元々お笑いが好き、松本穂香「『笑う犬』や『よしもと新喜劇』はいつも見てました」
大人計画主宰、シアターコクーンの芸術監督、コントの名手松尾スズキが毎回ひとりの女優とがっぷり四つに組んで繰り広げる至極のWOWOWオリジナルコントドラマ『松尾スズキと30分の女優2』が3月13日(日)からWOWOWでスタートし、全4話がWOWOWオンデマンドで配信中。今回、第2話「松本穂香の乱」に出演した松本穂香にてれびのスキマがインタビューを実施!元々「お笑いが好き」な松本穂香だが、松尾スズキが描く“笑い”の世界とどう向き合ったのか。「初体験のことばっかりだったけど、それもひっくるめて面白い」と語る収録時のエピソードなども交えながら、番組の魅力に迫った。
『松尾スズキと30分の女優2』は、松尾スズキが毎回ひとりの女優と組んで繰り広げられる各話30分のオムニバスコントドラマ。コントの名手として数々の作品を手掛けてきた松尾が描く“松尾ワールド”に今回いざなわれる女優は生田絵梨花 、松本穂香 、松雪泰子、天海祐希(放送順)の4人。
今回松本穂香にインタビューを実施したのは、テレビに関する著書やコラムを多数執筆し、テレビの鑑賞記録を毎日のように上げ続けるてれびのスキマ。生粋のテレビ好きの視点から、今回の番組の魅力に迫った。なお、現在全4話がWOWOWオンデマンドで配信中。また、WOWOWプライムでは毎週日曜午後11時に放送しており、「松本穂香の乱」は3月20日(日)午後11時に放送される。
* * *
――松尾スズキさんとコントをするという今回のオファーを受けるにあたって躊躇はなかったですか。
松本 躊躇はなかったですね。嬉しいな、ありがたいなっていう思いでしたね。
――今回に限らず松本さんは『WOW!いきなり本読み!』や『グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』(いずれもWOWOW)など難しいチャレンジングな仕事をされている印象がありますが、仕事選びの基準は?
松本 なんだろうな。これやらせたら面白いんじゃないか? みたいなお話をマネージャーさんが受けてきてくれているので、私は基本的にマネージャーさんにお任せしています。それを信頼してやってみたら、『刃牙』とかでも多くの人からいい反響を頂いたので、なんとなく自分の向き・不向きみたいなのが分かってきましたね。
――自分に向いてると感じるのはどのような役柄ですか?
松本 ちょっとコミカルな役ですかね。『刃牙』で、周りの関係者の方にも「あれがすごく素敵だったね」って言ってもらうことが多いので、ああいうテンションのものがきっと楽しそうに見えるんだなと思います。
――松本さんは元々お笑いがお好きだったそうですが、子供の頃はどんなコント番組をご覧になっていましたか?
松本 本当に小さい時だと『笑う犬』シリーズ(フジテレビ)とかが好きでした。『笑う犬』は最近また見返したりもしてますね。あと私は大阪出身なので、毎週土曜のお昼に『よしもと新喜劇』(毎日放送)をやっていたので、それはいつも見てました。
――子供の頃、特に好きだった演者さんやコントは?
松本 内村(光良)さんが好きですね。コントでは、すぐにいろんな場所に飛ばされちゃう「小須田部長」がすごい好きでした。「がんばれ~、負けるな~」って(笑)。内村さんがやられるコントは大体好きです。楽しそうなんですよね。楽しんで自由に演じられているのを見るとこっちも楽しいって思うんですよね。
――松本さんは『コントの日』(NHK)や『ただ今、コント中。』(フジテレビ)などで芸人さんともコントをされていますが、今回のコントと違いがありましたか?
松本 うーん、でもそんなに違いっていう違いはないのかな?って思います。スタジオじゃなく、ちゃんと時間かけて移動して、ロケをするみたいなところは違うかもしれないですけど、周りの方が皆さん役者さんでも根本的なものは変わらないかもしれないですね。多分、芸人さんたちも真面目にやって面白く見せようという風にやられたりもしているだろうし、役者さんでもアドリブをすごいぶっこんできたりもしますし。正直、あんまり違いはわからないですね。
――今回の台本を最初に読んだときの率直な感想は?
松本 全然想像つかなかったですね(笑)。ここでこういう顔になるって書いてあるけど、どんな表情をすればいいんだろう?とか。行ってみないと分からないなぁっていうドキドキ感はすごくあって、そういうのもひっくるめて面白い台本でした。
――実際に松尾さんとコントで共演してみていかがでしたか?
松本 面白かったです。とにかく面白かった! 「おじさん」っていろんなおじさんがいますけど、世代も性別も違うから、笑いのツボが違うこともあるじゃないですか。でも、世代も全然違うのにこんなに面白いおじさんがいるんだっていう。あんまりおじさんって連呼するとよくないですけど(笑)。衝撃がすごくありました。
――今回演じてみて難しかった部分は?
松本 こういう格好するのも初めてとか初体験のことばっかりだったけど、それもひっくるめて面白いなって感じでした。歌舞伎も当然踊れないんですけど、もう難しいっていうよりも、できないのもちょっと面白かったなっていう感じですね。
――歌舞伎はどのようにして練習したのですか?
松本 横でお父さん役として踊ってくださってた藤間貴雅さんに教えていただきました。なので本番中も横目で見てましたね(笑)。
――皆川猿時さんとのギャグ合戦もありましたね。
松本 あれが多分一番練習したと思います。リズム感とか間とか。「そこはこういった方がリズム感がいいんじゃない?」って松尾さんが言ってくれたりして、「これで大丈夫ですか。ホントに?」って不安に思いながらやってるところはありましたけど。でも猿時さんが面白い担当でいてくれるので、私はただただ一生懸命やりました(笑)。
――アドリブはありましたか?
松本 アドリブもありましたね。上に乗っかられたりとかビンタされたりとか。「そっすね」とかも台本以上にマウスピースをはずしたりつけたりして。リハーサルの 3 倍ぐらいやってたんじゃないですかね?(笑)
――コントで笑いを生むために大事なことは何だと思いますか?
松本 えー、なんだろう? 松尾さんのように、やりたいことやりたいようにやるってことですかね。楽しそうにやりたいことやってるっていうのが、もうそれだけで意味が分からない世界観だったとしても面白いなって思ってもらえて、響く人には響くだろうし。ふざけたことでも真面目にやってれば面白く見えるのかなあってずっと思ってたんですけど、それだけでもないなっていうのを今回やってみて感じたりもしました。いろんな面白さがあるんだなって。
――今回、どんな演出でしたか?
松本 監督もいらっしゃったんですけど、松尾さんもちょこちょこ演出してくださってましたね。松尾さんからは、始めは弱々しいトーンで言ってたセリフがあったんですけど、そこはもっと強く返したら向こうがシュンとなるからって。シュンってなる猿時さんが面白いからと。確かにそこまで想像しないといけないんだと思いました。すごく単純なことなんですけど、芝居をする上で、相手がどうなるかっていうのを想像して、自分の言い方を変えるっていう、めちゃめちゃ初歩的なことなんですけど。ちゃんとそこまで考えないと、単純に楽しい!っていうのだけでやってちゃ、面白いものもできないなとわかって勉強になりました。
――出来上がったものをご覧になったと思うんですけど、その感想は?
松本 ちょっと恥ずかしい(笑)。めちゃめちゃ自分がはしゃいでいるというか。台本に「忘我の境地」と書かれててたんですけど、普段のお芝居で、顔芸じゃないですけど、顔だけで表現することがあまりないので、「これ大丈夫かな、見た人にどう映るんだろう?」って。もちろん松尾さんとかはすごい面白いんですけど、自分の演技が面白くなってるかが客観的にちょっとわからなかったので、面白いって言ってもらえたらいいなって感じですね。
――最後に今回特にここを見て欲しいみたいなシーンは?
松本 「歌舞伎中継」だったら見得をきる寄り目。ただの寄り目かもしれないですけど、本当に何回も撮ったので見てもらいたいですね。あとは私のシーンというよりかはもう周りの方がすごくキャラが濃くて面白い。松尾さんの「スチームパンクおじさん」が私の“推しキャラ”です。あと「スニーキー狩り」は天海祐希さんの第2章につながっているので注目して見ていただければ。
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