島崎遥香、稲葉友、浅川梨奈、柳ゆり菜が語る、お互いの魅力『一現場に一台欲しい』＜「ハレ婚。」インタビュー・後編＞

1月16日より、島崎遥香が主演を務める「ハレ婚。」(毎週日曜夜11:55-0:25ほか、ABCテレビほか　※tvkでは毎週火曜夜11:00-11:30)が放送中。同作は、2014年に青年漫画誌「ヤングマガジン」(講談社)で連載開始以来、累計260万部を突破した同名コミックが原作。現代の日本を舞台に、条例により「一夫多妻制(＝ハーレム婚、通称ハレ婚)」が認められた町で起こる不思議な結婚生活を描いた異色のラブコメディーとなっている。

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“3人目の妻”として迎えられる前園小春を島崎が演じ、小春の夫・伊達龍之介役には稲葉友、“1人目の妻”ゆず役には柳ゆり菜、“2人目の妻”まどか役には浅川梨奈が抜てき。非現実的な設定ながらも、それぞれに真っすぐ人を思い、 “友情”と“結婚”に向き合っていく姿を描いている。

WEBザテレビジョンでは、主演の島崎の他、稲葉、浅川、柳にインタビューを実施し、前・後編で紹介。後編では、お互いの魅力や、見どころなどを聞いた。

ぱるちゃんが笑うと現場が和やかになる

――他の方から見た共演者の印象や、役者としての魅力をそれぞれ教えてください。まずは、島崎遥香さんについて。

稲葉：(インタビュー前編にて)小春の魅力で「うそのなさ」が挙がっていましたけど、それが本人にも通ずる部分で、俺にはめちゃくちゃ面白くて。一緒にいる時間が本当に長かったんですけど、段々顔を見たら何考えているか分かるようになってくるんです。

それに、線引きがすごくはっきりしているから、役者として表現する上で「こうしたい」というのをちゃんと提示できて、きっちりしているからいいなと思います。

あと、瞬発的な爆発力がすごいんです。龍之介が小春に感じている魅力に近いものを、俺も感じていて、「こういうところ好き」という感情があったから、撮影でもすごく助かりました。

柳：ぱるちゃんは、稲葉くんが言ったみたいに、本当にお芝居中に「あっ！きた！」っていう瞬間があるんですよ。小春とゆずの大事なシーンで、ぱるちゃんが台本に書かれていない涙を流して、それで私もつられて大号泣になってしまって。私は全然映ってなかったんですけど(笑)。そうやって瞬発的に生まれる何かを作り出してくれて、そんな時に「引っ張ってもらっているな」「すてきだな」と思っていました。

浅川：ぱるちゃんが笑うと現場が和やかになるんです。裏のムードメーカーというか、ぱるちゃんの一言で現場が明るくなったり笑いが起きたりというのが多々ありました。一緒にやっていて、小春の真っすぐさとぱるちゃんの真っすぐさがすごくリンクして、正面でお芝居していると、まどかとして受けとめてはいるんだけど、内面の浅川梨奈に響くということが結構ありました。これこそがハマり役なんだなと思いました。

思わず本音がこぼれる「誰か掃除してくれ(笑)！」

――続いて、稲葉友さんの魅力を教えてください。

柳：一現場に一稲葉欲しいっていうくらい(笑)、それくらいいろいろなケアができるし、よく周りを見てるし、ゆずみたいなタイプで気付きが多い人なので、ある意味、稲葉くんといるとゆずの役作りができるんですよ。甘えられちゃって大変なんだろうなという瞬間もいっぱいあるんですけど、ちゃんと冷静にビシッと決めてくれるし、とても尊敬していました。見習いたいなと思う瞬間や、ハッとさせられることがたくさんありました。

浅川：稲葉くんは、ゆり菜ちゃんも言っていたように、一現場に一台欲しいですね。

稲葉：言い方が空気清浄機なんだけど！

浅川：私、稲葉友は空気清浄機だと思ってます。

柳：高機能のね。

稲葉：俺、もう中にめちゃくちゃほこり詰まってるよ。誰か掃除してくれ(笑)！

浅川：いっぱいいろいろな物を吸収して、場の空気をきれいにクリアにしてくれるから、彼のほこり取りの役割の人が必要だと思います。返しも秀逸で、この現場はボケ属性が多かったんですけど、その中でも稲葉くんがツッコんでくれてました。

まどかとして感情が揺さぶられるシーンが多くてしんどいなと思っていた時、カメラに映ってないところでも全力でしてくれるお芝居のおかげで、つながりを持たせた表情やテンションを維持することができて、すごく救われていました。本当に高機能な空気清浄機ですね。いてくれてよかったと全員が思っていると思います。稲葉くんじゃなければ、「ハレ婚。」は成り立たなかったと思います。

柳：たしかに。稲葉くんじゃなければ、龍ちゃん(龍之介)のこと、みんな嫌いになってたと思う。

島崎：友くんは、いろいろなスイッチがあって、その時々で変わるので、そのスイッチがオフになった瞬間を見れたときがうれしかったです(笑)。

稲葉：信じられないくらいのため息をついているところとかを見られて、そのとき確かに(島崎が)めっちゃ笑ってました(笑)。

器用すぎる“優秀な子役”は、現場のヒーロー

――続いて、浅川梨奈さんについて。

稲葉：梨奈ちゃんは、大人になるのが早かったんだろうなっていう人です。お仕事を早くからやられている環境のせいもあるのだと思いますが、本当は臆病者なんだと思います。でも、それが結果、人にめちゃくちゃ優しくできることにつながっていて。

毅然とした佇まいに見えても、「気を遣っているんだろうな」という部分が随所に見えて、自分の損得以上にそこを優先するから、たまに「そんなにしなくていいよ」と言いたくなるくらい。それでも性分なんだろうな。反射で人のために動ける人なんだろうと思います。それはまどかにとてもリンクしていました。

あと、せりふうんぬんじゃなくて、ただ立っているだけでそこにちゃんと情景が見えるので、かっこいいなと思っていました。

柳：梨奈ちゃんは、山田佳奈監督にも“優秀な子役”ってあだ名を付けられていたくらい器用すぎるんです。ちょっと私もタイプが似ているから分かるところもあって、やりすぎちゃうというか、自分のエネルギーを変に消費しちゃって、あとで疲れたなって思う瞬間があったりして。

賢くて、器用で、なんでもできちゃうからこそ、現場のヒーローだからこそ、負担が大きいんじゃないかなと心配していました。だから、今度一緒に飲みに行って労いたいなと思います。

稲葉：俺は、山田監督に「抜きどころを覚えた元子役」って言われてましたけどね。

柳：子役多すぎ(笑)！

稲葉：俺は、抜きどころを覚えたけど、梨奈ちゃんは見ていて「あぁ、大変そうだな」と思ってましたよ。

柳：「もう休みなさい」って言いたくなるんだよね(笑)。

浅川：お兄ちゃんお姉ちゃんからすごく心配されてたんですね(笑)。保護者みたい(笑)。

島崎：電車が通ったり雑音が入ったりしたときに、私は自分の事しか考えられないからせりふをバンバン話すんですけど、梨奈ちゃんはせりふを話さなくて、「あれ？忘れちゃったのかな？」と思ったら、音待ちをしてたんですよ！「そういうことか！」と思って感心してしまって。

稲葉：優秀過ぎ(笑)。

島崎：そこまで考えているんだなとびっくりしました。

浅川：それを待っているときのぱるちゃんも、動揺もせず続けてくれるから、こっちもやりやすかったよ！あれは2人のチームプレーです。

心(しん)がすごくしっかりしていて、見ていてかっこいい人

――続いて、柳ゆり菜さんについて。

稲葉：柳さんは、もう同志ですね。本当に頼りにしていました。ゆずという役柄的にどうしても日常的に発しなくてはいけないエネルギーがめちゃくちゃ多いんですけど、そこのハードルは軽く超えてくるし、4人のシーンでも助かる面がいっぱいありました。

“受け”の力がすごくて、こちらが何をやってもOKにしてくれるし、要求に対しての瞬発力がすごくて、本当に頼りにしてました。本当にありがとう。心(しん)がすごくしっかりしていて、見ていてかっこいい人です。

浅川：ゆり菜ちゃんは、本当に大好きなお姉ちゃんという感じで、いろいろな話もできるし、プライベートもお芝居もシンプルに、距離が縮まってうれしいなというふうに思いました。ゆずの寛大に包み込む性質が、ゆり菜ちゃん自身にもある気がして、ゆり菜ちゃんの優しさや寛大さに何度も助けられたなというふうに思います。

現場でずっと笑顔なんですよ。いろいろなスタッフさんと話していたり、キャスト一人一人と話をしたりとか、まさに“ゆず”でした。お芝居の絡みはそんなに多くはなかったんですけど、随所随所でまどかとゆずの関係を表すようなアドリブを入れてくれるので、やっていて楽しかったです。好きです。

柳：ありがとうございます(笑)。

島崎：ゆり菜ちゃんは、ご自身の中にシーンごとにプランがあるのですが、そこに対する努力をオーバーに見せつけたりしないところがすてきでした。私はアドリブがきかないけど、たくさんアドリブが出てくるのもすごいなと思いました。

柳：後半はぱるちゃんも結構乗ってくれるなって思ってたよ！

いろいろな愛について考えられるような深い作品

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

稲葉：“一夫多妻制”というインパクトの強いテーマで、なかなか受け入れがたいと思いますが、こんな変わった形だからこそ、すごくピュアに、本当に必要なものや大事なものが浮き彫りになるのではないかと感じました。ぜひ、一夫多妻制度によって生まれる人間関係の荒波を見届けていただけるとうれしいなと思います。

柳：その通りです。

稲葉：楽すんなよ(笑)！

柳：全部言われちゃったなぁって(笑)。

浅川：最初脚本を読んだときに、19巻ある原作を「ここまで忠実にまとめることができるんだ」って思ったんです。所々原作にあるせりふやシーンを参考にした上で演じているので、きっと「ハレ婚。」のファンの方は、「あ、このシーン！このせりふ！」というふうに楽しんでいただけると思います。そういう視点でも、原作ファンの方にも楽しんで見ていただけたらなと思います。

柳：一夫多妻という制度自体、賛否両論あるものを題材として扱っていて、なおかつ、漫画の実写化というと賛否両論が生まれるんですけど、そういうのも全てひっくるめて、このドラマを見ていただけたら「ハレ婚。」の良さや、漫画の魅力、それぞれのキャラクターの魅力が分かって、知らないうちに好きになってもらえるのではないかなと思っています。もし偏見があっても、「仕方ない、1話だけでも見てやるか」くらいの気持ちで見ていただいて、私たちを好きになって頂けたらなと思います。

島崎：原作は少し前に書かれたものですが、これからの時代、一夫多妻制度について考えることが出てくるかもしれません。日本が遅すぎるだけなのか分からないですが、今やっと日本もジェンダーレスなどの考えが広がって、性別や年齢にとらわれないことっていいなと思っています。原作は青年漫画誌に掲載されていましたが、ジャンルにとらわれない作品として受け止め、演じていたので、幅広い方に見ていただけたらうれしいです。いろいろな愛について考えられるような、一括りではまとめられない深い作品になっているんじゃないかなと思います。