梅津瑞樹「非日常を求めて舞台やってるのかもしれないです」 クリスマスの夜を駆け抜ける、ライブストリーミング演劇への挑戦
石川県のとある市で開催される市民文化祭の舞台裏を、全編ワンカットで描く新感覚のライブストリーミング演劇『バックステージオンファイア』が12月25日(日)に配信される。
1度限りの舞台のようなドラマは、果たしてどんな作品になるのか。2.5ジゲン!!では、ファンにとっても未知数であろう、本作で主演を務める梅津瑞樹にインタビューを実施。気になる本作の楽しみ方から作品の見どころ、梅津にとっての“トラブルに満ちた非日常”まで、たっぷりと話を聞いた。
――先日は作品の舞台となる石川県を訪れていらっしゃいましたね。弾丸の旅程のようでしたが、石川県は満喫できましたか。
朝に飛行機で発って、夜のラジオまで諸々やることがあったので…。でも、夕飯はおいしいところを用意していただいて、海鮮を満喫できました。ただ、どうやら石川は冬に雨が多いらしくて。あいにくの天気だったので、せめて土砂降りじゃなければもう少し楽しめたのかな、と。
――実際、石川へ行ってみていかがでしたか。
作品の舞台となるホールを実際に見て「ここでやるんだ」という気持ちを、改めて持つことができました。ホールを縦横無尽に回りながらワンカットで撮るという作品なので、実際に撮影する場所の構造を僕がちゃんと把握していないといけなくて。1日かけて「このシーンではこの場所にいて…」といったことを確認できて、いい機会になりました。
――では石川来訪を経て、梅津さんのなかでも作品のイメージが固まりましたか?
そうですね。僕も最初お話をいただいたとき、ワンシチュエーションでもなく、長回しのワンカットでお芝居をするって大変そうだなって思ったのですが、結局は僕らの普段やっていることと同じなんですよね。それをカメラの前でやるっていうだけで。幕が開いたら終わりまで作品が地続きでつながっていく点は同じなので、そう考えたら「そっか」という感じで(笑)。「全編ワンカットで展開する新感覚のライブストリーミング演劇」って聞くと、一瞬ハードそうな気がしますけど、そんなに気負いはないです。
――舞台とは違って目の前にお客さまがいませんが、そのあたりの難しさはあるのでしょうか。
カメラの前でお芝居をするので、本来ならカメラの回りのスタッフさんだったり共演者の方だったりの反応しか分からないんですが、今回は作中にあるギミックがありまして…。
本作は、市民文化祭を描いていて僕はその催しの企画担当「新井拓海」役なんです。催しに向けて僕らでこまつ市のTwitterアカウントを作っているんですけど、当日も劇中で、文化祭を観てくださっている皆さんに「Twitter上でつぶやいてください」とお願いするので、配信作品だけどリアルな反応も見れるという形になっています。なので逆に言うと、観ている方がちゃんとツイートしてくれないと…(強めの圧で)変わってきますよ! と(笑)。先にハッシュタグをお伝えしておくと「#こまぶん」です。当日ツイートをお願いすると思いますので、把握のほどよろしくお願いします(笑)。
――画面のお芝居を楽しみつつ、ツイートもしつつ、ということですね。
もちろん1番はお芝居を楽しんでいただきたいんですが(笑)。ホール内を移動することも多くて、その尺は台本上けっこう任されているんですよね。そういうちょっとした自由な時間が、きっと皆さんもツイートできるタイミングになると思うので、ぜひそこでツイートを! 「私、右脳と左脳を切り分けられるのよ」という方は、画面を凝視しつつブラインドタッチで投稿を盛り上げてもらっても、もちろんいいですし。“市民文化祭という催しを観ている人”として、視聴者の皆さんも作品の一部という意識で楽しんでもらえたらなと思います。
――逆に、初の試みということで不安な点はありますか。
やはりワンカットという点に尽きますね。ですが、先日の読み合わせで、予期せぬトラブルやドタバタが起きても、それを熱量に変えて乗っかっていければいいよねという話もあって。共演者の皆さんも達者な方ばかりなので、懐(ふところ)を借りるつもりで楽しみたいなと思っています。
――今回演じる新井拓海役についてはいかがですか。
僕は普段、自分のことを落ち着きのある人間だと自負しているのですが、こういうバタバタしそうな人の役をいただくんですよね。おもしろいなあ…と。
――彼のようなスーツを着た仕事を考えた瞬間はこれまでありましたか?
(即答で)ないです! だからすごいな、と。父も会社勤めの人で、中高の頃はときどき同じ電車に乗って出勤・通学をしていたんですが、ラッシュ時の混雑が都内トップレベルの線だったらしく、もう「立つ」と表現できないような。(実演しながら)こんな姿勢で乗ることもあって。そんな電車に揺られて、そこからさらに仕事もしていたわけで。僕はそんな父の背中を見送りながら、すごいなと思うと同時に、自分にはできないとはなから諦めていましたね(笑)。
――今回は裏方にスポットが当たる作品ですが、所属劇団で裏方の仕事をやる機会は?
ありましたよ。すごく忘れられないのが『滝口炎上』ですね。演出助手で同じ劇団の元吉庸泰さんが参加していて、人が足りなくなったとかで稽古最終日2日前くらいに呼ばれまして。劇中動く障子のパネルをひたすら開け閉めするのをやっていました(笑)。役者としても場面転換でセットを動かすことってけっこう多いんですけど、そこでモタついてしまうと、作品全体のテンポを悪くしてしまうことにつながってしまうので、みんなで1つの作品を作るという意味では(裏方も)経験しておいてよかったと思いますね。
――役者を経験してから、脚本や演出をやる方も多いですよね。
演出はことさらやりたいという思いはないですが、脚本はやりたいですね。1人の書く人間として思うのは、書いているときにやっぱり「こうなるといいな」「こうしてほしいな」っていう理想像が思い浮かぶんですよ。それを体現できるのって、やっぱり自分じゃないですか。そうなると、やっぱり自分で書いて自分で演じたいなと。だから、脚本を手掛ける機会があれば、まずは自分がやるものになるのかなと思います。
――文章への造詣が深い梅津さんですが、脚本に向き合う際に心がけていることはあるのでしょうか。
俯瞰(ふかん)で見るということはしているかもしれないですね。「この役ならどう考えてどう動く」をまず考えるのではなくて、作品全体を通して「その役の言動が物語に対してどういう機能を果たしているのか」を俯瞰で見ることで、セリフの言い回しも見えてくるというか。「一見するとこの流れでこのセリフだから、こういうふうに言いたくなるけど、こういう言い方をしたほうが、物語全体を見たときに後から効いてくるな」とか、そういう読み解き方をしていますね。
――その視点でご覧になった、本作の脚本の印象はいかがでしたか。
すごくわかりやすくて、読む前に想像していた作品像と、読み終えたときの感覚が似ていましたね。企画をいただいて真っ先に、三谷幸喜さんの『大空港2013』が思い浮かんで、実際に本作の脚本を読んでみたら似たようなエッセンスを感じて。アクの強い人たちがたくさん出てきて、いろんなことをやってしまう。しかもクリスマスの日に(笑)。僕はその感じがすごく好きでした。
――作中ではいろいろなトラブルが起きるとのことですが、梅津さん自身、最近なにかトラブルはありましたか?
トラブルを心待ちにしている自分もちょっといて。人生って思わぬ展開が起きてほしいじゃないですか。
最近起きたハッピーなトラブルだと…。この前、地方公演で愛媛に行っていて空き時間ができたんです。僕、自転車が趣味で、瀬戸内海の橋にあるサイクリングロードってサイクリストの聖地とも言われていて有名なので、電車とバスとを乗り継いで伯方島というところに行ったんですね。調べたら見晴らしのいい国立公園があるとも書いてあって。だけど実際は、点在する島々を含めての一帯が国立公園で、入口があるわけでもないし分かりやすい絶景スポットの看板があるわけでもなく。それに気が付かなくて、延々と山をさまよっていましたね。すごく綺麗な景色を見られたからいいんですけど、気づいたら日も暮れてきちゃって(笑)。普段から僕、暗いところ好きなので懐中電灯を持ち歩いていて事なきを得たんですけど、けっこうドキドキしました。
こういうワクワクするトラブルに自ら行くんですが、この手の話をすると本気で心配されてしまうこともあって…。ちゃんと危険のない範囲で余裕を持って生きているので安心してください(笑)!
――非日常なできごとも楽しめるタイプなんですね。
そうですね。だからやっぱり舞台とかやっているのかもしれないですね。激しくツバを飛ばして罵り合ったり、喜んだり。日常だとなかなかないことも舞台上だと許されるので、好きなんでしょうね。
――本作はクリスマスの配信となりますね。クリスマスで印象的なできごとといえば?
クリスマスイベントのバイトをしていたことですかね。「(裏声で)こっちでーす!」って、とにかく大声を出せって言われるんですよ。1人ずつ徐々に声が枯れていって、街を行き交う人々がクリスマスを満喫する夜の時間帯には、全員が掠れ声になっていたっていう惨憺(さんたん)たる思い出はありますね。
ほかはあまり…ないですね(笑)。大人になればなるほど、クリスマスだからといって何かあるわけじゃないですし。クリスマスイベントとか…やったほうがいいんですかね? でもなあ…「大丈夫です」という感じです(笑)。
――今年は本作が素敵なクリスマスプレゼントになりそうですね。最後に、作品を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
クリスマスという、どうやら貴重な日の時間を割いていただくということで…。街を歩いてクリスマスの空気を楽しむということもできたのかもしれないのに、こうして同じ作品、なんだったらさっき言ったように“あなたも作品の一部”なので、同じ作品を作ることを選んでくださったこと、ありがとうございます。時間を割いていただいたぶん、必ず記憶に残る、よい年末になるよう努力しますので、どうぞお楽しみに。
***
多忙なスケジュールのなかでのインタビューとなったが、心から楽しそうに“トラブル”を語っている姿が印象的だった。インタビューも本番のビジュアルで行われ、スタジオのソファも相まって雰囲気はまるでやり手の敏腕社長のよう。そう伝えると、すかさず「弊社を志望した理由は?」と返し、場は和やかな雰囲気に。日頃の“梅津節”とも言うべき独特なトーンを思い浮かべながら、本記事も楽しんでもらえたらと思う。配信当日を楽しみにしているファンは、ぜひ本インタビューを読んで、当日までに楽しむ心の準備をしておこう。
取材・文:双海しお/撮影:MANAMI
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