実業家でもある。彼が今回届けるのは、井上が言うように「礼儀作法が難しそうでお金持ちの人が楽しむもの」というイメージをガラッと変えるお茶会の体験だ。
そもそも、正式な茶事は4時間かけて行うものであり、部屋を暖めるために炭をくべるところから始まるという。そこから、懐石料理をたらふく食べ、お酒もたらふく飲んだ後にお菓子を食べ、庭に出てタバコを吸ったりしたらようやくお茶の時間。岩本は「お茶よりもお酒の摂取量が多い」と明かした。かなりフランクに思えるが、お茶はもともと庶民の文化。かの豊臣秀吉も北野天満宮で催した「北野の大茶会」には身分を問わず多くの人を招いた。
にも関わらず、いまやハードルが高く思える茶の世界。しかし、近年はローラや中田敦彦など、著名人たちがこぞって茶道に足を踏み入れているとのこと。前澤友作、スティーブ・ジョブズ、孫正義などの経営者たちも、「囲い」とも呼ばれる茶室の中で意思決定を行ってきた。「システムや機能に溢れる社会だからこそ、人間味のあるものに触れてみたいということで茶道に入ってくる人が増えている」と岩本は語る。
茶菓子がチョコケーキ?岩本流のお茶会
ラランドのサーヤもお茶に興味を持ち、最近急須を買った一人。相方のニシダも中高6年間、裏千家から派生した大日本茶道学会でお茶を習っていたという。そんな彼らが今回、岩本流のお茶会に参加。果たしてどんなお茶会になるのか。
お茶会といえば、「座布団に正座」というイメージがあるが、岩本は「足を崩してください」とサーヤたちに促す。もともと、茶道に正座をしなければならないというルールはなく、武士などはいつでも刀を抜けるように足は崩して座っていたという。
そして、今度はお菓子が運ばれてくるが、なんとラランドの2人に岩本が持ってきたのはチョコケーキ。「いいの?」と思わず笑ってしまうサーヤだが、客人が求めるなら和菓子でも洋菓子でもOKで、岩本がアメリカでお茶会を開いた時にはパンプキンパイなどを出したという。要は目の前の人をもてなすことが客人の役目なのだ。岩本は「GIVEの心得がお茶には詰まっている」と語る。
作法についても、「裏側にあるメッセージさえ理解すれば全く怖くない」という岩本。例えば、裏千家の場合、お茶を飲む前に「茶碗を右手で45度右側に二回まわす」という作法があるが、それは正面を避けるため。亭主側は職人が丹精込めて作ったお茶碗の“顔”である正面を客人に見えるように手渡すが、それに対する謙遜と尊敬を込めて客人はお茶碗を回し、正面を避けるのだという。
最後にズズッとすすり音を出すのも、今の感覚であれば抵抗があるかもしれないが、昔は照明がない真っ暗な場所でお茶会が開かれていたため、「最後の一滴まで飲み干した」=「ごちそうさま」という意味を込めて音を出すようになったのだ。このように茶道には、相手を思う心が詰まっている。
平均年収90万円……茶葉農家のシビアな現実
こうしたカジュアルなお茶会を通して、岩本が多くの人にお茶の楽しさを伝えているのはなぜなのか。それは、お茶業界が置かれたシビアな現実を変えるためだった。
現在、茶葉農家の平均年収は90万円ほどと言われている。生産量も右肩下がり、お茶の単価も、生産人口も大幅下落する中で岩本は自分で会社を起こし、本格的にお茶業界に参入した。そこには、「大切なものが残されないのはおかしい」という思いがあったという。
会社を作る際には方々に頭を下げ、資金をかき集めた。静岡の山奥に工場を所有している岩本だが、その投資額はなんと1億8000万。しかし、長期で物事を考え、お金を託している人がいるのであれば、損得を考えずに挑戦しようと心に決めた。
資金集めの際に岩本が大事にしていたのは、自分のポジショニングだという。茶文化のブランディングによって、お茶の単価を上げるためには、文化と産業の両方の目線に立つ人間が必要だった。岩本は、そのポジションに自ら就いたのである。
そんな岩本が代表を務める株式会社TeaRoomは創業から5年間、売上高が毎年300%成長を遂げている。これからは文化の価値を高め、お茶の単価をさらに上げていくこと、ひいては、伝統工芸や茶室に関連する産業全体の底上げに取り組んでいくという。
岩本が考えるかっこいい大人とは、“公益性”のある大人。自分のためじゃなく、社会のため、未来のために何ができるか。「常に公益的に物事を見ながら考えていきたい」と岩本は最後に明かした。
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