

料理対決番組不況の今『CHEF-1グランプリ』企画の理由 『M-1』と同じ「ガチさ」が真髄

賞金1000万円をかけた料理人のガチンコ対決番組「ザ・プレミアム・モルツ presents CHEF-1グランプリ2022」(ABCテレビ・テレビ朝日系列)が7月24日(日)夜7時より放送される。かつては「料理の鉄人」「どっちの料理ショー」「愛のエプロン」「SMAP×SMAP」内のコーナー「BISTRO SMAP」など、料理対決番組全盛の時代があったが、「料理の鉄人」の後継番組「アイアンシェフ」は半年で放送終了。現在、料理対決番組は“冬の時代”真っ只中だとも言えよう。そんな中、なぜABCテレビは「CHEF-1グランプリ」を制作したのか。近藤真広プロデューサーに尋ねたところ、同局制作の「M-1グランプリ」や「熱闘甲子園」のノウハウを生かした「ガチさ」にかける狙いが見えてきた。
コロナ禍で大打撃を受けた全国の料理界を応援したい
――まず企画意図は?
「コロナ禍で日本の飲食業界は非常に大打撃を受けました。そこで我々も“食”を応援したいと考え、吉本興業さんと話し合い、昨年40歳未満の若手料理人No.1を決める『DRAGON CHEF2021』を制作しました。そして2年目となる今年、さらなるスケールアップを考え、“ABCテレビと吉本興業さんと言えば『M-1グランプリ』だよね”というところで、タイトルを『CHEF-1』と進化させたという経緯です」
――昨年とはどんなところが違うのでしょう。
「『M-1』はおかげさまで国民的番組となり、芸人さんが人生をかけて漫才をし、一夜にしてその人生が変わるといった現象も起こるようになりました。その要素と、ABCテレビが持つ『熱闘甲子園』のノウハウも取り入れたいと考えたのです。今回は各地各エリアで予選があり、そのサバイバルラウンドを勝ち上がったシェフが決勝戦に臨みます。まさに夏の高校野球や甲子園ですね。あの熱戦、正真正銘の本気の勝負。一晩にして優勝者がスターになる。その為に、料理人が真剣勝負をせざるを得ない、そんな状況を作りたいと考えました」
――「M-1」と「熱闘甲子園」なんですね。
「『M-1』も放送開始から20年経ち、ここまで続けられた根底は何かと問われたら“ガチ”なんです。『CHEF-1』の審査員には、15年連続三つ星の日本料理の神田裕行さん、モダンフレンチレストラン『ジョエル・ロブション』の総料理長・関谷健一朗さんら、料理人なら誰もが憧れる方々を揃えました。これは『M-1』の審査員に松本人志さんがいらっしゃるのと同様です。普段、地方で料理人をやっている方たちが、三つ星の料理人たちに自分が作った料理を食べてもらい、評価してもらう。そんな機会、この番組以外ではありません。それによって料理人たちの心に熱い火を灯そうとしたわけです」
「CHEF-1」で優勝するために、仕事を辞めて挑む料理人も
――「熱闘甲子園」の部分は?
「『M-1』でも、ネタ前にそのお笑いコンビが何を背負っているのか、ちょっとしたVTRを入れていましたが、そうした裏の部分を徹底的にフィーチャーしました。予選で負けていく高校生たちの涙、勝つ高校生がどんな想いでここに立っているのか。想いと想いのぶつかり合いを『熱闘甲子園』では放送してきたのですが、勝負は非情で、名門校が勝つこともあれば、初出場の高校が勝つこともある。そういったドラマを背景から魅せる手法ですね」
――ドキュメンタリー的な作りということでしょうか。
「はい。我々はただの料理対決じゃない、ドキュメンタリー番組を作っているような気持ちで臨んでいます。我々が提供できるのは“場”だけ。そこで起こることは我々にも手が出せない。もしかしたら料理を失敗するかもしれないし、最高のパフォーマンスが見られるかもしれない。それはスポーツやボクシングなどの格闘技にも似ていると思います」
――予選をご覧になって、料理人の真剣具合は?
「本当に人生をかけてやってくれています。中には仕事を辞めて挑んでくださる方も」
――仕事を辞めてまで!?
「優勝するためには仕事をしてる場合じゃないと。ほか、コロナ禍で借金を背負ってしまい、これで優勝しなければ料理人を辞めますとおっしゃる方もいる」
――まさに人生がかかった戦いですね。
「そうです。その結果、思わぬ事態が起こったりするのです。料理の“理”というのは“理屈”の“理”。味付けというのもいわば化学反応であり、料理=理屈の産物という考え方もできる。ですが真剣勝負になると、その“理”を超える瞬間が訪れることがある。その“理”を超えた時の彼らは本当に輝きます。真剣勝負では稀に奇跡が起こるのです」
――その姿は視聴者にも美しく、かっこよく映るでしょう。
「我々はこの番組を通して“料理人ってかっこいい”という“憧れ”を持っていただければと思っています。“憧れ”が、料理人人口を増やし、それによってまた素晴らしい料理人が輩出される。そこから、料理界を盛り上げたいんです」
料理対決番組、冬の時代。だが実は「M-1」もそうだった
――とは言え、今は料理対決番組は冬の時代。勝算はあるのでしょうか。
「実は『M-1』がスタートした時期も“ネタ番組は数字が取れない”と言われていたんですよ。ですがご存知の通り、皆さまのおかげでここまで大きくなれました。それがなぜかといえば、やっぱり根底が「ガチ」の真剣勝負だから。『CHEF-1』をどう受け止めていただけるか分かりませんが、我々は『M-1』起ち上げ当時と同様の挑戦をしようとしています」
――なるほど。では番組の立ち位置について伺いますが、グルメ番組はまずは料理研究家などの専門家がレシピを伝える教養系から始まり、『料理の鉄人』で、料理の“理”の部分をクローズアップしたアカデミックな魅せ方が作られました。その後、『帰れま10』など、ファミリーレストランのような“身近さ”が流行り、現在は寺門ジモンさんのような“専門性”、または自宅で気軽に作れる料理レシピ番組がウケるという流れがあるかと思います。『CHEF-1』はどんな潮流を作っていきたいのでしょうか?
「まずは先述した通り、選手の裏側部分をドキュメンタリーとして、料理人が主人公のドラマを味わっていただくこと。あと、実は同番組の総合演出が『料理の鉄人』を作った田中経一さんなんです。さらに言えば、今回の審査員の方々は40代前半の方が多く、『料理の鉄人』を見て料理人に憧れ、ここまで上り詰めた世代の方々。解説も、咀嚼回数の重要性、エゾシカは何歳の雌が一番いい、料理の温度帯の話などなど、料理の“理”の部分をアカデミックに語られています。『CHEF-1』はアカデミックの回帰、そして料理人の背景の“生”の部分もどう魅せられるかというハイブリッド的な番組にしたいと思っています。20年前の『料理の鉄人』のように、『CHEF-1』を見て、料理人を目指す若い人が増えるとうれしいですね。」
――地方の料理人がこの番組で有名になる。「M-1」決勝進出者がブレイクするように、新たな料理界のスターが生まれたり、そうするとその地方へ食べに行く方々も出てきそうですよね。これは料理界の話だけでなく、地域振興にもつながりそうです。
「それも目指しています。日本全国の料理人を、料理業界を盛り上げたいですし、ここから料理人のスターが新たに出現したら、こんなにうれしいことはありません」
――最後に、「CHEF-1」の一番の見どころは何でしょうか。
「名店で修業をしても、その名店の味にしかならない。そこを超えるパワーと勇気とセンスがなければ『CHEF-1』では勝てません。そんな彼らが起こす奇跡、輝きを是非、リアルタイムで見てみてください!」
■取材・文/衣輪晋一(メディア研究家)
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