アンジェラ佐藤

大食い女王アンジェラ佐藤が語る恋愛トラウマ「“大食い”と“モテ”は共存できない」

2022.04.09 06:03
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『元祖!大食い王決定戦』(テレビ東京)で2009年に初の優勝を果たし、フードファイターとして活躍しているアンジェラ佐藤。同番組の司会の中村ゆうじから歌手のアンジェラ・アキに風貌が似ていることから、アンジェラ佐藤と命名され、北海道の大食い女王として数々の戦いに挑んできた。なぜ33歳という遅咲きで『元祖!大食い王決定戦』に出演したのか、また過去の過酷な戦いについてたっぷりと話しを聞いた。そして、彼女の人生を大きく変えた“大食い”と“恋愛”の関係とは!?(前中後編の中編)

──印象的なエスニックファッションや髪をまとめるヒッピーバンド、そして「アンジェラ佐藤」というインパクト絶大なネーミング。これらは、どのように作られていったんでしょうか?

アンジェラ 実は最初に出たときは、エスニックな格好もしていなかったです。名前に関しては非難をめちゃくちゃ浴びましたね。自分がやっていたmixiでも、アンジェラ・アキさんのファンから「ふざけんな、ブス!」とか「お前がアンジェラを名乗っていいわけないだろ」とか糞味噌に言われまして(苦笑)。もう怖くなっちゃいましたからね。自分で名乗ったわけでもないのに。

──番組サイドがつけた?

アンジェラ そうですね。正確に言うと、中村ゆうじさんです。番組の会議では「北海道出身だから『アルペン佐藤』でいこう」という話になっていたらしいのですが、中村さんがスタッフの反対を押し切って「アンジェラ佐藤』」に決めたんです。アルペンじゃインパクトが弱いと考えたんじゃないですかね。今では名付けてくれた中村さんにすごく感謝していますが。

──当時の女子大食い界はギャル曽根さんを筆頭に、ロシアン佐藤さん、アンジェラ佐藤さん、三宅智子さんなどアイドル化が進んでいましたよね。「すごく食べるのに可愛い!」と騒がれて。

アンジェラ 少なくても私に関して言うと、テレ東のカメラマンさんの腕があったからこそですよ。自分もYouTube配信とかやるようになってよくわかりました。私は芸能界のこととか何も知らなかったし、まさか『元祖!大食い王決定戦』がタレント輩出番組みたいになるなんて想像もしていないわけですよ。それよりもテレビに出て大食いということが知れ渡ったせいで、一気にモテなくなりましたね。

──そうなんですか!? 意外すぎます。

アンジェラ 過去に、元カレに「たくさん食べる女は恥ずかしい」と言われて腹いせのように大食い大会に出演した経緯もそうなんですけど、「大食い」と「モテ」って悲しいかな共存できない関係なんです。なんでかと言うと、まず単純に食費がかかる。食事に誘われても、すぐバイキングとか食べ放題に行きたがるから、なかなかロマンチックなムードにはなりづらいですしね(笑)。「じゃあ逆に大食い同士の男女でつき合えばいいんじゃない?」という考えが出るかもですけど、これも上手くいかないらしいんですよ。「俺のほうが食う!」「いや、私のほうが……」って揉めるらしくて。

──いっぱい食べる人って、見ていてスカッとしますけどね。否応なしに好感度が上がるというか。

アンジェラ いや~、まだまだ世間の偏見は根深いです。昔、「ごはんでも食べませんか?」ってナンパされたことがあるんですよ。「私は大食いだから食べ放題のお店がいいと思いますよ」って伝えたら、向こうは「いやいや、そんなダサい真似はできない」って言うんですね。それで普通の居酒屋さんに入ったんですけど、「じゃあ遠慮なく」と好きなだけ食べ始めたら相手の顔色がみるみる悪くなりまして(笑)。それで私がトイレから戻ってきたら、相手は消えて3千円がテーブルの上に置かれていた。

──3千円では足りないのでは?

アンジェラ 全然足りないですよ! もう本当にトラウマになりましたから。「やっぱり男の人は信用できないな」って。もう結婚は諦めました! 姉が子供を産んでくれたので、親としても孫ができて満足だと思うんですよ(笑)。

──番組の中でアンジェラさんは3回優勝、2回グランドスラムという輝かしい成績を残しています。

アンジェラ 最初に優勝したときは、正直、1位を狙っていたわけではないんです。ただ当時、出演者の間で妙なガセネタが広まっていまして。それは「次の収録で番組は終了するらしい」というものだったんですけど、私はこれを完全に信じちゃったんです。「次が最後なら、もう私の持てる120%を出し切るしかない!」って闘争心に火がついた。決勝は本当に苦しかったですけど、なんとか優勝することができました。

──決勝はラーメン対決でしたよね。

アンジェラ 私、ラーメンは大好きなんですけど、大食いの対象としては苦手なんです。熱い麺を一気に飲み込むと、なぜかしゃっくりが出てきてしまうので。でもそんなくだらない理由で負けたくはないから、耳をふさいだり、呼吸を整えて精神統一したり、死に物狂いでしゃっくりを止めまして。その時点で巻かれていたんですけど、玉砕覚悟で一気にガーっと食べました。そのとき頭に浮かんだのは、優勝賞金が100万円で2位が20万円だということ。80万円の差は大きいから、もう必死でしたね。

──2014年『国別対抗!大食い世界一決定戦』における(米)モリー・スカイラー選手との熱戦も忘れられません。

アンジェラ あのときはプレッシャーが尋常じゃなかったです。なぜかリーダーに選ばれてしまったことで、みんなの期待を裏切っちゃいけないと精神的に追い詰められたんです。戦った相手のモーリーは最初から強いとわかっていたつもりだけど、まさかここまで力の差があったのかと打ちのめされました。

惨敗した悔しさと周囲からのプレッシャーによって、思わず大号泣してしまったんですけどね。モーリーはレベルが違いました。『ドラゴンボール』で言ったら、「子供の頃の悟空がクリリンの敵を討つためにピッコロを倒す」くらいの気持ちでいたんですけど、実際に現れたのは魔人ブウみたいな相手で「あ、無理だ」みたいな。……ごめんなさい、『ドラゴンボール』を知らない人には意味不明だったかもしれないですね(笑)。(後編へつづく)

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