かが屋、架空のYouTuber“ミラクルボーイズ”に…「かが屋の魅力」を最大限に引き出した番組
テレビ番組に精通するライターの前川ヤスタカが、地方番組に注目し、レビューしていく。今回はテレビ神奈川で放送されている「かがやけ!ミラクルボーイズ」(毎週木曜深夜0:30-)を取り上げる。
YouTuberユニット「ミラクルボーイズ」の冠番組
お笑い大好き、真面目でピュアな松永翔太郎、通称ショウちん。田舎育ちでピュア、ちょっと天然な吉田裕太、通称バビロン。二人合わせてミラクルボーイズ。学生服に身を包み、「一生中学生!一生休み時間!」のキャッチフレーズで人気のYouTuberユニット・ミラクルボーイズが神奈川のいろいろなスポットで遊びまくる街ブラ番組が2022年1月から始まった。その名も「かがやけ!ミラクルボーイズ」。
コント師の面目躍如…かが屋が扮するYouTuberユニット
「あれ、そんなYouTuberいたっけ?」と思った方は勘が鋭い。この番組はお笑いコンビ・かが屋の二人が人気YouTuberという設定のもと神奈川の街を歩くという一風変わったコンセプトの番組なのだ(したがってタイトルに「かがやけ!」と入っている)。
二人は番組中ずっと架空のYouTuberミラクルボーイズになりきり、最初から最後までかが屋に戻ることはない。まさにコント師かが屋の面目躍如である。
ミラクルボーイズ、テレビ神奈川の社長へ挨拶
初回はテレビ出演に慣れていないミラクルボーイズが、自分達を抜擢してくれたテレビ神奈川の社長へ挨拶をしに行く回。
YouTube動画総再生回数1億回を超える(という設定の)二人だが、テレビは今回が初めて。勝手の違うテレビ局の撮影に、立ち位置もわからずオロオロしたり、スタッフに調子に乗った発言をしたかと思うとすぐに「嘘です。本気では言ってないです」とフォローするなど、上滑り気味の会話が繰り広げられる。
しかし、往年のバラエティ番組に強い憧れがある二人。別な番組が撮影中と書いてあるスタジオにわざと大声で「よろしくおねがいしまーす」と入って行ったり、バビロンのちょっとしたボケにショウちゃんが大袈裟に転げ回って笑ったりするなど、ちゃんとテレビ番組お約束のノリもできる。
「かが屋さんで番組を始めるものだと思ってたんですが…」
本人たち定番の「心臓をむしり取られても意外と生きられる人」「肺活量がすごい人」と言ったネタを挟みつつ、社長室に到着。初めて会うテレビ神奈川社長にいつものYouTuberノリで挨拶をするミラクルボーイズだが、社長から「かが屋さんで番組を始めるものだと思ってたんですが人違いだったみたいです。ちょっと考えさせてもらえますか」というまさかの一言が。
かが屋演じるミラクルボーイズに「かが屋でやりたかったのに」とちゃぶ台返しする社長だが、そんなことではミラクルボーイズの設定は揺るがない。「かが屋?知らない……地下芸人ですか?」と知らんぷりした後は、社長の「何か見せて欲しい」という無茶振りに精一杯のギャグ。最後は無言が続く社長とスタッフに耐えきれず土下座。彼らは番組の最後までミラクルボーイズだった。かが屋ではなく。
YouTuberを絶妙に演じるかが屋
第2話・第3話では大きい商店街のある横浜市大口にて、いよいよ街ブラがスタート。お小遣いサイコロで5000円をゲットした二人だが、なぜか妙に街の人に親切にされがちで、やたらと物をもらう。
公園で鳩に餌をやっていたご婦人からジップロックに入ったかりんとうをいただき、駄菓子屋の90歳のお爺さんから割れたおかきを持ってきなと無理やり手に握らされ、ロシア美女店員さんにつられて入った居酒屋では強面のおじさんからシャンパンやボルシチをご馳走になる。
結局5000円は全然使い切らず最後は昔ながらのおもちゃ屋で、20年以上売れなかったという謎の球体パズルゲーム「オービックス」を買って終了した。
テレビタレントのように振る舞いたいという憧れはあるものの、ちょうど良い加減がわからず、ついふざけ過ぎて空回りするYouTuberの感じをかが屋は絶妙に演じている。
推測ではあるが、おそらくこの番組は設定だけがあってカチッとした台本はない。全編が架空キャラになりきった二人のアドリブと思われる。前提となる二人のキャラ設定も当初から決まっていたのはごくごく基本的なものだけで、細かい特徴は途中の二人の会話でどんどん追加されている。
バビロンはサバゲー好き、実家が金持ち、軟式テニス部出身。ショウちんは酒好き、野菜に詳しいなど、実際のかが屋の二人の特徴も微妙に絡めつつ、アドリブで言ったことがプロフィールに積み上がっていく。
かが屋の魅力を最大限引き出した「ミラクルボーイズ」
2010年代、テレビに出る芸人はいわゆる「平場」でのトークが出来ないとダメと言われてきた。そのため、お笑い賞レースで結果を残しているにもかかわらず、トークが苦手でテレビ界では売れっ子になれなかった芸人は大勢いる。特にコントを主戦場としている芸人は、このギャップに苦しむことが多かった。かが屋は生粋のコント職人であり、テレビで求められるスキルとのギャップにかなり苦しんでいるのが見て取れた。
そんな状況を変えたのが「有吉の壁」(日本テレビ系)だ。かつての「内村プロデュース」(テレビ朝日系)などのように若手芸人が様々な場所で大喜利を繰り広げる番組だが、ひとひねりされているのは、キャラを演じることで大喜利に答えていくというスタイル。これによりコント職人でも「テレビだから」とモードを変えることなく笑いをとりに行けるようになった。
では、そんなテレビ界の動きを踏まえ、どうすればかが屋の魅力を最大限引き出した冠番組が作れるか。その答えが架空キャラを演じながらの街ブラというトリッキーなアイディアだったのだと思う。
根っこは人見知りの二人が素のまま街ブラをするのはなかなか苦しいが、架空の設定がベースであれば、それは街行く親切そうなおばさんにさえ声をかけられないヘタレキャラになる。撮影許可をとりに行き意気消沈で帰ってくるが、実はOKでしたというテレビ的なお約束のくだりも、テレビバラエティに憧れるYouTuberがそれをやっているとなれば、見え方は違ってくる。
番組はまだ始まったばかりだが、今後も二人がショウちん・バビロンとしてミラクルを起こし続けることを期待してやまない。
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