

『石子と羽男』TVerで“解説放送版”を配信した理由とは?番組P「テレビは皆が楽しめるエンタメであるべき」

今夜最終回が放送される「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)。このドラマのひとつの特徴は、TVer、Paraviなどの配信サービスに、通常版だけでなく「解説放送版」も存在していることだ。「解説放送版」とは主に視覚障害のある方に向け、通常のドラマ内の音声のみでは伝えきれない情報、例えば場面設定や出演者のアクションなどをナレーションで補完したバージョンだ。解説放送版が制作されている番組であれば、地上波ではテレビの機能をオンにすることで視聴できるが、全ての番組で制作されているわけではなく、また配信で視聴できる番組は少ない。「石子と羽男」プロデューサー・新井順子氏に、解説放送版を制作した経緯や得た気づきについて聞いた。
解説放送版制作のきっかけは、取材での出会い
東大卒パラリーガル・“石子”こと石田硝子(有村架純)と、1回で司法試験に合格した高卒弁護士・“羽男“こと羽根岡佳男(中村倫也)のコンビが、様々な法律トラブルに挑む本作。「どんな人でも法律を頼ることができる」というメッセージがこめられた本作だからこそ、どんな人でも作品にリーチできるように解説放送版を用意した…という経緯なのだろうか、と勝手に想像していたが、実際のきっかけは取材を通じたある出会いだったという。
「視覚障害を持つキャラクターが登場する第4話で、日視連(日本視覚障害者団体連合)の方に取材したときに『解説放送版を作ってくれたらうれしい』と言われたんです。(盲学生を主人公とした)『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(2021年、日本テレビ系)は全話解説放送がついていたらしくて。今、字幕放送は当たり前のようにやっているけど、解説放送は当たり前じゃない。テレビは皆が楽しめるエンタメであるべきなのに、視覚障害者の方に向けた放送ができていなかったんだと思って、そこから急いで局に相談しました。第4話だけでもつけられないかと話したら、幸い『石子と羽男』は撮影が早く進んでいたので、全話やろうということになりました」
こうして「石子と羽男」は解説放送版が作られ、配信もされることになった。だが、新井Pの気づきの通り、解説放送は字幕放送より対応している番組数がまだ少ない。テレビ局が全ての番組に解説放送をつけることが難しい理由のひとつには、制作スケジュールの問題があるという。
「タイトなスケジュールで撮影をしていると、解説放送版を作る時間がないんです。解説放送の制作チームには、編集が上がった映像と台本を渡してナレーションを吹き込んでもらうので。もちろん、放送翌日に追っかけで解説放送版を配信するという形ならできますが」
「ラジオドラマみたい」新たな楽しみ方もできる解説放送版
解説放送を楽しんでいるのは視覚障害のある方だけとも限らない。SNSで感想を検索してみると、「副音声かと思った」という誤解も見かけたが、「ラジオドラマみたいで面白い」「家事しながらでも聞ける」「普通の放送を見ているだけでは気づかない発見がある」などと好評のコメントが見られる。新井Pもこういった反響は把握しているという。
「視覚障害がない方でも、TVerで解説放送版を見ているという声を頂きます。わかりやすいからか、幅広い人に見ていただいているようです。知り合いの話では、お子さんが解説放送版を楽しんで見ていて、間違えて通常版を再生すると『(ナレーションの)お姉さんが喋ってないよ!』って言われるらしくて。今回配信もしたことで、『解説放送』というものの認知度向上にはつながったんじゃないかと思います」
解説放送版については特に新井Pからの指示はなく、専門チームがナレーションを吹き込んでいる。番組の作り手としては、出来上がった解説放送版を見てどんなことを感じているのだろうか。
「コミカルなシーンでも『羽男、玉こんにゃくを何度やっても箸で取れない 』と冷静に説明されるのが面白いなと思っています。あと先日(塚原あゆ子) 監督と、芝居が盛り上がるシーンで解説放送が淡々としていると気持ちが冷めちゃうんじゃないか、解説放送版は冷静なナレーションの方がいいのか、それともナレーションにも感情を込めたほうがいいのかを利用者の方に聞いてみたいね、という話をしました。
ただ『石子と羽男』はコメディタッチなのでよかったですが、サスペンスで隠しながら意味ありげにチラ見せするシーンなんかは解説をどうすればいいんだろうと思いますね。『最愛』はもしかするとやりづらかったかも。あと、ファンタジーも言葉で説明するのが難しそうだなと思います。『石子と羽男』だと展開が早いので、十分に説明しきれずに次のシーンにいってしまうということもありますね」
難しい点もあるが、新井Pは今後も自身の担当作ではなるべく解説放送版を作っていきたいという。
「先程お話したように、別に今回『こういう番組だから解説放送をつけよう』と思ったわけではないんです。『取材対象の方に番組を見てほしい』というのがきっかけでした。予算やスケジュールの事情次第ではありますが、私が担当する作品には今後もなるべくつけていきたいと思っています」
ちなみに、既に地上波用に解説放送版が作られていれば、VODサービス上で2パターン配信すること自体はさほど難しくない様子だ。今後配信サービスにも解説放送版が増え、より多くの人が配信でも様々なコンテンツを楽しめるようになることを祈りたい。
最終回はエンドテロップが流れ終わった後にも要注目
「最愛」「MIU404」「アンナチュラル」など、ヒットドラマを生み出し続けている新井P。作風はシリアスなサスペンスからコメディまで様々だが、その中で作り手として常に意識していることを尋ねてみた。
「『自分の好きなこと、面白いと思うことをやる』です。編集で初めて見たときに、いかに自分がワクワクできるか。私は感覚派なので、台本を読んで何となくシーンが通ってない気がするとか、気持ちが伝わってないと感じたときは、脚本家さんと話し合います。『そもそも私たちは何を作ってるんだっけ』ということを見失いがちになるので、もう一度皆で話し合って共有していく。作品としては毎回同じことをやろうとは思っていないですし、新しい面白いジャンルをどんどんやっていきたいけど、共通するのはそこですね」
そんな新井Pが、これから新たに挑戦してみたいのはどんな作品なのだろうか。
「SFをやりたいです。舞台は日本だけど『もし日本が〇〇だったら』という非日常な要素があるもので、CGをふんだんに使って。SFだと発想が自由なので、『それはリアリティがなさすぎでしょ』って言われないから楽しそうだなと思います(笑)」
まもなく9月16日(金)で最終回を迎える「石子と羽男」。最後に見どころを聞いた。
「“マチベン”パワーが発揮されるラストになっていると思います。なるほど!となるか、 なんじゃこりゃ!となるか。この10話やってきた総まとめとして、ラストのひっくり返しを楽しんでもらえたら。石子はこの先どうするのか、羽男とお父さんの関係がどうなるのか、などまだ積み残しているところもありますし、ラストシーンがすごく良いんですよ。エンドテロップが流れ終わった後に本当のラストがありますので、最後まで楽しんでもらえたらと思います!」
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