

「藤井風テレビ」に見る、藤井風のエンターテイメント哲学 音楽とお笑いの幸福な関係

4月23日、30日に放送された「藤井 風テレビ with シソンヌ・ヒコロヒー」(テレビ朝日系)を、音楽ライター・レジーがレビュー。コントへの挑戦からみる藤井風のエンターテインメント哲学について、また「コントのある音楽番組」である当番組をはじめとした、音楽とお笑いの幸福な関係について語る。
藤井風とエンターテインメント精神
4月23日、30日に「藤井風初の冠番組」として2週連続で放送された「藤井 風テレビ with シソンヌ・ヒコロヒー」(以下「藤井風テレビ」)。事前のCMでは、彼の知名度を一気に高めた昨年の紅白歌合戦と同じ、「きらり」のキーボード弾き語りが流れていたが、初回となる23日の放送はその弾き語りが長谷川忍(シソンヌ)によるツッコミで中断させられる場面からスタートした。
シソンヌとヒコロヒーという実力派お笑い芸人を迎えての「藤井風テレビ」のメイン企画は、本格的なコント。藤井は時にピアニストとして、時に刑務所帰りの彼女を待つ青年として、様々な役柄を着実にこなした。
それぞれの役回りで共通していたのは、何とも言えない空気の読めなさ加減。真顔でどこかずれた言動を繰り出すキャラクターの造形は、普段から飄々とした雰囲気を崩さない藤井の佇まいから着想を得たものなのだろうか。
特にインパクトがあったのは、30日のコント「大工の棟梁」。モノボケをひたすら続けるこのコントは、「藤井くんが一番しんどい、芸人でもやるのが嫌な…」と長谷川が言うような非常に難易度の高いものだった。そんな状況において、芸人たちのボケをノリツッコミで受ける藤井のとぼけた雰囲気は、『ダウンタウンのごっつええ感じ』のコント「MR. BATER」の松本人志からインスパイアされたかのようだった。番組冒頭では「実はお笑いが大好き」という紹介が入っていたが、この番組ではその説明も十分にうなずけるコントでの立ち振る舞いを随所で楽しむことができる。
才気あふれるミュージシャンとして注目され始めた藤井が、このタイミングでなぜコントにチャレンジしたのか。そこには彼のルーツも関係しているのではないかと思う。
引用----
「中2くらいからクラスの中でもすっごい変なキャラになっていて。とにかく変なお笑いのネタみたいなのを友達と作って、それを手当たり次第いろんな人に披露するというか、いろんな人の前でやって困らせるみたいなことをやるようになったんですよ」
「音楽的なことを追求するのとはまた別のところにあるエンターテインメントの要素というか。そういうものを発散させてたところはあったのかもしれないですね」
(『MUSICA』2022年5月号掲載のインタビュー記事における藤井の発言)
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音楽には人を楽しませる力があり、その力は人を笑わせることとも結びついている。そんなことを藤井は少年時代から直感的に理解していた。そういった観点から考えれば、今回の「藤井風テレビ」は彼のエンターテインメントに対する哲学の表現とも言うことができるのではないだろうか。
音楽番組としての「藤井風テレビ」
もっとも、「藤井風テレビ」はコントが主体でありながらもピュアなお笑い番組ではなく、周到に計画された「コントのある音楽番組」だった。
たとえば、コント「プロポーズ」や「ピアノバー」では、コントを引き立てるピアノ演奏を通じてアーティスト・藤井風を存分に味わえる作りになっていた。また、お見送り芸人しんいち「僕の好きなもの」を換骨奪胎したコント「名曲カバー」は、藤井の強みの一つでもある即興性の高いパフォーマンス力があるからこそ成立するものだった。
コントに音楽的な側面を忍ばせたうえで、最後には「まつり」と「青春病」をバンドとともにじっくり聴かせる。そんな番組の構成は、藤井に備わっている「自由に音楽を楽しむ姿勢」をプレゼンテーションするうえで最適なものだったように思う。
ちなみに、「コントのある音楽番組」としての色合いは、番組を作るにあたっての座組にも表れている。この番組のディレクター、プロデューサーにはテレビ朝日の看板音楽番組である「ミュージックステーション」「関ジャム∞完全燃Show」のスタッフが並んでおり、「藤井風テレビ」もそれらの流れの1つとして捉えられていることが伺える。この先、同局においてどんな展開が待っているのか楽しみにしたい。
音楽とお笑いの幸福な関係
日本の芸能史において、音楽とお笑いとの関係は不可分なものであると言っても過言ではない。
今のシーンのトップランナーである星野源が喜劇役者としての側面を持っているのは周知の事実であり、また彼が頭角を表し始めた2010年代後半には「PPAP」(ピコ太郎)や「PERFECT HUMAN」(RADIO FISH)などお笑い芸人によるヒット曲も多数生まれた。
さらに時代を遡れば、1990年代における産業としてのJ-POPの急拡大には、「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」「うたばん」でそれぞれMCを務めたダウンタウンと石橋貴明によるアーティストのキャラ付けが大いに影響している。
また、「うたばん」のもう1人のMCである中居正広の所属していたSMAPがバラエティ番組に勝機を見出してブレイクしていく際に、グループの関係者が「SMAPを平成のドリフターズにしたい」という思いを持っていた…というエピソードがある。そのドリフターズがかつて出演していた「8時だョ!全員集合」における志村けんのネタを引用して当時の音楽シーンで異彩を放つことになったのが、サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」である。
お笑いと音楽が高次元で融合した今回の「藤井風テレビ」は、前述したような日本のポップミュージックの歴史に藤井風という才能あるミュージシャンを改めて位置づけ直す番組になったのではないだろうか。
コントを見て笑って、ライブパフォーマンスにうっとりした後に、最終的には「ミュージシャンとしてすごいだけじゃなくてお笑いのセンスまであるのか…」という感嘆とも嫉妬とも言えそうな感情が湧き上がってくる「藤井風テレビ」。新しいスターの誕生の瞬間を目撃できる、とても貴重な企画だった。
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