劇団四季ミュージカル「バケモノの子」出演の伊藤潤一郎と大鹿礼生(右から)

ミュージカル「バケモノの子」出演の伊藤潤一郎と大鹿礼生がラストシーンの裏側を明かす【連載:劇団四季ミュージカル 劇場から渋天街へ続く道#6】

2022.07.26 13:00
劇団四季ミュージカル「バケモノの子」出演の伊藤潤一郎と大鹿礼生(右から)

4月30日からJR東日本四季劇場[秋]で開幕した劇団四季ミュージカル「バケモノの子」。同作は2015年公開の細田守監督による同名アニメーション映画を原作にした新作オリジナルミュージカル。この世界に存在する人間界ともう一つの世界・“バケモノ界”の渋天街。そこに迷い込んでしまった蓮とバケモノである熊徹を中心に、色鮮やかなキャラクターたちの姿を描いていく。劇団四季はこの作品で国産ミュージカルとして最大級の長期上演に挑む。

WEBザテレビジョンでは「劇団四季ミュージカル 劇場から渋天街へ続く道」と題し、全7回に渡って俳優やスタッフのインタビュー、稽古場の様子などをお届け。ミュージカル「バケモノの子」がどのように生まれ、劇場で観客をバケモノの世界へどう誘っていくのか…作品の魅力を余すことなく紹介していく。

第6回の今回は、熊徹役の伊藤潤一郎と蓮/九太役の大鹿礼生の対談を。ミュージカル「バケモノの子」の初日が開けてからの感想や稽古中のエピソードなどを聞いた。

伊藤「途中から礼生も同じことを考えているんだろうなということがなんとなくわかったんです

――約3カ月半にわたる稽古を経て、いよいよ舞台が開幕しました。オリジナルミュージカルの創作はいかがでしたか?

伊藤:今日、ぜひお話ししたいことがあって、まずそこから語らせていただいてもいいですか(笑)。熊徹と九太が剣を担いでポーズを決めるラストシーンは僕たちが作ったんですよ! 僕は、最後の場面はポスターにもあるあのポーズで終わりたいと思っていたのですが、そのシーンの稽古中、曲の途中から礼生も同じことを考えているんだろうなということがなんとなくわかったんです。そしたら、実際に、礼生もあのポーズをしてきた! 示し合わせたわけでもないのに、すごくないですか(笑)。演出の青木(豪)さんも、いいですね、これで行きましょうって言ってくれて。

――大鹿さんも、やはり同じように考えていたのでしょうか?

大鹿:はい。その前に一度ラストシーンの稽古をしているのですが、少しあっさりしすぎている印象があり、「じゃあポスターのあのポーズをしてみよう、熊徹からいろいろなことを教えてもらい、成長した蓮を象徴しているポーズでもあるし」と考えたんです。そしたら、潤さんも同じことを考えていて。その瞬間はすごくうれしかったですね。

伊藤:自発的なイマジネーションの中で、新しいモノを作り出していくって、こんなに楽しいものなんだなと思いました。

――ところで、伊藤さん、稽古場見学会の時も、今日と同じ赤い羽織りを着ていましたよね。やはり熊徹という役柄を意識して、なのでしょうか?

伊藤:はい、自分で用意しました。稽古中からずっと身に付けている、僕の相棒です。ただ赤って男性物があまりなくて、女性物を購入し、昔、着物の仕立てをやっていた祖母に直してもらいました。それを着て、ずっと熊徹という役に取り組んできた、というのも、意味があるのかなと思っています。

大鹿「潤さんはすごく気さくに接してくださるのでとても心強いです」

――なるほど。では公演がスタートした今、改めて、それぞれの役柄をどうとらえ、どんな点を大切に演じたいと思っていますか。

伊藤:熊徹を演じるのは楽しくて仕方ないです。ただこの芝居の主役はあくまでも九太だと思っています。その九太のいちばん近くにいて、いちばんいいパスを与えられるのが熊徹です。九太に影響を与えられる役ができること、そして、九太がちゃんと僕の芝居を拾って応えてくれるのもうれしいんですよね。礼生もとてもいい芝居をするので。

大鹿:蓮を演じるにあたり、改めて映画を観てみたら、僕とリンクするところがあるな、と。僕も蓮と同じように、あまりしゃべるタイプではないし、思いを胸の内に秘めがちです。だから、あまりキャラクターを作らずに、芝居をしていこうと考えました。稽古中、一度、青木さんに、この方向性でいいのか質問したら、青木さんも「礼生はあまり深く考えず、そのままやればいい」とおっしゃっていて。なので、蓮はこういうキャラクターだからこうするといったことはあえてあまり考えず、毎回、新鮮に演じようと思っています。

伊藤:僕ら、「ここはこうしよう」「ここはこういうシーンだよね」とか、相談しあったことってほとんどないよね。

大鹿:ないですね。

伊藤:僕たちがキャラクターを背負った時点で、もう熊徹と蓮なのかも、って言うと、ちょっとかっこつけすぎかな(笑)。あと、礼生はイレギュラーなことがあっても動じません。そういうところにいつも助けられているので、お礼を言うと、「いや、俺も助けてもらってます」と言われてますます、お、かわいいヤツだなと(笑)。

大鹿:今回のようにしっかりご一緒するのは初めてですが、潤さんは、壁を作ることなく、すごく気さくに接してくださるのでとても心強いです。僕、稽古の中盤で、蓮という役柄は、熊徹をはじめ、いろいろな人に支えられる役だなと再認識したんです。相手役がぶつけてくれるものをすべて受け入れた上で、自分で動き、(相手役に)返していくことが大事だということを意識しながら日々演じています。

伊藤:今回、一緒に舞台に立っているメンバーは、みんな、自分がどう作品にかかわったら、どんな影響を及ぼすかをしっかりと理解している人ばかり。僕は(猪王山役の)芝(清道)さんには以前からずっとお世話になっていて、今回もたくさん頼らせていただきました。

大鹿:すべてを頼り切っていい、そんな心強さがあります。百秋坊役の味方(隆司)さんには、芝居やせりふを細かく見ていただいています。芝居で迷った時にも相談に乗ってもらったり、僕にとっての先生のような人です。他にも、一緒に稽古をする機会が多かった方で言うと、多々良役のソンチさん(韓盛治)は、僕が子役として「ライオンキング」に出演していた時も共演させていただいた大先輩。蓮という役を通して、成長が伝えられればうれしいです。一郎彦役の(笠松)哲朗さんは、ヤング シンバ役の先輩でもあり、なんでもできる尊敬すべき人。その人と対峙できるのは本当に光栄です。

伊藤:一緒に作品を作ってきた仲間たちを心から誇りに思うし、コロナ禍という窮屈な状況のなかで、3カ月半、一緒に稽古してきたこともあって、家族のようにも感じていて。そういった関係性も舞台に出ているんじゃないかな。

取材・文=長谷川あや

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